野球日本代表の侍ジャパンは2日、決勝トーナメント初戦の米国戦に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。9回1死から同点に追い付…
野球日本代表の侍ジャパンは2日、決勝トーナメント初戦の米国戦に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。9回1死から同点に追い付き、延長10回タイブレークの末に甲斐拓也が右越えのサヨナラ打を放った。
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今大会の延長タイブレークは10回から採用。無死一、二塁で継続打順の打者が打席に立ち、打順が1つ前の打者が一塁走者、2つ前の打者が二塁走者となる。
10回表、米国は5番フレージャーからの打順。送りバントはさせずそのまま打たせて、栗林の前に3者凡退に倒れた。
対する日本はその裏、村上に代打・栗原を告げて送りバント。1死二、三塁となり、甲斐が右越えのサヨナラ打で試合を決めた。
この場面、米国は中堅手を内野へ移動させ、外野手を2人に減らし、内野手5人シフトを敷いてきた。メジャーではしばしば見られるこのシーン。サヨナラ負けを阻止したい土壇場で採用され、米国の指揮を執るマイク・ソーシア監督がエンゼルス監督時代にもよく使った作戦でもあった。
ソーシア監督は2002年にはエンゼルスでワールドシリーズ制覇。その時に腹心となるベンチコーチとして支えたのが、現エンゼルスのジョー・マドン監督である。ソーシアの英才教育を受けたマドンは、その後レイズ監督として頭角を表し、カブスの指揮官としてワールドシリーズ制覇を成し遂げた。現在ではメジャーきっての智将として知られるが、そのマドンもソーシア譲りの内野手5人シフトの使い手として知られる。
日本プロ野球でも、過去に何度か公式戦でみられたシーンはある。巨人・原辰徳監督は2014年7月の阪神戦で採用したことがある。よく用いていたのが広島と楽天を指揮したマーティ・ブラウン監督。公式戦で5度以上採用している。
侍ジャパンの作戦面を担う金子ヘッドコーチも、2020年の日本ハム名護キャンプでこの作戦を試していた。当時想定していたのは1点取られたらサヨナラ負けという無死満塁、もしくは1死満塁というシーン。日本ハムでは野手総合コーチを担当しており「ホームでアウトが大前提」と説明。逆のケースで外野手4人シフトもテストしていた。
内野手5人シフトは、定位置への外野フライでも犠飛となりサヨナラ負けが確定するため、外野へは飛球を飛ばさせずにゴロで仕留めるのが大前提。そういう意味では2日の試合では米国バッテリーの攻め方に疑問が残る。初球にカウントを取りにいくような外角へのスライダー。これを甲斐におっつけられた。少なくともこの場面では一塁は空いていたわけで、四球も覚悟の上で厳しい攻めをしなければ内野手を5人にした意味が薄れてしまう。
あくまでセオリーを無視した奇策であり、窮地に陥った際の苦し紛れの作戦でもある。はまれば効果は大きく、大々的に取り上げられることにもなるが、過去を振り返ってもその多くが失敗に終わっているのが事実だ。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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