「BNPパリバ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/3月8~19日/賞金総額769万9423ドル/ハードコート)は本戦4日目、女子シングルス2回戦で大坂なおみ(日清食品)が…

 「BNPパリバ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/3月8~19日/賞金総額769万9423ドル/ハードコート)は本戦4日目、女子シングルス2回戦で大坂なおみ(日清食品)が第30シードのジャン・シューアイ(中国)を6-4 6-2で破った。

 ジャンは昨年の東京のジャパン・ウィメンズ・オープン2回戦で大坂が敗れた相手。180cmの大坂ほどではないが177cmとアジア選手としては長身で、昨年の全豪オープンでベスト8に進出して話題になった。大坂は1回戦に勝ったあとジャンへのリベンジを誓ったものの、3-6 2-6で完敗した28歳に対して今日も出足は悪く、第2ゲームでいきなりブレークを許してしまった。時速200kmの高速サービスを誇るものの、ファーストサービスの確率が低いのが難点だ。このゲームも15-0から4ポイント連続でセカンドサービスからのポイントを失った。

「最初はちょっと緊張した。私はいつもスタートが悪い」とあとで振り返ったが、すぐにブレークバックできたことで落ち着きを取り戻した。特にジャンのセカンドサーブになるとコートの中に大胆に入ってアタック。0-2から5ゲームを連取し、第8ゲームをブレークされて4-5まで追い上げられたが、2度目のサービング・フォー・ザ・セットはきっちりと締めくくった。

 第2セットになるとファーストサービスの確率は第1セットの53%からさらに落ちて37%になったが、大坂のパワーに押されていたジャンはこれを攻めきれなかった。大坂は第2ゲームで3度のデュースの末にキープ。その後はピンチらしいピンチもなく、持ち味の勝負強さですぐに自分がブレーク。4-2でだめ押しのブレークに成功し、勝利を決定づけた。

 昨年の秋からコーチについているデビッド・テイラー氏は、大坂の最近の変化についてこう話す。

「以前の彼女はあれだけのパワーとショットの種類を持ちながら、勝利につなげることができなかった。いつどんなショットを選択するかという判断力を高め、またポイントパターンを増やすことが僕たちが今取り組んできたことだ。それがうまくいっている」

 3回戦では第9シードのマディソン・キーズ(アメリカ)に挑む。昨年の全米オープンでも3回戦で対戦し、大坂は目前の勝利をつかみそこねた苦い経験がある。2試合連続のリベンジマッチを果たせるか。

「あのときに比べたら今の私は簡単にパニックにならないし、作戦もある。でも(作戦は)試合までは言わないよ」

 上達していく日本語にときどき英語をまぜながら、少しおどけるように話した。

 キーズは左手首の手術のために今季序盤の大会を欠場し、これがシーズン初大会。実戦不足ではあるが心身ともにフレッシュな状態で、手強いパワープレーヤーであることは間違いない。「完全なアウェー」も覚悟している。日米が注目する楽しみな一戦だ。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)