3月7日から始まるWBC1次ラウンドのプールB。日本vsキューバで幕開けする同プールには、オーストラリア、中国代表も組み…
3月7日から始まるWBC1次ラウンドのプールB。日本vsキューバで幕開けする同プールには、オーストラリア、中国代表も組み分けられている。この4チームの中で、唯一野球文化が発展途上と言えるのが中国だろう。
■メジャー11球団で82勝81敗の実績、指揮官「彼の経験は大きい」
3月7日から始まるWBC1次ラウンドのプールB。日本vsキューバで幕開けする同プールには、オーストラリア、中国代表も組み分けられている。この4チームの中で、唯一野球文化が発展途上と言えるのが中国だろう。
2013年大会に続いてチームを率いるのは、現在フィリーズで打撃コーチを務めるジョン・マクラーレン監督。マリナーズのベンチコーチを務めたこともあり、イチロー(マーリンズ)が信頼する人物としても知られている。メジャーでも人望が厚いマクラーレン監督が、中国代表の柱として招集したのが、メジャー82勝の実績を持つブルース・チェン投手だ。
1998年にブレーブスでデビューしたチェンは、2015年途中に引退するまで11球団を渡り歩いたジャーニーマン。実は生まれも育ちもパナマで、2006年と2009年大会にはパナマ代表として出場した。だが、名前からも分かる通り、祖父母は中国からの移民で、チェンは中国代表に選ばれる資格を持っている。中国にはMLB機構がアカデミーを設立するなど、近年は野球普及活動が進んでいるが、まだ日は浅い。そこで野球の経験と知識を持つチェンに、招集の声が掛かったというわけだ。
■招集の知らせ届いた昨年11月から急ピッチで準備、「目一杯投げるつもり」
引退後はインディアンスの選手育成部門で働いていたチェンは「軽く体を動かすことはしていたけど、ピッチングは全然」と笑う。肩を作り始めたのは、招集の知らせが届いた11月から。「そこからブルペンに6回入って、ライブBP(フリー打撃登板)を3回してきたよ」と急ごしらえで間に合わせてきた。
先発で行くのか、中継ぎで行くのか、起用法は聞いていないが、「僕はWBCが終わった後の心配をする必要はないから」とジョークを飛ばしながら「肩が壊れても問題ない。球数制限があるけれど、目一杯投げるつもりでいるよ」と密かに闘志を燃やした。
マクラーレン監督は戦力としてはもちろん、若き中国人選手たちにとっての“生きる手本”となることをチェンに期待している。「彼の存在は選手にとっても大きい。いろいろ学び取ってほしいよ」。
「生まれ育ったパナマ代表になったこともうれしかったけど、中国代表になったことで祖父母が喜んでくれると思う」と話す39歳左腕。一度引退したとは言え、足掛け18年のメジャー歴は侮れない。