第89回選抜高校野球が19日から甲子園球場で開幕する。今年はプロのスカウトが視線を注ぐ選手が各地区から登場するとあって、注目度が高い。中でも昨年秋の近畿大会を制して、明治神宮大会も優勝した履正社(大阪)は投打のバランスもとれ、優勝候補の一つに挙げられている。PL学園、大阪桐蔭と大阪の学校が何度も甲子園の頂点に立っている。その流れに乗っていけるか。十分にその力はあると言っていい。

■プロ選手を多く輩出の履正社、今春選抜V候補の強さとは

 第89回選抜高校野球が19日から甲子園球場で開幕する。今年はプロのスカウトが視線を注ぐ選手が各地区から登場するとあって、注目度が高い。中でも昨年秋の近畿大会を制して、明治神宮大会も優勝した履正社(大阪)は投打のバランスもとれ、優勝候補の一つに挙げられている。PL学園、大阪桐蔭と大阪の学校が何度も甲子園の頂点に立っている。その流れに乗っていけるか。十分にその力はあると言っていい。

 3年ぶり7度目の出場、春夏通じて10度目の甲子園となる。過去にはT-岡田(オリックス)や山田哲人(ヤクルト)らがプロ球団にドラフト1位で入団。昨夏はヤクルトにドラフト1位で入団した寺島成輝投手、JR東日本入社予定の山口裕次郎投手ら超高校級の投手陣で甲子園に出場し、岩手国体で優勝した。

 今年はドラフト上位候補の安田尚憲内野手、主将の若林将平外野手を中心とした打力も魅力。エース・竹田祐は昨秋公式戦の防御率は14試合で1.87と高い数字を誇っている。若林は「前のチームと比べればまだまだ力はないです。細かいところももっと徹底をしていかなくてはいけません。力をつけてレベルアップして(甲子園に)臨みたい」と意気込む。

 学校内にグラウンドはなく、選手たちは授業後、バスで約40分かけて練習場へ向かう。室内練習場もなければ、寮もない。練習時間は他の甲子園常連校に比べれば限られている。それでも昨秋は頂点に立った。強さの理由の一つには“考え合う”スタイルが挙げられる。

■押し付けず考えさせる指導法、選手にも浸透「野球を細かく考えてやる」

 主に指導は岡田龍生監督(55)を中心に、松平一彦コーチ(39)、多田晃コーチ(38)ら若い指導者が日々、行っている。そこには移り変わる時代背景に沿った指導法がある。

 シートノックなどの練習ではとにかく状況を突き詰めて、選手たちに考えさせる。一歩先ではとどまらず、二歩、三歩、さらにその先までのことを想定して指示を出す。選手たちにも「野球を細かく考えてやるのが僕たちのスタイルだと思います」と浸透しているからこそ、個人練習でも自分に何が足りないかを徹底的に考えることができるという。

 練習であらゆる場面を想定しておけば、試合でも細かいところまで気付くことができる。何度も練習を止めて、考える時間を与えている。熱血指導でも上から押しつけるのではなく、今の高校生に合った指導法なのかもしれない。時間に制限があっても、練習の濃さが勝負。新チームになるとどうしても組織力は落ちてしまう。そこから連携プレーのミスなどが生まれ、失点につながる。履正社の強さの裏には個々の能力が高いだけではなく、弱点を消す徹底ぶりがあった。

 初出場した1997年以降、着実に力をつけている同校。最高成績は2014年のセンバツの準優勝。過去15年、明治神宮大会の覇者がセンバツの頂点に立っていないという「ジンクス」がある。それを打ち破る組織力が今年のチームには十分にありそうだ。