野球日本代表「侍ジャパン」は10日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド第3戦で中国に7-1で快勝し、3連勝を飾った。3試合連続でスタメンマスクをかぶった小林誠司捕手(巨人)が、1点リードの2回に貴重な追加点とな…

野球日本代表「侍ジャパン」は10日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド第3戦で中国に7-1で快勝し、3連勝を飾った。3試合連続でスタメンマスクをかぶった小林誠司捕手(巨人)が、1点リードの2回に貴重な追加点となる2ランをマーク。小久保裕紀監督も「日本の正捕手」として絶大な信頼を寄せている。

■中国戦では会心の2ラン、3試合連続スタメンマスクで光る存在感

 野球日本代表「侍ジャパン」は10日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド第3戦で中国に7-1で快勝し、3連勝を飾った。3試合連続でスタメンマスクをかぶった小林誠司捕手(巨人)が、1点リードの2回に貴重な追加点となる2ランをマーク。この試合は4回の攻撃で代打・内川聖一外野手(ソフトバンク)を送られ、“お役御免“となったが、大会が開幕してから攻守両面で活躍が光る。小久保裕紀監督も「日本の正捕手」として絶大な信頼を寄せている。

 会心の一発だった。2回、2死から好調の松田宣浩内野手(ソフトバンク)がレフト前ヒットで出塁すると、小林が打席へ。2ボールから右腕ガン・チュエンの直球を完璧に捉えた。打球はライナーでレフトスタンドへ。昨年までのプロ3年間で8本塁打の小林が放ったアーチに、巨人の本拠地でもある東京ドーム、そして日本ベンチは大盛り上がりとなった。

「2ボールで思いっきりいっていいカウントだったので。強いスイングを心がけていました。なかなかああいう打球を打ったことがないので…今日は今日で、次またしっかり頑張りたいです」

 試合後、会心の一発を謙虚に振り返った。ただ、3回には1死一塁の場面で一塁走者を強烈な牽制球で刺すなど、持ち味の強肩を生かして守備でも存在感を発揮。7日の初戦・キューバ戦から活躍が続く。

 小久保監督は8日のオーストラリア戦後、小林がピンチで取った絶妙な「間」を絶賛していた。この試合、1-1の同点で迎えた5回に、先発・菅野智之投手(巨人)が1次ラウンドの球数制限(65球)を超えて1死一、二塁のピンチで降板。2番手でマウンドに上がった岡田俊哉投手(中日)は最初の打者にストレートの四球を与えると、次の打者にも2球連続ボールとストライクが入らなかった。

■小久保監督は初めから「正捕手」として招集? 「11月に捕手としての振る舞いを見て」

 明らかに硬くなっている岡田を見て、小林はマウンドに歩み寄り、声をかけた。中日の左腕は続く3球目でニゴロ併殺打に仕留め、大ピンチを脱出。試合後、指揮官は「今日の小林のあのタイミングでのピッチャーへの声かけは絶妙だった」と言及。勝利への鍵になったと話していた。

 この日の中国戦の後、小久保監督は小林を初めから「正捕手候補」として招集していたことを明かした。「肩の強さは誰もが認めるところ。11月の強化試合から、捕手としての振る舞いを見て『正捕手で』ということになった。一番大きいのは捕手・小林が落ち着いてリードを出来るようになったこと」。この期待にしっかり応えるどころか、ここまでは“出来過ぎ”とも言える内容。「ホームランは想定外でしたけどね」と指揮官が話すと、会見に同席していた4番の筒香嘉智外野手(DeNA)も思わず笑みを浮かべた。

 もっとも、本人は謙虚さを失っていない。本塁打について「切り替えて、また次、自分の役割をしっかり果たしたいなと思います」と苦笑い。過去に侍ジャパンで正捕手を務めた城島健司や阿部慎之助の名前を出されると、「いや、僕はそんなに打てないので。バントとか小技をしっかりやっていかないといけないな、と思ってます」とした。さらに、「ノッているとの声もありますが?」と聞かれると「いや、全然ノってないと思うんで…。チームの雰囲気がすごくいいんで、自分もしっかり任された役割を果たしていきたいなと思います」と言及。そして、日の丸を背負うことについては、以下のように表現した。

「すごい不安もありますし、色々プレッシャーもありますけど、試合に出ている以上はしっかり責任をもって、自分が引っ張っていくという気持ちでやってきたいなと思っています」

 謙虚さを失わない中でも、その言葉からは侍ジャパンの「正捕手」としての自覚がにじみ始めた。2大会ぶりの世界一へ、小林がカギを握る存在となりそうだ。