陸上女子1万m 東京五輪の陸上は7日、女子1万メートル決勝が東京・国立競技場で行われ、日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)が32分23秒87の21位だった。一度引退し、4年間のOL生活を経て復帰した33歳。2012年ロンドン五輪以来2度目の…
陸上女子1万m
東京五輪の陸上は7日、女子1万メートル決勝が東京・国立競技場で行われ、日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)が32分23秒87の21位だった。一度引退し、4年間のOL生活を経て復帰した33歳。2012年ロンドン五輪以来2度目の五輪を走り切った。廣中璃梨佳(日本郵政グループ)は自己ベスト31分00秒71の7位、安藤友香(ワコール)は32分40秒77の22位だった。
レースは廣中がトップ、新谷が2番手に立ってレースを引っ張った。1200メートルを終えた時には新谷は中段に後退。安藤は後方につけて前を窺った。廣中が先頭集団に食らいつく一方、新谷は徐々に遅れ始めると、4000メートル通過時は完全に取り残され、後方集団にのまれた。懸命に足を回したが、巻き返すことはできず。先頭から引き離され、周回遅れで9年ぶりの五輪を終えた。
レース後のテレビインタビューではマスクで顔を隠して号泣。「ここまで本当に何度も何度も逃げたくて、でもそのたびに何度も何度も前を向かせてくれる人たちの応援があった。途中で諦めそうになっても走り切るということはできた」と声を震わせた。続けて「ただ、普段から私が言っている結果を出さなければならないっていうところで、結果を出せなかったのがつくづく私の弱さだと感じました。すみませんでした」と頭を下げた。
涙が止まらなかったインタビュー。謝りながらも、感謝の気持ち忘れなかった。
「私は応援してくれる人たちにこの場で生かされている選手の一人。そういった力が私を含めて大勢の選手の救いになる。本当に応援があってこそのアスリートだと思うので、本当にありがとうございました。たくさんの応援がある中で一番の味方で、どんな時も逃げずに味方でいてくれた横田(真人)コーチがいてくれたので、横田コーチが待っていると思って走りました」
新谷は岡山・総社市出身の33歳。初出場となったロンドン五輪は9位だった。翌年の世界陸上で5位入賞を果たしたが、14年1月に故障や健康上の理由で一度引退。4年間のOL生活を経て18年6月のレースで現役復帰した。19年世界陸上は11位。昨年12月の日本選手権では、18年前の日本記録を28秒45も更新する30分20秒44で優勝を飾り、異次元の走りを見せつけていた。
今大会は5000メートルでも代表入りしたが、1万メートルに専念するため辞退。走りはさることながら、女性アスリートの生理の実情や東京五輪開催に向けたメッセージなども発信し、言葉にも魅力を持つアスリートとして注目を集めていた。(THE ANSWER編集部)