ステファノス・チチパス(ギリシャ)は、今週の「ATP1000 トロント」(カナダ・トロント/8月9日~8月15日/ハード…
ステファノス・チチパス(ギリシャ)は、今週の「ATP1000 トロント」(カナダ・トロント/8月9日~8月15日/ハードコート)に戻って来たことを喜んでいた。それだけでなく、このカナダでのマスターズ1000大会でボールを打つ前に既に決まっていた評価についても、チチパスは興奮を隠せなかった。【動画】チチパスのパワーで珍しいラケット破壊
先日23歳になったチチパスは、8月9日付の世界ランキングでラファエル・ナダル(スペイン)を抜き、キャリア最高位となる3位に上がったのだ。ATP(男子プロテニス協会)公式オンラインメディアが伝えた。
ランキングの更新に先立ち、チチパスはこう語った。「3位というランキングに到達したことは、とてつもなく大きな原動力になるものだし、僕がこれまで素晴らしい結果を出してきたことをとてもよく表している。これまでものすごく努力をしてきて、最上位の3人に入れたことは、色んな意味で純粋にありがたいよ。僕としては、これはかなり特別な節目だ」
チチパスが初めて世界ランキング10位以内に入ったのは、2年以上前に「ATP500 ドバイ」で決勝まで勝ち進んだ後のことだ。しかし、チチパスは今回の偉業を別次元のものだと見なしている。
「トップ10に入れたことで、僕の大きな夢が叶った。トップ3に入れたことは、それとはまったく違う、独自の意味を持つものだ。僕がこれをやっているのは自分自身の向上のためで、テニスを通してより良い人間になろうとしているんだ。だから、これは重要だよ」
だが、チチパスは向上のために押し進むのを止めることはないだろう。それが彼の日々の生活の焦点だ。
「僕は毎日、目標を持って目覚める。より良い自分になるという目標だ。つまり、もっとテニスがうまくなること。人生をかけて追求することを選んだこのスポーツで、自分を向上させることだ。僕はテニスをプレーすることができてとても幸せだよ。自分がやっていることで他の人に刺激を与えることができて、とても幸せだ」
チチパスはトロントにいい思い出がある。彼は2018年にここで初めてマスターズ1000大会の決勝に進出したのだ。この時の勝ち上がりの中でチチパスは、1990年にATPツアーが創設されて以降、1つの大会で世界ランキング上位10位以内の選手を4人倒した最年少の選手となった。
今年は第3シードとして「ATP1000 トロント」に出場したチチパスは、初戦となった2回戦で「東京オリンピック」3回戦で敗れたユーゴ・アンベール(フランス)と対戦し、フルセットでリベンジを果たした。12日、23歳の誕生日には3回戦でオリンピック銀メダリストのカレン・ハチャノフ(ロシア)と対戦し、6-3、6-2で快勝。準々決勝では期待の若手キャスパー・ルード(ノルウェー)を6-1、6-4と寄せ付けなかったが、残念ながら準決勝で今大会絶好調のビッグサーバー、ライリー・オペルカ(アメリカ)に2時間半を超える7-6(2)、6-7(4)、4-6という激闘の末、逆転負けを許してしまった。
「自分のゲームにいい感覚が持てているよ。トロントに戻って来られて本当に嬉しい。ここは試合に出てテニスをする場所としてはお気に入りの一つなんだ。この場所は僕の記憶のとおりそのままだね。ここでまた試合に出られるのがただただ嬉しいよ」と大会前に語っていたチチパス。次のシンシナティでの更なる活躍を期待したい。
またチチパスはオリンピックの後少しの間ギリシャに滞在したが、カナダに移動した今も、彼の注意は今まさに破壊的な野火と格闘している母国に向けられている。数日前、チチパスはInstagramへの投稿で、ギリシャで苦境に置かれている人々への支援を表明。「僕の心はすべてのギリシャの人々と共にある。ギリシャに帰っていた時、僕の住むアテネの郊外からも遠くの炎や煙が見えた。僕は少しでも多くの人の力になろうと努めている。そこにあったものを取り戻すために少しでも助けになろうと」とチチパスは綴っている。
(テニスデイリー編集部)
※写真は「全仏オープン」でのチチパス
(Photo by Julian Finney/Getty Images)