資生堂レディス、鈴木愛が掲げた次の目標「引退までに30勝」 女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス最終日が4日、神奈川・戸塚CC(6570ヤード、パー72)で行われ、1打差の2位で出た27歳の鈴木愛(セールスフォース)が1イーグル、3バーデ…

資生堂レディス、鈴木愛が掲げた次の目標「引退までに30勝」

 女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディス最終日が4日、神奈川・戸塚CC(6570ヤード、パー72)で行われ、1打差の2位で出た27歳の鈴木愛(セールスフォース)が1イーグル、3バーディー、1ボギーの68で回り、通算10アンダーでツアー通算17勝目を挙げた。大会第1、2日は悪天候で競技中止となり、36ホールに短縮。2017、19年賞金女王が約1年8か月ぶりとなる20-21年シーズン初優勝を手にした。

 鈴木が久々に強さを見せた。1打差2位で迎えた16番パー5。残り95ヤードからの第3打をそのまま入れるスーパーイーグルだ。「奇跡」と胸に手を当てて自分でもビックリ。単独首位に立つと、最終18番で約1メートルのパーパットを沈めて右拳を力強く握った。優勝インタビューでは「長かったなぁって思います」と涙を流し、声を震わせた。

「ゴルフのことを考えると本当につらかった。本当に味わったことのないくらい毎日苦しくて、もうゴルフをやめようかなって。(18番パーパットは)あれすら入らないんじゃないかと。最後に試練が来た。練習してきたからこそ打てたパット。練習してきてよかった」

 19年は7勝で賞金女王に輝いたが、コロナ禍で統合された20-21年シーズンは2度の2位に留まっていた。直近3試合は予選落ち、体調不良による棄権、予選落ち。「どういうふうにプレーしていたっけ」と戸惑うほど迷走した。「成績、人のプレーも見られなくなった。自分と他の選手のプレーを見るのがつらかったです。ここまで落ちぶれたと思うのが怖くて、自分のプレーができずにいた」と苦しんだ。

 苦しむあまり、無風の時でさえも風向きが気になった。「神経質になっていた」。今週はプロキャディーではなく、プロテスト合格を目指している飛田えりさんにオファー。「中学時代からの友達。会うのは高校卒業以来。今週はシンプルになれた。友達だからこそ何も考えず集中してできた。昔の苦労話もしながら楽しくやれた」と奏功した。

貫いた“練習の虫”のポリシー「黙っていてうまくなるわけないじゃないですか?」

「結果、結果、結果と求めすぎた。シンプルにならないと思い通りにならない。(コロナ禍の無観客試合では)ギャラリーの方がいないことが一番大きい。『ナイスショット!』と言ってもらえると、ガッツを貰える。いてくださるといいショットを見せなきゃ、歓声がほしいなって思うことがある」

 ツアー屈指の“練習の虫”。前日も悪天候で終了時間が大幅に遅れたが、なんとか練習場所を確保。午後7時15分頃まで球を打った。「みんなに『休んだら?』って言われるけど、うまくなるためには練習しないといけない。黙っていてうまくなるわけないじゃないですか?(笑)。自分はずっと練習してきた。練習をせずに帰るわけにはいかない」とポリシーを貫いた。

 今年は年間5勝を目標に掲げてスタートしたが、「結果にこだわりすぎずにやりたい。最低あと1回勝てたら」と目の前に集中するために下方修正。だが、将来的には大きな目標を抱いている。

「やっと泥沼から抜け出せた。今後に大きく繋がる1勝。これに満足することなく、引退するまでに30勝したいと思う。もっともっと勝てるように努力したい」

 毎年、若手が次々と台頭する女子ゴルフ界。女王の健在ぶりを証明した。(THE ANSWER編集部)