8月24日に開幕する東京パラリンピック。9月5日までの12日間、22競技で熱戦が繰り広げられる。日本代表選手団は史上最多で、前回の2016年リオ大会ではゼロに終わった金メダル獲得に期待が寄せられる。そこで、5回にわたって金メダル最有力候補を…

8月24日に開幕する東京パラリンピック。9月5日までの12日間、22競技で熱戦が繰り広げられる。日本代表選手団は史上最多で、前回の2016年リオ大会ではゼロに終わった金メダル獲得に期待が寄せられる。そこで、5回にわたって金メダル最有力候補を紹介する。第2回は、今大会からの新競技パラバドミントンの2人だ。

【#1 里見紗李奈(WH1/車いす)】
23歳の女王が狙うは単複でのW金メダル


パラバドミントンを始めて約4年にして、すでに世界トップに君臨しているのが里見紗李奈だ。現在、女子シングルスと、山崎悠麻(WH2/車いす)とペアを組む女子ダブルスで世界ランキング1位と、東京パラリピックでは二冠達成が期待されている。

世界の舞台で頭角を現したのは、19年の世界選手権。初出場ながら安定したプレーが光り、シングルスでのグループリーグ3戦で全勝すると、決勝トーナメントでも快進撃が続き、金メダルに輝いた。その決勝で破ったのが、最大のライバルとしている元世界ランキング1位のスジラット・ポッカム(タイ)。前年の18年、国際大会デビューとなったタイ国際、そして日本代表として出場したアジアパラ競技大会ではいずれもストレート負けと完敗した相手だ。そのポッカムに雪辱を果たし、世界の頂点に立った。

また、山崎とのダブルスでは、強敵の中国やタイのペアに勝つために新たな技術も習得した。車いすは横移動ができない。そのためダブルスでは横並びになり、前後に動く「サイド・バイ・サイド」の陣形を取るのが一般的だ。しかし、2人は世界でも稀な縦並びの「トップ&バック」という陣形を取る。ローテーションをして、相手にとってスペースを作りにくくするのが狙いだ。

国際大会の経験を積むことでメンタルも強化され、接戦にも強くなった。背中を大きく反りながら打つ車いす選手ならではの “のけぞりショット” を武器に、粘り強く戦い、世界最高峰の舞台での頂点を目指す。

<さとみ・さりな>
1998年4月9日、千葉県生まれ。NTT都市開発所属。中学時代はバドミントン部に所属。高校3年の2016年5月に交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活となる。退院後の2017年5月から本格的にパラバドミントンを始めた。同年日本選手権で準優勝。翌18年から山崎悠麻とダブルスを組み始めた。19年世界選手権シングルスで優勝。現在シングルス、ダブルスともに世界ランキング1位。