今年は往年のテニス界の「悪童」、ジョン・マッケンロー(アメリカ)が「ウィンブルドン」で世界中のテニスファンの記憶に残る名…
今年は往年のテニス界の「悪童」、ジョン・マッケンロー(アメリカ)が「ウィンブルドン」で世界中のテニスファンの記憶に残る名セリフ「You cannot be serious! (まさか本気で言ってないよな!)」を叫んでちょうど40年に当たる。そこでマッケンローが当時のことや、テニスの今後、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)とのライバル関係などについて語った。英Daily Mail紙など複数のメディアが報じている【実際の映像】マッケンローの名セリフが生まれた瞬間
マッケンローはグランドスラムで7回優勝を遂げている名選手だが、彼は今でも名選手としてより「“ウィンブルドン”で主審に向かって“You cannot be serious!”と叫んだ選手」として知られているようだ。
彼がそう叫んだのは、ボールがインかアウトかの判定に納得がいかなかったからだ。だがマッケンロー自身、技術の進歩のせいで、もうそうした議論や、もしかしたら線審の存在自体が過去のものになりつつあると感じている。現在62歳のマッケンローは今年も英BBCで「ウィンブルドン」の解説を務めているが、あの騒ぎは長い目で見れば彼にとって有益だったと考えているそうだ。
「あのことには良い面も悪い面もあったけど、すべて考えあわせれば良いことの方が多かったと思う。15年のキャリアの中であのセリフを叫んだのは一度だけだったのに、引退後のシニアツアーであのセリフを言うとボーナスをもらえたのさ」とマッケンロー。
「半分は冗談だけど、半分は本気で言っていた。みんなそれを期待してたからね。1981年の1回戦で言ったことが今でも僕について回るとは驚きだよね。素晴らしいことか、悲しいことかはわからない。みんなが僕を憶えていてくれるのは嬉しいよ。もちろん僕の業績も、あのセリフや癇癪と共に憶えていて欲しいけどね。差し引きしても、プラスだと思ってる」
その試合は今は取り壊された昔のコート1で行われ、マッケンローがセンターライン上に決めたエースと見えたサーブがアウトとコールされた時に、エドワード・ジェイムズ主審との間に議論が起こったのだった。昔懐かしい動画を見れば、カーリーヘアをヘッドバンドで押さえたマッケンローが怒りに声を張り上げている。
さらにマッケンローは審判を「最低な奴」と言ったことでペナルティを取られたが、その件で大会レフェリーが呼ばれると、マッケンローは「最低な奴だから最低な奴だと言ったんだ」とその言葉を繰り返した。その1回戦の相手であったトム・ガリクソン(アメリカ)は後に「みんなが(マッケンローのようなトップ選手たちを)恐れてるんだ。もし120位ぐらいの選手が同じことをしたら、失格だっただろう」と語った。失格にならなかったのは幸運だった。マッケンローはこの年「ウィンブルドン」で初優勝を遂げたのだ。
それから20年後、今から20年前にマッケンローはBBCの解説を務めるようになった。「あの事件でみんなが僕のことを憶えていなかったら、解説の仕事は来なかったかもしれない。でももし当時チャレンジシステムがあったら、あんなことにエネルギーを使わずに済んだとも思うんだ」
さらにマッケンローは、パンデミックのせいで線審の機械化が加速されたことにも言及した。「やがて人間の線審はいなくなるんだろうね。オーストラリアではもうそうなっていた。不幸なことにパンデミックのせいでその動きは加速されたけど、今後機械化できる財力のある大会はすべて機械化されるだろう。選手たちもその方が気に入っているようだし」
今年の「ウィンブルドン」ではまだ人間の線審が採用されている。だが大きな大会が線審を採用しなくなれば、それだけの財力のない小さな大会が線審を必要としても、線審のなり手は減ってしまうだろう。また現代のテニスは昔に比べて「ドラマチックさ」が減ってしまったと言われているが、人間的な要素が減ることは、更に「ドラマチックさ」を減らすことになりそうだ。
1981年の「ウィンブルドン」決勝で、マッケンローはボルグの6連覇を阻止した。今は選手寿命が延びているので、ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)はこれまでに最多記録となる58回の対戦を果たし、ジョコビッチとロジャー・フェデラー(スイス)は50回対戦している。だがマッケンローとボルグは14回しか対戦しなかった。「決勝でビヨンに勝って、本当にほっとしたよ。信じられないような気持ちだった。僕らは最終的に7勝7敗だった」
「偉大なライバルは他にもいた。ジミー・コナーズ(アメリカ)やイワン・レンドル(アメリカ)、彼らとは仲は良くなかった…違うタイプのライバル関係だね。でも僕にとって最も素晴らしい、そしてあまりに短かったライバル関係は、ビヨンとのものだ。僕らは素晴らしい友達だ、大好きなんだ。コート上では真逆だったけどね」
(テニスデイリー編集部)
※写真は「ウィンブルドン」でのマッケンロー
(Photo by John P Kelly/Getty Images)