東京オリンピック本番。サッカーは7月21日に女子のなでしこジャパン、22日に男子のU―24五輪代表が緒戦を迎える。最後…
■「なでしこはシュート2本では……」
―なでしこジャパンについてお伺いします。
後藤「なでしこは難しいだろうね」
大住「難しい。オリンピックの男子と女子では、状況が全然違うんだよね。女子のオリンピックは、ワールドカップ以上の大会なんだよ。チーム数が圧倒的に少ないという事は、それだけ強いチームしか出てこないという事だし」
後藤「フル代表だからね」
大住「そう。しかも、昔ほどではないけど、女子サッカーにとってオリンピックは、国民的な注目が集まる大会だから、みんなすごい気合が入っている。だから、もともと難しいんだけど、そのうえ、今回のなでしこジャパンが思ったほど伸びなかった」
後藤「6月のメキシコ戦では熊谷紗希と、南萌華の守備のミスがあまりに多くて、どうしようもないなと思ったけど、こないだのオーストラリアとの試合では、守備は頑張っていたし、ミスはなかったな。けど結局、攻撃陣は相手にプレスをかけられるとパスが回せなくなるし、最終的にトップの選手にボールが行かないんだよね。トップの選手がボールを収めるようなシーンは無かったし、シュートも菅澤優衣香の2本でしょ。それじゃあ試合にならないよな」
大住「攻撃陣で頼りになるのは岩渕真奈、ひとりだけだよね」
後藤「ひとりでも局面を開けるし、この間はPKだったけど点を取ったしね」
大住「長谷川唯が、一昨年までの輝きが無いよね。高倉麻子監督はまだ長谷川を外していないけど、あれなら遠藤純のほうがずっと良いなって」
後藤「一昨年まで絶対のエースだったのにね」
大住「天才って感じで、ボールは取られないし、取れるし。なのに、プレーが雑になっちゃったよね。残念。そういうマイナスもあって、前だったら起きないような所で、ミスが起きているのがとても気になる。はたして本大会までにチームがまとまるのか」
■「遠藤のフォワードは正解だったね」
―遠藤純のフォワード起用は良かったですね?
後藤「遠藤はこれまではサイドで使われていたのが、真ん中で使われるようになった。おそらく東京ヴェルディベレーザでもなかったよね? サイドハーフか、サイドバックだったし。僕は遠藤が真ん中で使われているのをはじめて見たけど、良かった。フィジカルも強いしさ」
大住「U―17でも、U―20でも、サイドをやっている時は、ものすごかったけどね」
後藤「あれならいっそワントップやらしても良いんじゃないかと思うんだけど。菅澤も、田中美南も、あれじゃあな……」
大住「たしかに遠藤のほうが可能性はあるかもしれない」
後藤「田中は最後のほうに出てきて、オーストラリアが疲れていたから、前のほうで何度かボールを収めていたけどね」
―後半の15分あたりから、田中と遠藤が2トップだったんですね?
後藤「うん。でも現段階で、そんなことをまだ悩んでいるような状況ではなね……」
大住「右サイドの塩越柚歩は?力強さはあったよ」
後藤「そうそう。大きさと強さがあるんだ、それが彼女の特徴だよね。浦和レッズレディースのサッカーの特徴でもある」
大住「物怖じしないしね」
後藤「一度だけトップでも試していたしね。けど、それだけで本大会に使うのは無理だろうな」
大住「宮川麻都を左サイドバックで使っていたでしょ?悪くなかったよ。だから後ろのほうは、そんなに悪くないんだよ。三浦成美と中島依美のダブルボランチは非常に安定している、守備も攻撃も良い。ディフェンスは熊谷と南のセンターバック。宮川と清水梨紗の両サイドバックも悪くない。
ただ、ゴールキーパーの山下杏也加はリスキーなことし過ぎだね。足元のボールコントロームもあまり上手くないんだけどさ。山下はパスを受けて、探して、切り返したりするんだよね。あそこでは、リスクにならないようなプレーをしないと。
横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督が、キーパーを使ったプレーをやり始めた時に、ゴールキーパーは飯倉大樹がやっていたじゃない? 飯倉がすごいリスキーなプレーをして、ミスもあったんだよ。けど、朴一圭がゴールキーパーで出てきたら、本当にリスクを冒さないプレーをしていた」
■「朴が本当にうまかった」「宝田や南もよかったね」
後藤「あれは、朴一圭が群を抜いていたね。本当に上手かった」
大住「上手いというのは、相手が来たのを切り返してかわすとか、そういう事じゃなくて、相手との距離がちゃんとわかっていることなんだよね。危険な状態を作らないというのが、上手なキーパーなんだよ。なでしこジャパンの山下は、その感覚がなくて、飯倉に近いプレーをしていた。池田咲紀子のほうが、その点では安定していると思う。まあ、シュートを止める能力は山下のほうがあるとは思うけどね」
―南と、宝田沙織ではどうですか?
大住「宝田は、あそこに入ってもおかしくない選手になった。南は、南で、すごく良いものを持っているし。宝田もロングパスとか良いしね。状況によっては熊谷と3人とも使う。宝田は他のポジションもいくらでもできるから、極端なことを言えば、右サイドバックで長いボールを蹴らしたっていいんだよね」
後藤「もちろんフォワードもできるしね。南でも宝田でも、ちゃんとできるとは思うけど、南のほうが代表でディフェンダーとしての経験が長いから、それを考えると特に変える必要はないよね」
大住「要するに、前のほうが冴えないなっていう感じなんだよね。岩渕を除いて。籾木結花もあまり伸びていなくて、かつての切れ味がないよね」
後藤「なんか長続きがしない。田中だって、得点王の2年目の頃は、このまま伸びていったらすごいフォワードになるぞって感じさせたけど、イマイチだし。みんなに共通して言えることだけど、長続きしないんだよね」
大住「そういう風に考えると、いま伸び盛りの遠藤のような選手を使ってみて、試合の中でビックプレーをして、ガンっと伸びてくれるような期待がないと。そういうのが生まれないと、ちょっと厳しい気がする」