阪神タイガースで活躍し、今季はMLBデトロイト・タイガースとマイナー契約を結んだマット・マートン外野手。メジャー昇格を目指す35歳の波乱万丈のキャリアは、米メディアから「野球界最高の復活劇」と紹介されている。■元阪神マートン、今も忘れられな…

阪神タイガースで活躍し、今季はMLBデトロイト・タイガースとマイナー契約を結んだマット・マートン外野手。メジャー昇格を目指す35歳の波乱万丈のキャリアは、米メディアから「野球界最高の復活劇」と紹介されている。

■元阪神マートン、今も忘れられない日本デビュー戦「アメージングな光景」

 阪神タイガースで活躍し、今季はMLBデトロイト・タイガースとマイナー契約を結んだマット・マートン外野手。メジャー昇格を目指す35歳の波乱万丈のキャリアは、米メディアから「野球界最高の復活劇」と紹介されている。

「諦めることができない、野球界最高の復活劇に出会う」というタイトルで特集したのは地元紙「ニューヨーク・ポスト」だ。

 マートンは2003年にレッドソックスからドラフト1巡目で指名された。カブス、アスレチックス、ロッキーズを経て、2010年に阪神に移籍。ヒットを量産する活躍で虎党の心をわし掴みにした後、2015年にカブスに復帰した。だが、昨季ワールドシリーズ制覇を果たした強豪でメジャー昇格を果たせず。今季はタイガースとマイナー契約を結んでいた。

 特集では、マートンの激動の人生を以下のように報じている。

■忘れられない日本の記憶、「スタンドは大盛り上がりだった」

「ハリウッドの脚本のようだ。年を経ったアスリートは諦めない。プレーを上達させるために世界中を巡る。そして、かつて叶わなかったことを成し遂げるために、全ての始まりの場所に戻る。マット・マートンはクライマックス、正念場を迎えている。

 ジャーニーマンはデトロイトで野球界最高のカムバックストーリーの1つを描こうとしている。しかし、これが映画なら誰も見ないだろう。彼の存在を知らないタイガースの選手もいるのだから」

 メジャー復帰への挑戦はまるでハリウッド映画と評されている35歳のベテランは、タイガースでのメジャー昇格を目指すフロリダ州レークランドでのスプリングトレーニングで、外野手の仲間から「20代前半ですか?」と質問されるほど若々しさを発しているという。

 2010年、阪神のデビューシーズンに当時NPB新記録の214安打をマークした日本時代を、こう振り返っている。

「日本では最初のレギュラーシーズンの最初のイニングを覚えている。スタンドは大盛り上がりだった。これで初回か。この盛り上がりが続くことはないだろうな、と思ったんだ。サッカーの国際試合のようだったよ。バンドは演奏していて、フラッグがたな引いていた。アメージングな光景だったよ」

■引き際の美学、「最後の瞬間まで立ち止まりたくない」

 記事によると、2014年に首位打者に輝き、阪神を日本シリーズ出場に導いたマートンは、メジャー再挑戦の思いが日に日に高まっていたという。NPBの他の球団から高額オファーも届いたというが、カブス移籍を選択。記事ではワールドシリーズを制したスター揃いの強豪で、3Aのアイオワ・カブスで2番目の年長野手として打率.314、出塁率.349、長打率.398という成績を残したことを紹介しているが、メジャー復帰の夢は叶わず。昨年11月にカブスから放出された。

「レースに出るなら、最後にはご褒美を勝ち取りたい。アスリートとして競争者として最後の瞬間まで立ち止まりたくないという衝動が自分の中にあるんだ」

 こう語ったマートンは、やがて来る引退の日について「その日がやってきたら、終わりの日がやってきたら、ある程度の安堵のため息とほろ苦い気持ちがそこにはあると思う」と明かしたという。

 若いマイナーリーガーとともに、白球と夢を追い続ける35歳のマートン。2009年のロッキーズ以来となるメジャーの舞台を今季、踏むことができるだろうか。