17得点でチームをけん引した三好(写真/©JBA)三好の長距離砲炸裂! 東京オリンピック本番を直前に控えた女子バスケット…

17得点でチームをけん引した三好(写真/©JBA)
三好の長距離砲炸裂!
東京オリンピック本番を直前に控えた女子バスケットボール日本代表が、ヨーロッパの強豪ベルギー代表を迎えた国際強化試合『三井不動産カップ2021(埼玉大会)』に臨み、84-76で勝利した。
両チームは、日本代表がFIBAランキング10位であるのに対し、ベルギー代表が同6位。また、日本代表が9位に終わったFIBA女子ワールドカップ2018でベルギー代表は4強入りを果たており、正真正銘の強豪と言える。しかし、日本代表は絶妙のポジショニングと活発なハンドワーク・フットワークで好ディフェンスを見せ、攻めては三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス)が3Pショット8本中5本を決めて17得点を挙げるなど、攻守で完成度の高さを感じさせるプレーを展開した。
バランスのよいオフェンスを見せた日本代表は、三好を筆頭の5人が2ケタ得点。プレーメイカーの町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)は10得点、10アシストのダブルダブルに加え、4リバウンドと3スティールも記録。また、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)は得点こそ2ケタに乗らなかった(8得点)ものの5リバウンド、4スティールと勝利に欠かせない貢献をもたらした。
ベルギー代表は192cmのパワーフォワード、エマ・ミースマンが30得点、8リバウンド、5アシストとオールラウンドに活躍。またシューティングガードのキム・メスタフがフィールドゴール12本中6本(3Pショットは9本中5本)を成功させて19得点を奪い、アシストも4本。しかし、この日はチーム全体として、日本代表のディフェンスの前に24本のターンオーバーを犯したことが致命的(日本代表は8本)。日本代表は、そこからの得点で32-10と大きく差をつけた。

日本代表の厳しいディフェンスはベルギー代表を苦しめた(写真/©JBA)
高さを封じた平面バスケ
ベルギー代表は登録12人の平均身長が182.3cmで、日本代表の175.6cmに比べ大型。190cm越え2人を含むこの試合でのスターターで比較すると、その差はベルギー代表の184.0cmに対し日本代表の176.4cmとさらに広がる。しかしデータ上は、ベルギー代表の高さの利を日本代表の平面的なバスケットボールが封印した形となった。
高さやプレーの特徴、ランキングなどから見て、日本代表にとってベルギー代表は、東京オリンピックのグループ戦で最初に対戦するフランス代表を想定できる相手。その意味で、この勝利はチームを大いに勇気づける結果だったのではないだろうか。
日本代表はリバウンドで29-38と相手を下回ったが、ディフェンスの活発さも影響して相手にオフェンス・リバウンドを許す場面が少なかった(この項目で日本代表は11-6と優位)。また、バックコートのプレーヤーもリバウンドや溺れ球に良く反応し、セカンドチャンスでの得点でも8-4と相手を上回っていた。
この6月に開催されたヨーロッパ選手権で3位に入り、コンディションも上々のベルギー代表を迎えての対戦について、試合後の会見でホーバス トムHCは、「(試合前は)ちょっと心配でした」と正直な思いを明かした。しかしチームの完成度は、指揮官も驚かせるレベルだったようだ。「試合もできずプレシーズン状態だった我々の何が効くかなどわからなかった。とりあえずエネルギーで負けないように、ディフェンスのローテーションをしっかり、厳しくやっていければチャンスはあると思っていましたが、思ったよりも最初から最後までいいバスケットボールができたと思います。良かった」

ホーバスHCの試合後のコメントには、これまで以上に自信が感じられた(写真/©JBA)
チームの司令塔として縦横無尽な活躍ぶりだった町田は、滑り出しの良さを好結果の要因として挙げ、「途中でシューターに楽に打たせてしまったんですけど、後半しっかりアジャストして、インサイドも全員でしっかり守ってリバウンドからブレイクという自分たちのペースに持っていけました」と話した。攻守に存在感を印象づけた赤穂も、「第1Qから久しぶりに良いバスケができた」と明るい表情。「個人的にはディフェンス。速いペースに持っていくためのディフェンスができたのが良かったです」。マッチアップしたメスタフに3Pショットを高確率で決められたことについて「修正に時間がかかってしまいました」と反省点として挙げたが、リバウンドに関しては、「センターがボックスアウトしてくれているところに飛び込んで獲る役割。(数字としては伸びなかったが)続けていきたい」とさらに意欲を見せた。
女子日本代表は、東京オリンピック開幕前にあと1試合、17日(土)にプエルトリコ代表を相手に最後のチューンナップを行う。その後はいよいよ本番。フランス代表との初戦は、7月27日(火)の午前10時にティップオフの予定だ。
☆対ベルギー代表戦の個別成績
スタッツ略号: P=得点, FG=フィールドゴール数, 3P=3ポイントフィールドゴール数, FT=フリースロー数, R=リバウンド数, OR=オフェンス・リバウンド数, A=アシスト数, S=スティール数, B=ブロック数、*=スターター
#0 長岡 萌映子* 10P, 2R, 4A

(写真/©JBA)
得点だけでなく、ラストパス4本にも価値がある。ボックスアウトなど、体を張ったプレーからチャンスを生み出すプレーに現れる自信と決意が、チーム全体に伝わっている印象だ。
#8 髙田 真希* 10P, 3R, 1S

(写真©/JBA)
いつもどおりの冷静なプレーぶりで、攻守にチームを支えた。ゴール周辺の1対1でも、身長差を補うテクニックや状況判断を見せ積極的に攻めていた。
#12 三好 南穂* 17P (FG 6/9, 3P5/8)

(写真/©JBA)
心理的なダメージの大きなビッグショットを次々と決めた。本番でも必要になるだろう爆発力のあるシューティングは、チームに自信をもたらしたに違いない。
#13 町田 瑠唯* 10P, 10A, 4R, 3S

(写真/©JBA)
申し分のないプレーでチームをけん引。ターンオーバーが3つあり、「相手の手の長さに引っかかってしまった」ことを反省もしていたが、さらに数段ギアを上げられる印象でもあった。
#15 本橋 菜子 出場時間2:35

(写真/©JBA)
短い出場時間で、数字に残らなかったものの厳しいディフェンスで相手プレーヤーを苦しめたシーンもあった。相手の視点からは、ベンチの層の厚みを感じさせる存在でもあるだろう。
#20 東藤 なな子 5R (2OR), 1A, 1S

(写真/©JBA)
体を張ったアクティブなディフェンスや、リバウンド、ルーズボールに絡むしぶとさを見せた。得点面でフィニッシュしきれていないが、一つ一つが良い経験となっているはずだ。
#27 林 咲希 2P, 2S

(写真/©JBA)
3Pショットではまだ本領発揮とはいかないが、ほかの側面での貢献がチームにとって力となった。コート上でできるあらゆることに、元気に積極的に取り組んでいるのがわかる。
#30 馬瓜 エブリン 9P, FG2/5, 3P1/2

(写真/©JBA)
要所で決めた3Pショットに加え、「ファウルをもらってフリースロー」という、ホーバスHCの期待するプレーを、レベルの高い相手に対してしっかりやってみせた。
#32 宮崎 早織 8P, FT4/4, 7R(3OR), 7A, 1S

(写真/©JBA)
町田とともに秀でたプレーメイクを披露した。2人で18得点、11リバウンド、17アシストはA+の評価がつけられるだろう。相手にとっては非常に厄介な存在に違いない。
#52 宮澤 夕貴 出場時間3:50

(写真/©JBA)
この試合で際立つ活躍はなかったものの、ショットを打つべきタイミングで打てており、あとは入るかどうか。焦らず心身のコンディションを高めることだけが課題だ。
#88 赤穂 ひまわり* 8P, 5R(2OR), 3A, 4S

(写真/©JBA)
ディフェンスでは好判断でたびたび相手のミスを誘った。オフェンスではポストアップからの1対1で長身プレーヤー相手に得点するシーンもあり、頼もしさが増してきている。
#99 オコエ 桃仁花 10P, FG4/10

(写真/©JBA)
ドライブからの得点に加え、3Pショットが引き続き好調。このパフォーマンスを続けられれば、世界の長身プレーヤーを苦しめる存在になりそうだ。
取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)