アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/3月9~19日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、世界1位のアンディ・マレー(イギリス)が、自…

 アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/3月9~19日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、世界1位のアンディ・マレー(イギリス)が、自分よりも128位もランクングが低い相手に驚かされることになった。1回戦がBYE(免除)だったため、マレーにとっては初戦となったこの試合で、彼は予選を勝ち上がったバセック・ポスピショル(カナダ)に4-6 6-7(5)で敗れたのである。  これは疑いなくポスピショルにとって、キャリア最大の勝利だった。彼はフォアハンドのウィナーを叩き込んで、4度目のマッチポイントをものにしたあと、ラケットをくるくる回して放り投げた。ポスピショルのテニスにおけるこれまでの最高の成就は、2014年のウィンブルドン男子ダブルスでジャック・ソック(アメリカ)とペアを組み、優勝したことだろう。  「キャリアを通していくつかの素晴らしい瞬間を経験したが、これは間違いなくそのひとつだ」とポスピショルは言った。「世界ナンバーワンの、アンディほどの偉業を成した選手、テニス界でもっとも偉大な選手の一角を倒せるなんて本当に素晴らしいことだ」。  試合前には、マレーがこうも苦労することになると考える理由はほとんどなかった。結局のところ、マレーは世界1位であり、3つのグランドスラム・タイトルと、2つの金メダルを獲り、ポスピショルより5500万ユーロも多く稼ぎ、「45」のシングルス・タイトルを勝ち獲った選手なのだから。

 さらにマレーは過去の対戦成績で、ポスピショルに対して4戦全勝していた。  ところが、今回のポスピショルはマレーのセカンドサービスを非常に効果的に攻撃し、マレーのサービスを4度----第1セットだけで3度ブレークした。また強力なネットプレーでマレーのバランスを崩し続けた。  傾向は、この試合の序盤ですでに色濃く表れていた。マレーは、第1セットでポスピショルのサーブを2度ブレークしたが、そのたびにブレークバックされ、このセットでのセカンドサービスからの9ポイントのうち、1ポイントしか取ることができなかった。  ポスピショルは第2セットの出だしにふたたびブレークを果たして2-0とリードし、マレーが6度目のダブルフォールトをおかしたあと、3-0とするための2つのブレークポイントをつかんだ。しかしマレーはそこで踏ん張り返してキープに成功すると、それからブレークバック。タイブレークまでには、より安定性のあるプレーを取り戻していた。  ところがタイブレークでのマレーは、ふたたびぐらつき、またもダブルフォールトで相手に3-1とリードを与えてしまう。ポスピショルはリードを6-2まで広げ、そこから数ポイントを落としたものの、最後は集中力を高め、4度目のマッチポイントで番狂わせを完了させたのだった。

 「もちろん、特に第2セットでは試合中に考えるべきでないことが頭に入り込んだ。世界一の選手を倒せそうになることは、キャリアでそう何度も起きることではないからね」とポスピショルは試合後に明かした。  一方マレーは「今日はサービスがあまりよくなかった。それは助けにはならなかったね。第2セットでは、彼がよりアグレッシブにプレーし始めた」と、試合後に振り返った。「彼はまた、重要な瞬間、重要なポイントで何本かのいいボレーを決めた」。  土曜日に敗れたそのほかのシードは、第7シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)、第11シードのイボ・カルロビッチ(クロアチア)、第30シードのフェリシアーノ・ロペス(スペイン)だった。

 この大会前に2大会で優勝していたツォンガだが、この日はファビオ・フォニーニ(イタリア)に6-7(4) 6-3 4-6で惜敗。カルロビッチは、日本の西岡良仁(ミキハウス)に4-6 3-6でストレート負けした。ロペスはドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)に2-6 6-4 6-7(2)で競り負けた。(C)AP(テニスマガジン)