元プロテニス選手のブラッド・ギルバート(アメリカ)は、1988年の「ソウルオリンピック」に出場した経験を持つ。男子シング…
元プロテニス選手のブラッド・ギルバート(アメリカ)は、1988年の「ソウルオリンピック」に出場した経験を持つ。男子シングルスで銅メダルを獲得したギルバートだが、たった一つ後悔が残った。その後アンドレ・アガシ(アメリカ)のコーチとなったギルバートは、自身の経験を踏まえ教え子を導き、1996年「アトランタオリンピック」でのアガシの金メダル獲得を陰で支えた。ギルバートがオリンピックの思い出を振り返り語った様子をITF(国際テニス連盟)公式ウェブサイトが伝えている。【動画】アガシの強烈なサービスリターン集【関連記事】フェデラー、アガシ、シャラポワ...テニスコートで生まれた愛5選
「あの経験すべてが素晴らしかった。現実とは思えなかったよ。なぜなら、1960年代後半から70年代前半に育った者にとってオリンピックはすごく大きな大会で、子供の頃から参加したいと夢に見るような、テレビで放映される一大イベントだったけれど、テニス選手としてはそこにテニスは無いと思考の中に組み込まれていたんだ。(1928年から1984年までの間、テニスはオリンピック種目から除外されていた。)
あの17日間の一部になれたというだけでも、僕のキャリアの中で最も素晴らしい経験だったと思う。それでも、今も考えてしまうんだ。一つだけ結果を変えられたらって。だって、信じられないかもしれないけどその3週間か4週間後に、銀メダリストのティム ・メイヨット(アメリカ)と金メダリストのミロスラフ・メチージュ(チェコスロバキア)に、パリのベルシーで行われた大会で勝ったんだから。
オリンピックの準決勝に進んだ僕は、勝てると思って力が入ってしまったと思う。そしてメイヨットに負けた。結果的に銅メダルを獲得できて嬉しかったけれど、やはりチャンスを逃した気分になった。
オリンピックのことは決して忘れないだろう。僕のキャリアの中で一番楽しい17日間だったかもしれない。それを上回るのはアンドレが96年に金メダルを取ったことだけだ。僕がテニス選手として最も後悔したことだったから、アンドレに聞かれた時こう言ったんだ。「もしオリンピックで勝てたら、一生大切な思い出になるよ」って。すると、彼は96年の大会で優勝することを自分の使命とした。その2つが僕のテニス人生の中で最も素晴らしい思い出かな。アンドレが96年に金メダルを取った時、彼のコーチをしていたんだ。
当時は、オリンピックに行って楽しむこと以外あまり考えていなかった。その時、僕のテニスは全く良い状態じゃなかった。足首の手術から復帰したばかりで、フットワークも以前ほど良くなかったし、自信を失いかけていた。あの大会で自信を取り戻せたんだ。
覚えているのは、食堂に行ったら巨大なマクドナルドがあったこと。大スポンサーだったんだろうけど、その時の僕は「なんでこんなところにマクドナルドが?」って思ったね。僕は韓国料理がとても好きなんだ。だから、まず頭に浮かんだのは「韓国の焼き肉はどこだ?」ってことだった。韓国の焼き肉は大好きさ。おいしい韓国料理を食べるために、何回か抜け出したよ。
ソウルですごく楽しかったのは、自転車で選手村の中を巡ったことだ。最終的には、鍵をかけ忘れて自転車は盗まれてしまったけれど。でも、できる限りいろんな競技を見に行ったよ。自分がプレーしていない時は観戦していた。96年にアンドレのコーチをしていた時も同じことをしたよ。テニスを見ていない時は、「よし、レスリングに行くぞ、重量挙げを見に行くぞ」みたいな感じでね。それから、選手村での滞在は普段の自分が慣れ親しんだ生活とは全く違うものなんだ。でも、その経験も楽しむことが大事だね」
(テニスデイリー編集部)
※写真は1990年「全米オープン」でのアガシ
(Photo by Bongarts/Getty Images)