全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)の鈴鹿テストは7日、最終日(2日目)を迎え、この日もアンドレ・ロッテラーが一番時計を記録した。1分34秒台に迫る驚速タイムで“3日連続”の首位。新人ピエール・ガスリーが3位で、前日(4位)に続く好位置…

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)の鈴鹿テストは7日、最終日(2日目)を迎え、この日もアンドレ・ロッテラーが一番時計を記録した。1分34秒台に迫る驚速タイムで“3日連続”の首位。新人ピエール・ガスリーが3位で、前日(4位)に続く好位置をキープしている。

曇りがちな空模様だった初日とは違い、朝から陽が出たテスト2日目だが、風が強いこともあって体感的には前日より寒かった。ただ、いずれにしても、風向きを含めて好タイムが期待できる“冬のドライコンディション”が継続されたまま2日目を迎えたことは確かな状況でもあった。

午前セッションの最後に通り雨には見舞われたが、午前午後合計4時間の予定の走行セッションは、概ねドライのまま推移。車両回収のための赤旗中断を何度か挟み、また午後にはコース上に走行中のマシンから出たとみられるオイルの処理に時間がかかったこともあり走行時間が15分延長されるなどもしつつ、セッションは進められていった。

この日は#18 小林可夢偉(KCMG/トヨタ)が世界耐久選手権(WEC)に関するスケジュールのために鈴鹿を離れており、代わって昨年の18号車レギュラードライバーだった中山雄一が同車に搭乗。また、前日は体調不良で走行しなかった#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)が戦列に戻り、全19台の出走となっている。

午後5時08分頃からの残り7~8分は、まさに予選セッション最終局面のようなアタック合戦となった。最後にストップ車両が出たため赤旗中断~終了となり、アタックを完遂できなかったマシンもあったようだが、赤旗が出る前に#36 A. ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)が記録したトップタイムは1分35秒163。前日に自身が記録した最速時計を、さらにコンマ5秒詰めてきた。

前日の1分35秒657にしても、ロッテラー担当の名将・東條力エンジニアによればコース混雑等の絡みもあって完璧なアタックとはいえなかったとのことで、34秒台の手応えは初日の段階から充分。しかし、やはり多くのマシンが同じタイミングでアタックを狙ったため、2日目もロッテラーは「混雑でタイヤのウォームアップが完全にうまくできたとは言い難かったし、100パーセント完璧な状況で出せたタイムではなかったんだ」と本人。34秒台は確実に見えていたが「あと少し、コンマ1秒だったね」と、笑顔で残念がった。

僚友の#37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)も1分35秒273という僅差で2番手タイム。しかも、彼も「トラフィックの影響がありましたね」という状況のタイムだったことを考えると、トムス勢の出足がいいのは確実だ。

ロッテラーは「あくまでウィンターテストだよ」と、1カ月半ほど季節が進み条件が変わる開幕戦に向けて楽観はしないが、エンジンの進化やコンディションの良さが相まって、フィールド全体がスピードアップしているなか、そこで彼らがより高い次元に踏み込みつつあるようにも思える。トムスは連日の1-2、ロッテラーは2日前のファン感謝デーにおける公開テストセッションを含めると3日連続の首位で鈴鹿テストを終えた。

そして、トムスを始めとするトヨタ勢が上位占有気味のタイムシートのなかで、連日のホンダ勢首位、前日の4位からさらにひとつ上げて3位となったのが期待の新星#15 P.ガスリー(TEAM MUGEN/ホンダ)である。

この日も順調にメニューを進めることができたそうで、レース距離を考えたフルタンクでのデータ取りもこなすなどし、「もちろんまだインプループさせるべき点はあるけど、とてもポジティブだ。セットアップのいいベースラインを見つけられたと思う」。3位という順位自体は最後の赤旗タイミングが彼にとって良いものであった、という見方もできなくはなかったが、そういったことも含めて、とにかくガスリーも好発進だ。ロッテラー同様に、この速い今のSFを楽しんでいる旨のコメントが出てくるところも期待値を増幅させる。

なにしろ最速男のロッテラーが、「ガスリーは速いね。いい新人だ。もしかしたら(去年の)ストフェル(バンドーン=新人で2勝、今季はF1昇格)よりいいかもしれないよ」という評価を口にするくらいなのだから、GP2王者にしてF1レッドブルのジュニアドライバーであるガスリー、今季の活躍がいよいよ楽しみになってきた(ガスリーを褒めるロッテラーの表情には余裕と喜びが感じられたことも付記しておく)。

SFの第2回公式合同テストは3月31日~4月1日、富士スピードウェイでの実施。そしてそのあとは、開幕戦「NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」(4月22~23日)へと進むことになる。一層の激闘となる予感がする実戦が、徐々に近づいてきている。

#36 ロッテラーが1分34秒台に迫る最速時計をマーク。《撮影 遠藤俊幸》

#36 ロッテラーが1分34秒台に迫る最速時計をマーク。《撮影 遠藤俊幸》

#15 ガスリーはホンダ勢最速の3番手タイム。《撮影 遠藤俊幸》

#15 ガスリーはホンダ勢最速の3番手タイム。《撮影 遠藤俊幸》

#37 中嶋一貴は僚友ロッテラーに続く2番手タイム。《撮影 遠藤俊幸》

#37 中嶋一貴は僚友ロッテラーに続く2番手タイム。《撮影 遠藤俊幸》

前年王者陣営セルモインギングの2台、#1 国本雄資(右)と#2 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》

前年王者陣営セルモインギングの2台、#1 国本雄資(右)と#2 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》

期待の日本人ルーキー、#4 山下健太(右端)。《撮影 遠藤俊幸》

期待の日本人ルーキー、#4 山下健太(右端)。《撮影 遠藤俊幸》

#40 野尻智紀はホンダ勢2番手(全体6番手)のタイム。《撮影 遠藤俊幸》

#40 野尻智紀はホンダ勢2番手(全体6番手)のタイム。《撮影 遠藤俊幸》

概ね好天に恵まれた鈴鹿テストが終わり、SFの次のステージは富士テストとなる。《撮影 遠藤俊幸》

概ね好天に恵まれた鈴鹿テストが終わり、SFの次のステージは富士テストとなる。《撮影 遠藤俊幸》