8月2日、日本代表は決勝トーナメント進出に向け非常に大きな意味を持つ対ナイジェリア戦を迎える(写真/©fiba.bask…

8月2日、日本代表は決勝トーナメント進出に向け非常に大きな意味を持つ対ナイジェリア戦を迎える(写真/©fiba.basketball)

 

 東京オリンピックの5人制女子バスケットボールに出場している日本代表が、準々決勝進出に向け山場を迎えている。8月2日の午前10時からはナイジェリア代表とのグループB最終戦。この結果いかんで、というよりも、この試合に続いて13時40分から始まるフランス代表対アメリカ代表戦、さらにはそれ以降の他グループの試合結果の影響の中で、8強入りかグループラウンド敗退かの運命が決まるのだ。

 

 日本代表は金メダル獲得を目標として掲げ、ここまでの2試合(フランス代表に74-70で勝利、アメリカ代表に69-86で敗戦)はいずれも非常にハイレベルなパフォーマンスを見せている。1勝1敗の成績は理想的ではないが、本質的には間違いなく金メダル獲得を語る資格がある。しかし、グループラウンド突破のハードルは、実は簡単には飛び越えられない難関なのだ。

 

勝てばその時点で8強入り

 

 決勝トーナメント進出の条件は、3つのグループで2位以上に入るか、各々の3位となる3チーム中で2位に入ること。8月1日までの試合を終えた時点では、順位がすべて確定しているのはグループAのみで、3勝0敗のスペイン代表、2勝1敗のセルビア代表が決勝トーナメント進出を決めている(3連敗の韓国代表の敗退が確定)。日本が入っているグループBは順位がまだ未確定だが、すでに2勝を挙げているアメリカ代表は他のグループの3位(および3位になる可能性のあるチーム)に2勝できるチームがないため、決勝トーナメント進出が決まった。グループCでは、ここまで2勝0敗同士のベルギー代表と中国代表の2位以上が確定している。

 

 日本代表は、仮にナイジェリア代表を倒して2勝1敗となった場合に、フランス代表がアメリカ代表を倒して日・米・仏の三つ巴の中でグループB3位となる可能性はあるが、上記のアメリカ代表と同じ背景で決勝トーナメントに進出できる。

 

 それでは、仮にナイジェリア代表に敗れた場合はどうか。その場合には、ナイジェリア代表と1勝2敗のタイとなる。加えて、続く米仏の対戦でアメリカ代表が勝てば、フランス代表も同じ1勝2敗で三つ巴。フランス代表がどんな内容で試合を終えるかにより順位が変わってくる。

 

 さらに、日本代表が1勝2敗でグループB3位となった場合には、以下のような戦況から、米仏戦が終わった段階でも最終的な運命は確定しない。

 

グループA: カナダ代表(1勝2敗、得失点差+7)が3位で確定

グループC: オーストラリア代表(0勝2敗、得失点差-17)、とプエルトリコ代表(0勝2敗、得失点差-77)が勝敗ではタイで、8月2日21時からのグループラウンド最終戦で直接対決

 

 もしも日本代表がナイジェリア代表に敗れた場合には、カナダ代表、日本代表、ナイジェリア代表、そしてオーストラリア代表対プエルトリコ代表戦勝者から、FIBA規定によるタイブレーカーを生き残らなければならない(フランス代表も、アメリカ代表に敗れた場合にはこのタイブレーカーに加わる)。

 

 グループラウンドのタイブレーカーについては、FIBAのオリンピック特設サイトで「公式ルール集『FIBA OFFICIAL BASKETBALL RULES(2020年)』の78ページ[D. CLASSIFICATION OF TEAMS]に記された基準によると書かれているので、確認してみると以下のような基準が記されていた。

 

☆タイブレーカーの基準

 

 もし2チーム以上がグループにおける全試合の勝敗で並ぶ場合、当該チーム同士間の勝敗で順位を決する。もしそれら2チーム以上が互いの対戦において同じ勝敗で並ぶ場合、以下の基準を順次適用する。

 

・当該チーム同士間の試合における得失点差

・当該チーム同士間の試合における得点数

・全試合における得失点差

・全試合における得点数

 

 全試合が終了する前の段階で上記基準により順位が決められない場合には、全試合終了時点まで同順位とする。全試合が終了しても上記の基準で順位が決められない場合には、くじ引きを行う。

 

D.1.3 If 2 or more teams have the same win-loss record of all games in the group, the game(s) between these 2 or more teams shall decide on the classification. If these 2 or more teams have the same win-loss record of the games between them, further criteria shall be applied in the following order:

Higher game points difference of the games between them. Higher number of game points scored in the games between them. Higher game points difference of all games in the group. Higher number of game points scored in all games in the group.

If still tied before all games have been played in the group, tied teams shall share the same ranking. If these criteria still cannot decide at the end of the group phase, a draw shall decide on the final classification.

 

いずれにしても負けられない日本代表

 

 この場合、得失点差で有利なのは+7のカナダ代表。現時点で得失点差が-13の日本代表がナイジェリア代表に負けるとなれば、それは-14以下になることを意味しているので、カナダ代表を上回ることはできない。

 

 さらに、グループC最終戦でオーストラリア代表が4点差以上でプエルトリコ代表に勝つと、得失点差が-13以上となり日本代表を上回ってしまう。ここまでの戦況から考えると、オーストラリア代表が僅差にしてもプエルトリコ代表に勝つ可能性は相当ありそうだ。

 

 したがって日本代表にとって、対ナイジェリア代表戦勝利がほとんど必須事項。しかしこれは簡単な仕事ではない。ナイジェリア代表はFIBA世界ランキング17位で、同10位の日本代表よりも低いものの、今大会でアメリカ代表に対し72-81と善戦している。

アメリカ代表戦で果敢なドライブを試みるナイジェリア代表のカルー。スピードと得点力のあるプレーメイカーだ(写真/©fiba.basketball)


非常に危険なナイジェリア代表

 

 ナイジェリア代表の平均身長はフランス代表と同じ185cmあり、190cm台のフロントラインが3枚。バックコートのエジ―ネ・カルー(173cm、平均13.0得点、2.5アシスト、1.5スティール)、プロミス・アムカマラ(175cm、10.5得点、3.5アシスト、2.5スティール)らが攻守に非常にアクティブで、フルコート・プレスと速攻でアグレッシブに対抗してくるチームだ。フランス代表には62-87で敗れ現時点では0勝2敗だが、この試合はいわゆる「番狂わせ注意報(upset alert)」がつく試合と言えるだろう。それだけに、2試合を終えて大会のアシストリーダー(平均11.0)の町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)を中心に、弱気にならず思い切りのよいオフェンスを展開する姿勢が重要になる。

 

冴えを見せる町田のプレーメイクはこの試合でももちろん欠かせない要素となるだろう(写真/©fiba.basketball)

 

 日本代表はここまでの2試合で、高さのある相手に対し大きな課題としてきたチームディフェンスとチームリバウンドでよく奮闘している。リバウンドでは、フランス代表に対し34-35とほぼ互角。セカンドチャンスでの得点(9-8)、リバウンドの副産物でもある速攻での得点(12-8)で相手を上回ったことが勝利の大きな要因だった。

 

 また、平均身長がさらに大きなアメリカ代表(平均186cm)に対しても、リバウンド総数では33-48と上回られたが、オフェンス・リバウンドでは8-6と勝っていた。日本代表の平均身長は176cmだが、毎試合長身プレーヤーとフィジカルに戦っている高田真希、2試合でチーム1位の平均8.5リバウンドを記録している赤穂ひまわり(ともにデンソーアイリス)らの奮闘で、平均で9-10cmある身長差を非常によく埋めている。

 

 アメリカ代表を80点台にとどめたディフェンスも、非常に高く評価できる。この試合ではフルコート・プレッシャーと高田を中心としたポストプレーヤーに対するダブルチームが非常に有効で、WNBAのスターがそろうアメリカ代表からターンオーバーを17本誘発させ(日本代表は10本)、そこからの得点で19-12と上回った。

 

15-20cmもの身長差を跳ね返す高田のインサイドプリゼンスは世界でほかにないレベルだ(写真/©fiba.basketball)

 

 ナイジェリア代表との試合では、リバウンドとディフェンスの側面でこれまでの2試合と同レベルのパフォーマンスをすることに加え、3Pショットの精度を高められるかどうかがカギとなる。

 

 3Pシューティングに関して、この2試合は大きな波があった。初戦では長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)、林 咲希(ENEOSサンフラワーズ)を中心にチームとして40.7%(11/27)を成功させた。特に第4Q終盤、69-68の1点リードだった残り29秒に、宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)のアシストで長岡が沈めたクラッチスリーは、試合の流れを日本代表側に引き寄せる一撃だった。

 

 しかしアメリカ代表との試合では逆に、3Pショットが26.3%(10/38)と低調だったことが、流れを持っていかれる要因となった。この試合では第1Qを30-28と日本代表がリードしていたが、好調の要因だった3Pショットが第2Q以降に急降下。相手のドーン・ステイリーHCは試合後に、「第2Q以降はドリブルさせるように仕向けました」と話していたが、第2Q以降は長身プレーヤーがコンテストしてくる中で、やはりストロークが影響を受けたか…。ナイジェリア代表との試合では、同じ結果は何としても避けたいところだ。

 

 5人制女子バスケットボールはグループラウンドを8月2日に終了し同日に決勝トーナメントのドローが行われる。決勝トーナメントは8月4日(水)の準々決勝で幕を開け、その後上位戦は8月8日(日)の決勝戦まで続いていく。

 

林は2試合で3Pショットを13本中5本(38.5%)成功させ平均12.0得点。ナイジェリア代表との試合でも活躍に期待がかかる(写真/©fiba.basketball)


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)