2021年「ウィンブルドン」のミドルサンデーに、ビリー・ジーン・7キング(アメリカ)を筆頭とする70人以上の招待客が、初…

2021年「ウィンブルドン」のミドルサンデーに、ビリー・ジーン・7キング(アメリカ)を筆頭とする70人以上の招待客が、初のWTAレジェンズ&フレンズのバーチャルイベントに参加。このイベントの目玉は、有名なコーチでありメンターであるジュディ・マレー氏へのジョージーナ・クラーク・WTAマザー賞の授与であった。WTAの公式オンラインメディアが伝えている。【ハイライト】ベレッティーニvsマレー/ATP500ロンドン/2回戦

この賞は、WTA関係者の文化と生活の情緒的側面に重要な貢献をし、全ての人のためにテニスを向上させ、恵まれない人々を助けるにとどまらない取り組みをした女性を表彰するものだ。過去の受賞者にはイボンヌ・グーラゴング・コーリー(オーストラリア)やクリス・エバート(アメリカ)らがおり、エバートが今年の受賞者であるジュディ氏への授与を行った。

この賞にその名が冠されているジョージーナ・クラークは、1984年のエバート対マルチナ・ナブラチロワ(チェコ)戦で、「ウィンブルドン」の決勝で初めて主審を務めた女性であった。働く母親として、彼女は5人の子供を育てたが、選手たちへも支援や指導を行ったことから、WTAツアーでは「マザー・スペリアー(「女子修道院長」の意味)」としても知られていた。

「アメリカに住んで訓練するためにイギリスを離れたのは、17歳の時でした。ジョージーナはいつもそばにいてくれました」と1976年「全仏オープン」覇者でありこのイベントの進行を務めたスー・バーカー(イギリス)は語った。「素晴らしい相談相手で、泣きたい時には肩を貸してくれました。いつも助言をしてくれました…彼氏についてでさえも。もっと彼女の話を聞きたかったです。かいつまんで言えば、彼女は何世代もの選手たちに愛されていました」

殿堂入りした元全豪・全仏女王マリー・ピエルス(フランス)も、ビデオメッセージで同じ心情を語った。「ジョージーナ・クラークは素晴らしい女性でした。とても刺激をくれる人であり、励ましをくれる人でした。私の人生の重要な局面で傍にいてくれて、個人としてもプロ選手としても、大きな影響を与えてくれました。だからジョージーナにはとても感謝しています。そして、彼女の名が冠されたこの賞が存在することにも感謝しています」

息子のジェイミー・マレー(イギリス)とアンディ・マレー(イギリス)をテニス界の頂点を極める選手へと育ててコーチを務めただけでなく、ジュディ・マレー氏は草の根での取り組みから、イギリステニス協会(LTA)のプログラムの下での国家的取り組みまでを通じ、数え切れないほどの選手を育ててきた。さらに彼女は「ビリー・ジーン・キング・カップ」のイギリスチームのキャプテンとして4期を全うしたが、その動機の一部は女性コーチの立場を向上させることであった。

より最近の取り組みとして、テニスを通して年少の少女たちに運動させ、同時にコーチや運営に携わる女性人材を育成するため、ジュディ氏は「ミス・ヒッツ」という人気プログラムを開発。これに関連して、彼女はWTAコミュニティ大使としてWTAチャリティーズと協力し、シンガポールと中国での主要大会の際にテニスクリニックを開く活動を行った。

「ジョージーナ・クラークはスーパーウーマンでした。そしてジュディ、あなたもそうです」とエバートは賞賛した。「あなたは教育者であり、活動家であり、イノベーターであり、リーダーであり、サポーターであり、母であり、友人です。そして私の考えでは、女性を尊敬し、支え、対等な存在として扱う息子たちを育てること以上の大きな功績はありません。テニス界にあなたがいてくれることは本当に幸運です」

ジュニア選手として成功をおさめた後、短期間プロ大会に進出したものの、ジュディ氏は大学で勉強することを決意。テニス界における彼女の真の運命が姿を現すことになるのは、そのわずか数年後だった。「私がダンブレーン・スポーツクラブでボランティア活動を始めた時、ジェイミーとアンディはまだよちよち歩きで、私としては本当に、運動する機会を得ることだけが目的でした。でも、私はこのスポーツを分かち合うのが大好きだと気づいて、すぐに同じような考えを持った女性の味方を増やせばどれほどのことを実現できるかに気づきました」ジュディ氏は参加者たちにこう語った。

「全くのゼロから始めて、ただ一歩ずつ進んで行きました。家族としてそれまでにやってきたことをやることになるとは全然思っていませんでした。でも、間違いなく本当に楽しい経験でした。ジョージーナのことは、信念が固く、公正で楽しい人として記憶しています。この賞は本当に光栄です」

オンライン式典では、他にもジュディ氏の父や、「デビスカップ」のイギリスチームキャプテンであるレオン・スミス氏、レジェンド選手マルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)、WTAのCEO兼会長スティーブ・サイモン氏らが発言。長男であるジェイミー・マレー、キム・クライシュテルス(ベルギー)、アン・ケタボンヌ(イギリス)、ヘザー・ワトソン(イギリス)らもジュディ氏に映像で賛辞を贈った。

「ジュディ・マレーは本当に情熱と決意に満ちた人。自分のやること全てにとにかく全力を注ぎます。彼女は私たち全員にとってテニスをより良いものにしてくれます」とWTAの創始者であるキングは語った。

(テニスデイリー編集部)

※写真はアンディの母のジュディ・マレー

(Photo by Fred Lee/Getty Images)