夏の北海道で開催される伝統の牝馬限定重賞、GIIIクイーンS(函館・芝1800m)が8月1日に行なわれる。 牝馬重賞と…
夏の北海道で開催される伝統の牝馬限定重賞、GIIIクイーンS(函館・芝1800m)が8月1日に行なわれる。
牝馬重賞と言えば「荒れる」印象が強いが、過去10年のクイーンSの結果を振り返ってみると、1番人気が5勝、2着2回、3着2回。馬券圏内(3着以内)を外したのはわずか1回と、非常に安定した成績を残している。
しかしその一方で、8番人気以下の伏兵が馬券圏内にしばしば突っ込んできており、3連単では頻繁に好配当が生まれている。昨年も11番人気のレッドアネモスが勝って、3連単は15万円超えの高配当となった。
また、例年札幌で行なわれるレースだが、今年は函館が舞台。波乱ムードが一段と高まっている。そうした状況にあって、デイリー馬三郎の吉田順一記者は勝敗のカギを握るのは「函館の馬場がポイント」と分析する。
「函館競馬場のクッション値は1、2週目を通じて、他の競馬場に比べると格段に軟らかく、それがやや時計がかかっている要因となっています。しかし、先週の日曜日には2勝クラスの芝2000m戦で1分59秒9、同じく2勝クラスの芝1200m戦で1分8秒7と、多少速い勝ち時計が出始めてきました。
徐々にクッション度が上がっており、雨量が少ない今週はクッション値が8.0ぐらいまで上がる可能性も(※クッション値は8~10が標準。7以下が軟らかめ。12以上は硬め)。もちろん、それでも(馬場が軟らかめの)洋芝巧者を狙うのが本筋ですが、時計の裏付けがあればなおさら、心強い存在になるでしょう」
さらに、日刊スポーツの三嶋毬里衣記者は、今週からのコース替わりにも注目。そのうえで、狙い目となるタイプについてこう語る。
「Aコース最終週となった先週でも、芝で行なわれた14レース中、4レースで逃げ切り勝ち、7レースで先行馬が勝利しました。そして、今週からはBコース。先行馬優位の傾向がより強まるのではないでしょうか」

クイーンSでの大駆けが期待されるサトノセシル
そこで三嶋記者は、今回格上挑戦で、重賞初挑戦となるサトノセシル(牝5歳)を穴馬候補に挙げる。
「前走の2勝クラス・洞爺湖特別(7月3日/函館・芝1800m)は、同型が控えて単騎で逃げられたとはいえ、平均ペースでレースを作って2着に1馬身半差の完勝。強い内容でした。勝ちタイム1分47秒0は、同週のオープン特別・巴賞(7月4日/函館・芝1800m)の勝ちタイムを1秒も上回っており、格上挑戦でも侮れません。
口向きが難しい馬ですが、前走ではその点でも改善が見られました。およそ5カ月半ぶりの前走を叩いて、上積みも見込めます。ここで好勝負を演じてもおかしくありません」
三嶋記者はもう1頭、シゲルピンクダイヤ(牝5歳)も穴候補に推奨する。
「以前はゲート入りを嫌がって、発走時間を遅らせることもありましたが、目隠しをして入るようになってからはスッとゲート入りし、不安だったゲートが改善。以前に比べて、前半から好位のポジションを取れるようになりました。
2歳未勝利を勝った2018年11月以降、勝ち星からは遠ざかっていますが、GI桜花賞(阪神・芝1600m)2着、GI秋華賞(京都・芝2000m)3着と、能力が高いことは明らか。前走のGIヴィクトリアマイル(5月16日/東京・芝1600m)でも見せ場たっぷりの5着と奮闘しました。
勝ったグランアレグリアは抜けていましたが、2着ランブリングアレーとはコンマ1秒差。今回、人気の一角を担う3着マジックキャッスル(牝4歳)とはクビ+クビという僅差で、逆転の余地は十分にあります。先行できるようになった今なら、小回りコースにも対応可能。約3年ぶりの勝利も期待できます」
一方、吉田記者は「明確な穴馬候補と言えるのは条件クラスの馬となりますが、今年は頭数もそろっていて粒ぞろいのメンバー構成。であれば、人気の盲点となる実績馬に馬券的な妙味があります」と言って、クラヴァシュドール(牝4歳)に注目する。
「昨秋以降、スランプ状態にありましたが、GIII福島牝馬S(4月24日/新潟・芝1800m)の出走取消後に立て直して、前走のオープン特別・米子S(6月19日/阪神・芝1600m)で3着と好走。復調をうかがわせました。
そこからも再調整して、この中間の調教では栗東の坂路で折り合って、抜群の瞬発力を披露。余力を残した状態で、ラスト1ハロン11秒7という好時計を計測しました。
その後、函館への長距離輸送も問題なくこなして、1週前の金曜追い、最終追いでは、本馬場でジョッキーが騎乗。呼吸の合った走りを見せて、好気配でした。状態面に関しては、間違いなく"うなぎ上り"です。
パドックで発汗が目立ったりと気性の激しさがあることを踏まえれば、函館に滞在して競馬に挑めるのもプラス。持ち時計がありながら、馬場不問で軟らかい馬場にも対応できます。
とにかく、状態のよさと滞在競馬によって、パフォーマンスが高まる可能性は大。好位あたりを追走し、長くいい脚を使える展開となれば、上位争いへの期待は一層高まります」
吉田記者ももう1頭、気になる馬がいるという。前走のGIIIマーメイドS(6月20日/阪神・芝2000m)で、10番人気の低評価で大金星を挙げたシャムロックヒル(牝4歳)だ。
「有力馬のマジックキャッスル、ドナアトラエンテ(牝5歳)、テルツェット(牝4歳)、フェアリーポルカ(牝5歳)などは、中団から勝負どころで進出するタイプ。となれば、逃げ、先行で結果を出しているシャムロックヒルは、序盤から勝負どころまで前で楽に運べるはず。その展開の利は大きいと思います。
斤量こそ、前回の50kgから55kgと大幅に増えますが、クッション度の低い洋芝は歓迎のクチ。前、前で運んで、後ろに脚を使わすように動いて、適度に上がりがかかる競馬となれば、重賞連勝も。その能力は秘めています」
前走の結果がフロック視されているシャムロックヒル。再び勝ち負けを演じることになれば、今回もオイシイ配当をもたらしてくれるかもしれない。
そんなシャムロックヒル同様、ここに挙げた面々は皆、一発あっても不思議ではない。はたして、真夏の牝馬決戦で波乱を起こすのはどの馬か、必見である。