現在、DDTプロレスの若手ユニットThe 37KAMIINAに所属、リング上で予測不能な戦いを魅せるMAO。8.15後楽園DDT EXTREME 青木真也戦、8.21富士通スタジアム川﨑 葛西純&クリス・ブルック…

現在、DDTプロレスの若手ユニットThe 37KAMIINAに所属、リング上で予測不能な戦いを魅せるMAO。8.15後楽園DDT EXTREME 青木真也戦、8.21富士通スタジアム川﨑 葛西純&クリス・ブルックス戦というビッグマッチを前にMAOは何を思うのか。全2回、後編は2020年2月 田中将斗戦から。

<前編はこちら>

――2020年2月後楽園の田中将斗戦を振り返って貰えますか?

MAO:タッグだと出しきれない部分があります。特にパートナーがベイリーだと展開が早くなりますが、実はじっくりした試合の方が得意だったりします。田中さんとの戦いはそれまで出来なかったことを表現できた試合でしたね。

――ハードコアの道具としてプラケースを使ったアイデアにも驚きました。

MAO:2018年高木さんと抗争しました。高木さんを車で轢いてからハードコアの世界に入りました(苦笑)。その時、葛西純さんとシングル対戦したり、竹田誠志さんと戦ったりしてハードコアに適応していきました。言ってしまえば路上プロレスもハードコアですから(笑)。

その頃、路上プロレスがつまらなく思えてきた時期で、「なぜ面白くないのか?」を考えたら高木さんが「なあなあ」で戦っているからだと。それで高木さんを本気にさせてやろうと思い、車で轢いたら高木さんも本気になってくれました。

――社長を車で轢けるのはプロレスだけですね(苦笑)。

MAO:話を田中戦に戻すと、僕にはイギリスのブリティッシュレスリングやジャパニーズ・ルチャの積み重ねがあり、田中さんとのタイトルマッチでは自分の全てをぶつけたかった。

――シングルプレイヤーとしてのMAOさんの新たな一面が発見した試合でした。

MAO:自分でもそう感じました(笑)。それまで自分はタッグや6人タッグで輝く選手だと思っていたけど「シングルでもイケるかも」と。勝てなかったけど手応えを感じた一戦です。

――その後、2020年6月に左膝靱帯を損傷し約5ヶ月欠場。今年2月後楽園、当時DDT EXTREAME級王者の勝俣選手と「キッズルームデスマッチ・37(サウナ)カウントエディション」を行いました。

MAO:勝俣さんはデビュー2戦目で勝利しDNA時代から5回シングルで戦い負けたことがありませんでした。彼がDDT EXTREAMEのベルトを獲得し初防衛に僕を指名してくれた…だったら思いっきりトコトン戦おうと思いましたね。

――素朴な疑問ですが試合で使った「積み木」って痛いですよね?

MAO:もちろん、そして彼が得意なレゴブロックはメチャクチャ痛いです。四角いブロックは角が4箇所あります。それが身体に程よくめり込むので(苦笑)。

――ハードコアで使う道具が身近なものほど痛みが伝わるので、レゴブロックは十分すぎるほど伝わりました。

MAO:蛍光灯は割る機会が少ないですが、プラケースは日常使う機会があるので分かりやすいし、角がデカくて本当に痛いです(苦笑)。

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――あと派手に壊れますよね。

MAO:バッキバキに壊れますね(笑)。

――現在はThe 37KAMIINAに所属していますが、4人以上のユニットは初めてですか?

MAO:キチンとした形で大きいユニットに入ったのは「The 37KAMIINA」が初めてです。多分、この「仲良い感じのノリ」が苦手なお客さんが一定数いるのは分かります。

――そうですか(笑)。

MAO:敢えて書いて欲しいです(笑)。若い4人がキャッキャと楽しくしているノリに嫌悪感を抱くお客さんがいるのは理解しているけど、僕は絶対に必要だと思っています。せっかくこんなに若くて明るい4人が集まったのだから、僕たちは徹底的に「陽」の部分でなくてはいけないと思っています。

――DAMNATIONはクールなユニットですが、「陽」な印象は受けませんね。

MAO:だから「陽」部分を担うThe 37KAMIINAは絶対に必要なんです。明るい4人、何より私生活も仲良しで一緒に遊ぶし、その姿がリング上に出ます。

――MAOさんは、その場その場の閃きを大切にし、「次にこの技来るな」という予想を裏切ってくれるレスラーですね。

MAO:それこそ広田さくらさんが伸び悩んだ時、長与千種さんに言われた言葉「お客さんを驚かすことだけを考えろ」。その言葉を自分なりに解釈した結果です。

――広田さんの解釈は「コスプレ」でしたが、MAOさん場合は…

MAO:「囚われない動き」、そのために色々なものを取り入れますね。基本がないと応用ができないので基本を大切にしています。だからベーシックな部分を作りたくて、2019年10月から2ヶ月間イギリス遠征に行きました。試合をしつつ、平日はプロレス団体が運営しているスクールに通いました。

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――どこまでも探究心がありますね。今回8/15,21と重要な試合が続きます。まずは8.15後楽園ホールで青木真也選手が持つDDT EXTREME王座に挑戦。MAOさんは日頃からThe 37KAMIINAの中で、自分だけベルトを保持していないことを気にしていますよね。

MAO:はい、これはかなり深刻な問題です(苦笑)。ベイリーとのKO-Dタッグを最後に、2020年2月田中将斗選手にKO-D無差別級挑戦から現在に至るまでKO-D8人タッグ以外、全部のベルトに挑戦しているのに1度も戴冠していないんですよ。DDT UNIVERSALもDDT EXTREMEもKO-Dタッグも…KO-D6人タッグは今年だけで2度失敗しています。

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こんなに挑戦するチャンスがあるのに…チャンスを掴むことができない。The 37KAMIINAで竹下さんと勝俣さんがKO-Dタッグ王者、上野さんがDDT UNIVERSAL王者で焦る部分はあります。

ベルトは選手をすごく成長させると思っていて、上野さんがDDT UNIVERSALを獲得して成長したのを間近で見ているし、勝俣さんもKO-Dタッグを取って変わりました。

ベルトはキャリアを獲得するために必要なものです。自覚とか意識とか細かいところで変化がある。そして個人的に今回挑戦するDDT EXTREMEのベルトはKO-D無差別級よりハードルが高いと思っています。

――DDT EXTREMEのベルトは相手によってルールを設定するので、僕は予測不能の動きをするMAOさんに似合うベルトだと思います。

MAO:その期待も含めてDDT EXTREMEはハードルが高い(苦笑)。僕は全部のベルトに挑戦しベルトを獲得できなかったので、挑戦することへ後ろめたさもあります。

7.18宮城 白石大会のKO-D6人タッグも勝俣さんが挑戦を口にしてくれましたが自分では挑戦表明を言えないですね。僕はベルトに挑戦する順番が後ろの方だと思っています。「欲しいけど後ろめたい気持ち」、だから青木さんから「次期挑戦者はMAO」と指名された時、次の試合の準備でゲートの裏にいたので、かなり驚きました。

――青木選手のファイトスタイルはMAOさんと真逆ですよね。

MAO:いや、そんなことはないかもしれませんよ。青木さんも何にも捉われていないスタイル、しっかりとした格闘技をベースに自分なりに応用したものを積み上げていると思います。

――その青木戦のプランはありますか?

MAO:ルールが「ハードコア柔道」。今のところ、これ以上言えません。ただ青木さんがアイアンマンヘビーメタル級ベルトを獲られたので、僕がそのベルトを獲得し8.15後楽園はダブルタイトルマッチにしたいですね。

僕はアイアンマン王座もキチンと獲得していないし、2020年6月左膝靭帯を損傷した試合がアイアンマン王座をかけたバトルロイヤルだった。

 

――その6日後、神奈川 富士通スタジアム川﨑で勝俣瞬馬選手と組んでクリス・ブルックス&葛西純戦です。

MAO:これもサプライズで川﨑の試合カードが勝俣さんと組むことが発表され、対戦相手がクリス、そしてもう1人…葛西さんの入場曲が流れました。

――対戦相手が「葛西純」と発表された時の会場の驚きは、かなり大きかったですよね。

MAO:かなり大きかったですね。葛西さんとは久しぶりの対戦で、2018年11月後楽園でのシングル対決以来になります。2019年1月に葛西さんとタッグを組んで勝利、願い事を叶える権利を手にし「DDT流のハードコアマッチをしたいので力を貸して貰えませんか?」と直談判したら葛西さんが「MAOちゃんがもっとデカイ男になったら、もっとデカイ会場でやろう」と言ってくれました。

その後、葛西さんが怪我で欠場しDDTのリングに上がらなくなり、自分もThe 37KAMIINAがスタート、なかなかタイミングが合わなかった。

しかし今回、富士通スタジアム川﨑というビッグマッチで葛西さんと対戦することになった。DDTで思いっきりハードコアをやってもらえるのは勝俣・MAO組だろうと。ここ数年、自分なりにDDT流のハードコアを背負い戦ってきたつもりです。

葛西さんの前にDDT EXTREME王者として立てば、あの時約束してくれた「デカイ男」の証になると思います。却ってDDT EXTREMEのベルトを獲得しないと葛西さんに失礼な気もするので。

――かなり重要な2試合ですね。

MAO:1週間でビッグマッチ2試合、忙しい時はいろいろなものが重なるものですね(苦笑)。

――最後に今の素直な気持ちをファンの方にお願いします。

MAO:何度チャンスを貰っても形にできない中、まさかこんなチャンスが来るとは思っていなかった。まず8.15後楽園DDT EXTREME戦、青木さんに勝ってベルトを獲得したい。そうすれば8.21富士通スタジアム川崎、あの時の約束通り「デカイ男」で葛西さんの前に立てます。短期間でのビッグマッチ2試合、MAOの変なプロレスにご期待ください!

<終わり>

<インフォメーション>

8.15東京・後楽園ホール「Summer Vacation 2021」、8.21神奈川・富士通スタジアム川崎「WRESTLE PETER PAN 2021」が行われます。MAOはDDT EXTREME戦を制し、ベルトを巻いて葛西純の前に立つことができるのか。

チケット等、詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。

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取材・文/大楽 聡詞
写真提供/DDTプロレスリング