ヤニク・シナー(イタリア)は19歳だが、そのプレーは堂々たるものだ。「ATP500 ワシントンDC」決勝で、準決勝で錦織…
ヤニク・シナー(イタリア)は19歳だが、そのプレーは堂々たるものだ。「ATP500 ワシントンDC」決勝で、準決勝で錦織圭(日本/日清食品)を破った世界ランキング107位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)を2時間53分、7-5、4-6、7-5という激闘の末に倒し、2009年にATP500というカテゴリーが創設されて以来、最年少のチャンピオンになった。シナー以前に十代でATP500のトロフィーを掲げた選手はおらず、それまでの最年少は2017年に同大会を制したアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)の20歳だった。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが報じている。【ドロー表】錦織、ナダルら出場!「ATP1000 トロント」【スーパープレー動画】大ピンチでも打てる強さを持つシナ―
ランキングではるかに上位のシナーにはプレッシャーがかかり、マクドナルドは第1セットだけでセットポイントを10回、試合を通してブレークポイントを16回凌ぐという粘り強い相手だった。普通の若手選手なら心が折れそうなものだが、シナーはほとんど苛立ちを見せることなく集中力を切らさなかった。シナーはワシントンDCの大会で2001年のアンディ・ロディック(アメリカ)、2008年のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に次いで3番目に若いチャンピオンとなった。
「正直に言って、まだまだやらなきゃいけないことがあると思ってる。経験を積んで、今のように努力を続け、重要な試合の重要な瞬間に良いプレーができるように。今日はそういう瞬間が何度もあったから、たくさん学ぶことができたよ」とシナー。
第5シードのシナーは、5試合を勝ち抜いてわずか1セットしか落とさなかった。同大会では過去にアンドレ・アガシ(アメリカ)、イワン・レンドル(アメリカ)、ジミー・コナーズ(アメリカ)といったレジェンドたちが優勝している。
「何かをした時に最年少とか言われることもあるけど、気にしてないよ。僕よりもっとずっとすごいことを成し遂げた選手たちがいる。誰が最年少とかは問題じゃない。もっともっと練習して、強くなりたい」
第1セットはシナーが持ち前のパワーを見せ、それに押されたマクドナルドは得意のベースラインで彼らしくないミスを犯した。だがシナーはそれまで4試合で3ゲームしかサービスゲームを落としていなかったのに、そのセットで既に2ゲームを取られた。マクドナルドはシナーのセカンドサーブのキックサーブに襲い掛かり、その作戦は第2セットで実を結んだ。マクドナルドはベースラインよりはるか後ろに下がってミスを減らし、2度のブレークポイントを凌ぎ、地元の観客を味方につけて第2セットを取り返した。
だが滅多に感情を露わにしないシナーが、第3セット最初のリターンゲームでブレークを果たした時には吠えた。3-0とリードしたシナーはそのまま5-2で2度のマッチポイントを迎えるがマクドナルドが凌ぎ、次のシナーのサービスゲームをブレークする。マクドナルドはその粘り強さで、2019年6月の右大腿筋の手術と長いリハビリから戻ってきたのだ。
しかしシナーはパニックを起こすことなく、第12ゲームでマクドナルドのサービスゲームをブレークして試合を決めた。「とてもメンタル的にタフだった、何度もチャンスがあったからね。それを生かせなかった、大事な時に彼の方が良いプレーをしたからだ。それでももう一度チャンスを掴もうと、今度はブレークしてやろうと頑張った」
もしもマクドナルドが優勝していれば、2007年のロディック以来のアメリカ人チャンピオンで、大会史上3番目にランキングの低いチャンピオンとなっていたところだった。だが残念ながら今回の優勝は逃したが、マクドナルドのランキングは43ジャンプアップして64位となり、怪我の前、2019年4月に達成したキャリアハイの57位も目前となった。
一方のシナーは9ランクアップして自己最高となる15位を達成。また今年得たポイントのみで争う年末の最終戦出場権獲得のための「レース・トゥ・トリノ」でも13位から10位にアップし、出場権を得られる8位が見えてきた。
(テニスデイリー編集部)
※写真は「ATP250 ケルン」でのシンネル
(Photo by Mario Hommes/DeFodi Images via Getty Images)