アラブ首長国連邦・ドバイで開催されている「ドバイ・デューティーフリー選手権」(ATP500/2月27~3月4日/賞金総額242万9150ドル/ハードコート)のシングルス2回戦で、第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)が予選を勝ち上が…

 アラブ首長国連邦・ドバイで開催されている「ドバイ・デューティーフリー選手権」(ATP500/2月27~3月4日/賞金総額242万9150ドル/ハードコート)のシングルス2回戦で、第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)が予選を勝ち上がったエフゲニー・ドンスコイ(ロシア)に6-3 6-7(7) 6-7(5)で敗れるという大波乱が起きた。フェデラーはその過程で3つのマッチポイントを逃している。

 1月の全豪オープンで18度目のグランドスラム・タイトルを獲ったフェデラー。彼は第2セットのタイブレークでつかんだ3つのマッチポイントを生かすことができず、しかも、その3つのチャンスのうち2つをアンフォーストエラーでふいにしてしまった。

 「今日、僕は皆を驚かせたのだろうね」と、世界ランク116位のドンスコイは言った。「ロジャーに勝った者は誰であれ、第一に自分が驚くのだと思う」。

 ドンスコイにとっては、これがフェデラーと対戦する初めての機会だったのだから、その挑戦はいっそう大きいものだった。

 「プレッシャーが大きすぎて、最初は本当に厳しかった」とドンスコイは言った。「それは相手がロジャーだったからだ。その上、僕は彼と練習すらしたことがなかった」。

 フェデラーは、第2セットのタイブレークでドンスコイがつかんだ、たった1つのセットポイントでフォアハンドをネットにかけ、試合を第3セットにまで延長させてしまった。

 ドンスコイの夢の準々決勝進出は、第3セットの第6ゲームで彼がサービスゲームを落としたときに終わってしまったかに見えていた。しかしフェデラーは、第3セット5-3からサービスに入ったときに、それをキープして試合を終わらせることができなかった。そして、ドンスコイが勝利の道を切り開く様子を目にすることになった。

 第3セットのタイブレークで、フェデラーは一時5-1でリードしていたが、ドンスコイは屈しなかった。

 「僕には勝つチャンスがあった」とフェデラーは言った。「僕は何とかして試合を終わらせるべきだった。その機会をどうやって逃してしまったのかわからないが、彼はとてもよくやったよ。間違いなく厳しい試合だった」。

 昨年のこの大会を膝の手術のためスキップしたフェデラーは、8度目のドバイ・タイトルを狙って大会に臨んでいた。

 ところで、この試合の最初の見どころは、フェデラーが6-3 3-4でリードしているときに起きた。コートの照明の一部が消えてしまったのだ。観客席のファンたちは携帯電話の懐中電灯を点け、ロックコンサートにでも来ているかのように、それを振り始めた。

 それから両プレーヤーは問題にも関わらずプレーすることに同意。その2ゲーム後に照明は復活し、すべてが元通りの状態に戻った。

 「もし彼がプレーし続けたいなら、僕も喜んでプレーし続けようと感じたんだ」とフェデラーは振り返った。「待ちたくなかった。真っ暗になったわけじゃない。ただ前より暗くなっただけだったからね」。

 ドンスコイは準々決勝で第7シードのルカ・プイユ(フランス)と対戦する。プイユはマリウス・コピル(ルーマニア)を6-1 6-4で下した。

 「この試合を評価するのは難しい。2セットで試合を終え、今頃プイユのことを考えながら、寝床についていることだってできていたはずなのだからね」とフェデラーは言った。「ところが今、僕はここで、何がうまくいかなかったのかを説明しているというわけだ」。(C)AP(テニスマガジン)