サポーターは1年を通じてスタジアムで多くの時間を過ごすもの。そんないつもの週末、お気に入りの席でキックオフを待つ試合前…

サポーターは1年を通じてスタジアムで多くの時間を過ごすもの。そんないつもの週末、お気に入りの席でキックオフを待つ試合前、空を見上げて思わず無口になる瞬間がある——。今回は、良いスタジアムの条件の決定版。スタジアムがその魅力をもっとも発揮する、たそがれどきのあれこれだ。美しい写真とともに、たっぷりお楽しみいただきたい。

■ヨドコウ桜スタでの新たなるお楽しみ

 さて、町の景色と同様、スタジアムも、そしてスタジアムから見る景色も、私は圧倒的に「たそがれどき」を愛するのである。去る7月12日、私は大阪・長居の「ヨドコウ桜スタジアム」で日本とホンジュラスのU−24代表戦を取材した。このスタジアムは正式には「長居球技場」なのだが、つい最近まで「金鳥スタジアム」と呼ばれ、東側にメインスタンドがある「規格外」のスタジアムだった。

 しかし今回の大改修で、以前は屋根無し一層の低い観客席しかなかったバックスタンド(西側のスタンド)を屋根付き2層式の立派なメインスタンドとし、このホンジュラス戦で私はそこから初めて試合を見た。背後のJRの線路からときおり猛烈な騒音が聞こえてくるのには閉口したが、新しく「メイン」となった西側のスタンド上部からは、暮れなずむ大阪の町がとてもよく見え、新しい楽しみを見いだした。

 もちろん、「たそがれどき」は素晴らしい夕焼けを楽しむこともできる。私が監督をしている女子チームのウイークデーの練習は午後7時から始まるのだが、6月、1年で最も日が長い時期には、練習が始まる前によく見事な夕焼けに出合う。群青色の空、夕日の残照、そして気味が悪いほどの色に染まった雲……。

 以前、私はどんなところに行くときにもバッグに超小型のデジカメをしのばせていたが、それはこうした光景を残しておくためだった。最近ではスマホが、1万円程度のデジカメとは比較にならない見事な写真にしてくれる。というわけで、7時が過ぎているのに練習を始めず、口を開けて西の空を見上げている私を見て、選手たちがどう思っているのか、あまりに怖くて聞いたことがない。

■柏サポーターを見守る見事な夕焼け

 夕焼けといえば柏である。通称「日立台」、現在の正式呼称「三協フロンテア柏スタジアム」は、メインスタンドが何と北東側にある。すなわち、南西を向いて建っているのである。ここでの午後の試合は、天気がいい日はメインスタンドにいると真っ正面から太陽を浴びる形になる。まぶしいし、パソコンを開いていても液晶がよく見えないことさえある。

 しかしその代わり、日没近くなると、ときおりはっとするような夕焼けに出合う。夏には日が真西ではなくやや北に偏って沈むから、「柏熱(はくねつ)地帯」と呼ばれる柏サポーターが陣取るゴール裏の2階建てのスタンドの背後が真っ赤に染まるのである。柏のサポーターたちは自ら「柏バカ一代」と称しているが、「柏らしさ」という言葉もよく使う。私にとっては、この見事な夕焼けも、「柏らしさ」のひとつである。

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