0-0のまま延長どころかPKまで行くのではないか、という空気が漂うウェンブリースタジアムは、後半が始まって10分が…
0-0のまま延長どころかPKまで行くのではないか、という空気が漂うウェンブリースタジアムは、後半が始まって10分が経つとサポーターがある選手を求めて叫び出した。慎重さを見せるサウスゲート監督が、そのステップに進んだのはサポーターが我慢しきれなくなってからしばらく経った69分のことだ。スタジアム中が待ち望んだジャック・グリーリッシュがようやく投入された。
すると75分、グリーリッシュの投入に合わせて右サイドに移っていたラヒーム・スターリングが低い位置からドリブルで切り込むと、ボールはペナルティエリア手前中央で構えるハリー・ケインへ。ドイツの守備陣は中央に圧縮され、ボールがケインからグリーリッシュへ渡ると、対面したのはヨシュア・キミッヒだった。
ここでルーク・ショーが浮いた。
ショーは試合を通じてキミッヒを抑える役目を全うしてきた。グリーリッシュはワンタッチ目でボールを内側に向けたことでキミッヒを釘付けにすることに成功。ボールはようやく自由になったショーに繋がり、ダイレクトで折り返すとスターリングが押し込み、イングランドが先制に成功した。
狙い通りにドイツを塩漬けにして時間を消費し、狙い通りのデザインされた攻撃で、終盤に見事にゴール。これこそ監督采配での勝利だ。
■自国開催EURO1996での雪辱
1996年、イングランドは自国開催となったEUROの準決勝でPK戦の末ドイツに敗退。この時、最後のキッカーとなったのがガレス・サウスゲートだった。
監督という立場になり、自らの手腕で確かに25年前のリベンジを果たした彼は試合後「96年に共に戦った仲間が決勝でプレーできなかったという事実を変えることはできない」と述べつつ「今の選手が過去を感じる必要はない。彼らは恐れではなく挑戦として(タイトルへの道を)進むことができる選手たちだ」と語った。
ヨーロッパ全体で開催されている今回のEUROだが、準決勝、決勝はロンドンで行われる。サポーターも、サウスゲート監督自身も、あの時の夢の続きを今のチームに見ている。
■試合結果
イングランド 2―0 ドイツ
■得点
75分 ラヒーム・スターリング(イングランド)
86分 ハリー・ケイン(イングランド)