3日、東京オリンピックの男子サッカー準決勝が開催される。ここまで勝ち上がってきたU-24日本代表は2012年のロンドン・…
3日、東京オリンピックの男子サッカー準決勝が開催される。ここまで勝ち上がってきたU-24日本代表は2012年のロンドン・オリンピック以来の準決勝進出。ここで勝利すれば、史上最高の銀メダル以上が確定する。
相手は、金メダル候補のU-24スペイン代表。実力者が揃うチームだが、五輪本番前の試合では1-1のドローに終わった。半月ぶりの再戦でどのような戦いを見せるのか。目標に向けて互いに落とせない一戦だ。
◆予想通りの準決勝スペイン戦

大会前の親善試合でU-24スペイン代表と対戦した日本。その試合後に森保一監督は「多くの選手が厳しい戦いを、レベルの高い相手との戦いを経験できたことは、東京オリンピックに向けて非常に良い試合をさせてもらったと思います」とコメント。一定の手応えを語っていた。
一方でピッチで対峙したDF吉田麻也(サンプドリア)は「勝ち上がれば、またこういう相手と戦うことになるので、次やるときはより質の高いプレーが求められると思います」とコメント。その時がついに訪れたということだ。
ニュージーランド戦では、遠藤航、上田綺世がそれぞれ決定機を迎えたが、遠藤は枠を外し、上田はGKの好セーブに阻まれた。攻めていてもゴールを奪えなかった結果が、120分を戦いPK戦に委ねられるという状況にもつれ込むこととなった。
しかしながら、これまでであればそのまま敗れてきたような展開もしっかりと勝利。そこに今回のチームの強さを見ることができたようにも思う。
延長後半にはセットプレーからあわやというシーンを作られたが、吉田がブロックしことなきを得た。決まっていれば、そのまま敗れていただろう。そこを凌ぎ、PKでは守護神が躍動し、ベスト4にまでこぎつけた。まだ運もある中で、しっかりとここを勝ちきりたい。
◆金メダル候補にも不安材料はあり

対するスペインは、グループステージの初戦でDFオスカル・ミンゲサとMFダニ・セバージョスが負傷。チームも1勝2分けと苦しみながらもグループステージを突破した。
そして迎えた準々決勝ではU-24コートジボワール代表と対戦。この試合でミンゲサが復帰したが、開始10分で負傷交代するアクシデントに見舞われてしまった。
さらに後半アディショナルタイムに相手に勝ち越されるという大ピンチに。しかし、そこで投入されたラファ・ミルが起死回生の同点ゴールを決めると、延長に入ってラファ・ミルの2ゴールなど3ゴールを奪い、5-3で勝利した。
中2日の連戦により選手たちのコンディションは徐々に落ちている状況。試合勘が取り戻せていながらも、主導権を握り続けられているわけではないという状態だ。日本にも付け入る隙がないわけではない。
とはいえ、クオリティの高い選手は多く、得点を奪いに行くとパワーをかけた時の破壊力は凄まじい。会心の試合をここまで見せていないことも末恐ろしい状況ではある。初戦で負傷したセバージョスも復帰のほどは定かではないが、トレーニングには復帰した。
日本と大会前に戦っているために互いに分析が進んでいることは事実。スペインは主力を投じた後半に主導権を握っていたこともあり、攻略法は見出しているいかもしれない。どのような形で臨んでくるかに注目だ。
◆予想スタメン[4-2-3-1]

GK:谷晃生
DF:酒井宏樹、吉田麻也、板倉滉、中山雄太
MF:遠藤航、田中碧
MF:堂安律、久保建英、三好康児
FW:前田大然
監督:森保一
出場停止:冨安健洋
当初の目標であった6試合を戦うというミッションは達成した日本。その6試合目が金メダルを争う戦いなのか、銅メダルを争う戦いなのかが今夜決まる。
5試合目となったスペイン戦。ゴールを守るのはGK谷晃生(湘南ベルマーレ)だ。U-24ニュージーランド代表との準々決勝では、空中戦の強い相手にしっかりと対応。さらにPK戦では1本のシュートをセーブし、チームに勝利を呼び込んだ。試合を重ねるごとに安定感は増す状況。多くのシュートを浴びる可能性があるが、谷がゴールを割らせなければ負けはない。
最終ラインは右サイドバックにDF酒井宏樹(浦和レッズ)が復帰。センターバックは吉田とDF板倉滉(フローニンヘン)がコンビを組むだろう。冨安健洋(ボローニャ)がニュージーランド戦で2枚目のイエローカードをもらったことで出場停止に。しかし、初戦と2戦目でCBとして板倉が出場していたことがプラスに働きそうだ。なお、左サイドバックはDF中山雄太(ズヴォレ)が入るだろう。スペインのサイドアタックにしっかりと対応してもらいたい。
ボランチコンビは_MF遠藤航(シュツットガルト)とMF田中碧(デュッセルドルフ)の盤石のコンビだろう。準々決勝でイエローカードも清算。よりアグレッシブなプレーをここ一番で発揮できるはずだ。スペインを凌ぐゲームコントロールを見せてもらいたい。
2列目もMF堂安律(PSV)、MF久保建英(レアル・マドリー)は変わらないだろう。2人のコンビネーションが試合のカギを握る。いかにコンビネーションでスペイン守備陣を崩すか。そこがポイントだ。そして左サイドにはMF三好康児(アントワープ)が入ると予想する。2列目の3人のコンビネーションという点を考えると、左利きトリオが最も良い連携を見せていた印象だ。お互いを感じ、それぞれを補完できる関係を作るには三好が最適解か。守備面を含めても期待を寄せたい選手の1人だ。
そして1トップだが、満を持してFW前田大然(横浜F・マリノス)を推したい。ここまでの戦いではFW林大地(サガン鳥栖)の最前線で体を張ったプレーは日本を大きく支えた。守備面でも前からしっかりと追いかけるプレーは守備のスイッチ役にもなっていたが、スペインが後方からのビルドアップを得意とすることを考えると、よりスプリント回数が計算できる前田が良いと考える。
世界にも通用するスピード、それによる相手のミスを誘発させることや2列目がボール奪取をするシーンを作り、ショートカウンターで仕留めるという作戦はスペインには効果的と言えるだろう。金メダルに向けた総力戦となる一戦。森保一監督のベンチワークを含めた采配にも注目だ。
互いに金メダルを目指す運命の一戦。U-24日本代表vsU-24スペイン代表は埼玉スタジアム2002で8月3日(火)の20時にキックオフを迎える。