陸上・日本選手権 東京五輪代表の最終選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権最終日が27日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子5000メートル決勝では、20歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が15分5秒69で優勝し…
陸上・日本選手権
東京五輪代表の最終選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権最終日が27日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた。女子5000メートル決勝では、20歳の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が15分5秒69で優勝した。新谷仁美(積水化学)が15分13秒73の2位に入り、ともに1万メートルに続く2種目内定となった。田中希実(豊田自動織機TC)は15分18秒25で3位だった。
廣中が先頭に立ち、レースを引っ張る展開。新谷は3番手で600メートルを通過し、田中は中団につけた。先頭の廣中は1000メートルを3分2秒、2000メートルは6分2秒で通過。廣中、新谷らが9分4秒で3000メートルを通過すると、田中は徐々に引き離された。廣中が徐々に後続を引き離し、4000メートルを通過。そのまま逃げ切り、新谷は2位でフィニッシュした。
新谷、廣中は大会前までに五輪参加標準記録15分10秒00を突破しており、今大会3位以内が内定条件。1万メートルに続く2種目の五輪切符獲得を視野に入れていた。レース後、新谷はオンライン会見で大粒の涙を流しながら話した。
「私は常々100か0しか考えていない。今日のレースは0点だったと思います。寸前に『棄権しよう』と横田真人コーチとかに言っていました。本当に棄権しようと迷った。私は今年になって結果を出していない。結果を出せないアスリートは私としてはよくない。故障でもないし、どこも痛くないので棄権する理由がないんですけど。最低限、最後まで走り切れてよかったです。
練習を積んでもそれが身になっていないというところが要因かなと思います。日頃から自分が気持ちのコントロールをできていない。今年に入ってからそれが影響している。そこをうまくコントロールしないといけない。そこを結果に繋げることも含めて、やはり逃げ腰になってはいけないと思いました」
極度の不安から棄権が頭をよぎったが、なんとか持ち直して出場した。コロナ禍で不安定な精神状態になっていることを告白。「今回、まん延防止が出ているところもある中で、スポーツ、アスリートの在り方を大きく問われている。その中で今日も多くのファンが見てくださっている。もちろん反対意見があるのも理解しているし、でも応援してくれる人がいる。(一時引退から)復帰した時に『応援してくださる人たちのために』と思ってやってきた。それが今日まで続いていると思っています」と複雑な心境を明かし、涙を拭った。
横田コーチに棄権したい旨を伝えた時には「すかさず棄権していいよと言ってくれた」と説明。「自分が棄権したら私に懸けてくださった積水化学などの方々に失礼。戦わなきゃって。五輪なんてもっと怖いと思う。棄権していいよと言ってくださったことが大きかったです」と明かした。
途中で抜かれた田中を抜き返したことについて「離されて、正直諦めようかなと思った。ファンの方には申し訳ないけど、途中で諦めそうになった。でも、『この子(田中)は今日800メートルをやって出ている。私は5000一本だぞと。この子にも申し訳ないんじゃないか」と奮起。「他にも選手たちがいる。諦めることがどれほど失礼か、と正された」と走り切って内定を勝ち取った。
田中はこの日午後4時15分スタートの800メートルに出場。競技終了からわずか約30分後の同4時50分から5000メートルにも出場する異例の多種目挑戦で力走した。(THE ANSWER編集部)