プロ2年目のシーズンを迎えたロッテ・佐々木朗希。前半戦でデビュー戦を含む5試合に登板し、5月27日の阪神との交流戦ではプ…
プロ2年目のシーズンを迎えたロッテ・佐々木朗希。前半戦でデビュー戦を含む5試合に登板し、5月27日の阪神との交流戦ではプロ初勝利を挙げた。後半戦を控えた"令和の怪物"に、自身の成長や課題、大谷翔平(エンジェルス)に対する思いなどについて語ってもらった。

2021年シーズン前半戦、甲子園でプロ初勝利を飾ったロッテ・佐々木朗希
――今シーズン前半戦に登板した5試合で、ヤクルトの村上宗隆選手、ソフトバンクの柳田悠岐選手という、プロを代表するスラッガーにそれぞれホームランを打たれています。日本ハムの斎藤佑樹投手が、プロの打者のすごさを肌で感じて、「ストライクをとれなくなった」と話していたことがあるんです。そういう感覚って、あるものですか。
「どちらも明らかな失投だったので。村上選手の時は、コースが悪かった。あと、投げた時に、ぜんぜん力が伝わっていなくて。柳田選手は高校時代からテレビで見て実力のあるバッターだということはわかっていましたし、投げた瞬間、甘いと思ったので」
――ホームランを打たれても、悔しそうな顔、しないんですね。
「ベストボールを打たれたのなら悔しいですけど、投げた瞬間、打たれるよな、って思ったボールだったので」
――デビュー戦の時からそうでしたが、ずいぶんと落ち着いていますよね。フォアボールで崩れることもなく。
「3月の初の実戦登板の時は緊張したんですけど、シーズンに入ってからは、緊張していても慌てるとかはなかったと思います」
――4戦目(5月27日)には、高校時代は届かなかった甲子園での登板がありました。あの試合は、ワクワクしたというか、やはり高揚感がありましたか。
「甲子園は甲子園でも高校野球とプロ野球では違うということもあり、あんまり、そういうのはなかったですね。ただ練習している時に、ああ、ここが甲子園かという気持ちにはなりました」
――クールに見えますよね。
「うーん、冷めているだけだと思います」
――でも、もちろん、心の中には熱いものというか、カッカしている部分はあるんですよね。やはり、そういうものは見せないほうがいいんですか。
「そのほうがいいと思いますね」
――非常に安定したピッチングが続いています。その一方で、評論家の方々から「物足りない」という声も聞こえてきます。おそらくは、球速であったり、奪三振数ゆえのことだと思うのですが。でも、吉井理人一軍投手コーチも「まだ全力投球できる体ではない」と話していたように、意図的に抑えざるを得ない部分もあるわけですよね。
「短いイニングならドーンといけるかもしれませんけど、先発ピッチャーというのもあるので、長いイニングで高いアベレージを出さないといけない。体が強くなったら、(試合の)前半からもっと高いアベレージを出せるかなとは思うんですけど」
――ここ1、2年の「佐々木朗希フィーバー」は、高校3年生の時、163キロを出したことに始まっているわけですが、あんなに早く163キロを出さなければよかった、という思いもありますか。
「それはないですね。(163キロを)出してから球速のこだわりがなくなったので。出そうと思えば、いつでも出せるんだ、って。あれから、ピッチングの精度を上げることに集中できるようになりました」
――1年目と比べると、明らかに今年は軽く投げているように見えます。何割ぐらいの感覚で投げているものなのですか。
「難しいんですけど......先発ピッチャーって、だいたい8割前後で投げていると思うんですよ。プロ野球の投手で、10割で投げている人、ほとんどいないと思うんです。10割の力で投げて、10割のボールが投げられるものでもないですし、スタミナ消耗も激しくなる。8割ぐらいの感覚のほうが、結果として10割のボールがいくこともあると思うんです」
――ダルビッシュ有投手(パドレス)が日本ハム時代、「100の力で投げたら、腕が飛んでいくかと思った」と話していたそうです。出力の高いピッチャーは、やはりそういう感覚があるものですか。
「ありますね。思いっきり投げると、腕が飛んでいきそうな感覚になります」
――高校時代、163キロをマークした時もそうでしたか。
「それに近い感覚があったと思います」
――力を入れて投げるのは、怖さもあるわけですね。
「怖さというか、体で感じる危機感があるというか......。まだ、そこまで体の強さがないので、そこはあんまり無理しなくていいのかな、というのはあります」
――1年目はほとんど投げずにトレーニングをされていたということですが、体重も重くなりましたか。
「体重はそんなに変わっていません。大人の体になりきっていないので、トレーニングをしても、あまり効率がよくないと思うので。それよりも体の機能を高めることを重視していました」
――ゆくゆくはダルビッシュ投手や大谷翔平投手のようなガッチリした体にしていくつもりですか。
「そこはトレーニングをしながら自分が感じていく部分だと思うのですが、今の感覚でいくと、僕の場合は、あそこまで大きくはしないほうがいいかなと思っています。どんなに筋力をつけても、体のしなりをうまく使えないと故障もしやすくなってしまうと思うので」
――今、同じように体の大きな大谷選手があれだけ活躍していますが、体の使い方とか、参考になるものですか。
「僕が言うのもなんですけど、器用っていうか。すごいなと思いますね」
――大谷選手の成績を見ていると、限界を自分で勝手に決めてはいけないものなんだなとつくづく思います。
「僕が言うのもあれなんですけど......」
――言っても大丈夫だと思いますよ。
「日本人がメジャーでホームラン王争いをしていること自体が信じられません。常識を覆されたと思います。僕もいずれは、常識を覆すようなパフォーマンスを見せられればいいな、と」
――今、人類最速は169キロで、科学的にはほぼ限界と言われているそうです。でも佐々木投手なら、170キロ以上、出せる感覚はあるものですか。
「今は、その感覚は程遠いかなとは思います。けど、5年後、体つきとか、ぜんぜん違うと思うので、その時、どう感じているかで(投げられるかどうか)決まってくるのかなと思います」
――大谷投手も170キロを目指しているそうですが、大谷投手より先に投げたいですよね。
「まあ、僕は、170キロの前に、165キロ(大谷翔平の日本記録)を」
――前半戦の最後の試合、日本ハム戦で、公式戦最速となる157キロをマークしました。後半戦は160キロ台も見られそうですね。
「わかりませんが、だんだん出力も上がってきて、自分の感覚と球速が一致するようになってきたのかなとは思います」
――よく聞くことですが、やはり、つい球場の球速表示は見てしまうものですか。
「バックネット裏に表示される場合は、見ちゃいますね。(バックスクリーンを)振り返ってまでは、見ないですけど。球速がすべてではないんですが、自分の感覚と比べてみたいので」
――後半戦に向けて、具体的な目標はありますか。
「1試合でも多く投げて、最終的には、中6日で投げたいなとは思っています」
――そのあたりは、もうコーチ陣とは話し合っているのですか。
「してません。ただ、そうできるよう、準備はしておきたいと思います」
――内情を知らないからでしょうが、もっと短い間隔でどんどん投げさせたほうがいいのではという意見もあるようです。でも、本人からしたら、投げられるものなら投げたいわけですよね。
「投げることが仕事なので」
――そこはチームの方針や育成プランがあるわけですもんね。
「やらなければならないことの順番があるので。それをひとつずつクリアしていけば、(いずれは)1、2年目のこと(心配する意見)は、忘れてくれるのかなと思います」
――日本球界史上、ナンバー1の素材と言われていますが、そういうふうに見られるのは重く感じますか。
「むしろ、そのほうが、(自分自身も)将来性にかけてみたくなるので。1番になれるかもしれない、というモチベーションになります」