【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆先週の血統ピックアップ・8/15 関屋記念(GIII・新…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・8/15 関屋記念(GIII・新潟・芝1600m)

 2番手を追走したロータスランドが最内から抜け出し、外から伸びたカラテ、ソングラインの追撃を抑えました。前日までかなりの降雨があったにもかかわらず、良馬場まで回復したのは、日本一の水はけを誇る新潟競馬場ならではでしょう。

 ただ、ロータスランドのような道悪巧者が勝ったところを見ると、例年のような硬い馬場ではなかったように思います。父ポイントオブエントリーは、アメリカの芝G1を5勝した活躍馬で、バーディバーディ(ダート重賞を2勝)と酷似した重厚な血統構成です。本馬はロベルト3×4。切れ味よりもスピードの持続力が持ち味で、前々走、重馬場の米子Sを勝っていました。今回も少し馬場が渋り、展開的にも上がりの競馬にならなかったことが幸いしました。今後も、少し時計の掛かる競馬になればおもしろいでしょう。

・8/15 小倉記念(GIII・小倉・芝2000m)

 後方待機のモズナガレボシが直線で大外に出して差し切りました。残り1000mからラップが上がる厳しい展開。先に行った馬は総崩れとなり、慌てずワンテンポ遅らせて追い出した松山騎手の騎乗が功を奏しました。

 父グランプリボスにとって初のJRA重賞勝ち馬となり、テスコボーイ系としては昨年7月にCBC賞を勝ったラブカンプー(父ショウナンカンプ)以来のJRA重賞勝ち馬です。テスコボーイは1967年12月に輸入され、70年代から80年代にかけてテスコガビー、トウショウボーイ、サクラユタカオーをはじめ多くの名馬を出し、わが国の馬産に“スピード革命”を起こしました。父グランプリボスは朝日杯フューチュリティSとNHKマイルCを勝ち、安田記念やマイルCSで2着となった名マイラーです。

 ただ、種牡馬としては自身のスピードを十全に伝えているとはいいがたく、芝よりもダートの成績のほうが優秀で、芝であれば少し時計の掛かるコンディションのほうが合っています。今回、雨の影響の残る馬場であったことも追い風でした。

 (文=栗山求)