あと少しで試合に勝てるという時、肘がコンクリートのように固まり、足が鉛の…

あと少しで試合に勝てるという時、肘がコンクリートのように固まり、足が鉛のように重く感じることはないだろうか。試合の終盤でもいつもの自分のプレーをしたい、そんな時にお勧めの10のステップを米テニスメディア Tennis.comが紹介している。【後編】肝心な時にビビらない!勝負強いプレーヤーになるための10ステップ

テニスの教科書を読むと、どれもサーブの打ち方やフォアハンドのフォロースルーの仕方、ショットの合間のステップの踏み方などを教えてくれる。これらのスキルはもちろん重要ではあるが、本の著者もテニス教室の先生も、試合に勝利するための最後の1章、どのように試合を終わらせるかについては教えてくれない。世界一優雅なストロークを持っていたとしても、最後のゲームを勝つことができなければ宝の持ち腐れだ。

あと1ゲームで勝利というところでサーブする時と、ゲームカウント2-1でサーブする時では、自信を持ち、異なる精神面でのアプローチを取る必要があることは多くの人が分かっているだろう。では、最後のゴールにたどり着く方法を選手に教えないのはなぜだろうか?もしかすると、多くの人が精神的な強さは生まれ持ったものであり、学ぶものではないと信じているからかもしれない。だがテニス選手と関わったことのある臨床心理士のAlexandra Guhde博士によると、これは全く誤った考え方だという。

「難しいのは、自分自身のことをプレッシャーに弱い人間だと考えてしまうこと、そして他の人もそう思い始めてしまうことよ」とGuhde博士は言う。「プレッシャーに弱く生まれついた人間などいない。ただ、正念場でどのように振る舞うか、まだ学んでいる途中というだけなの」

Guhde博士の希望に満ちた言葉を心に留めつつ、Tennis.comがお勧めする成功への10のステップを紹介しよう。

「試合に出る前に、その日に集中したい何かを決める。明瞭な目標があるとより早く向上することができるし、コートにいることがもっと楽しくなるよ!」byジャン マイケル・ギャンビル(アメリカ)

1. 緊張する練習をする

プレッシャーに対する反応は人それぞれだが、緊張を乗り越える前に、緊張が自分にどのような影響を与えるのか知ることが必要だ。「自分を窮地に追い込んで、自分がどのように反応する傾向があるのかを見つけるのよ」と元世界女王のトレーシー・オースティン(アメリカ)はアドバイスする。「私の場合、足が動かなくなって、ラケットを振るスピードが落ちるわ。だからそういうことに気をつけなければいけないということが分かるの」

自分とほぼ互角だが、自分のほうがやや優っていると感じる相手と試合を組もう。自分が勝つべき相手に負けるかもしれないと考えると、体が緊張するはずだ。そんな時、自分の体がどう反応するかしっかりと感じよう。力んでしまうだろうか、それとも足が重たく感じるだろうか?自分の体の変化がわかれば、対処法も見えてくる。

2. サーブをもう1カゴ分打つ

ゲームを取るためには、サーブは極めて重要だ。サーブは、自分が100%コントロールできる唯一のショットであり、緊張し始める前にポイントを取れる唯一のショットだ。だが他のストロークと同様に、プレッシャーがかかるといつもどおりの動きができなくなってしまう。だからファーストサーブもセカンドサーブも同じだけ練習することが大事だ。第3セットでゲームカウント5-4という場面のサービスエースほど自分を力づけてくれるものはない。逆にダブルフォールトほど痛手に感じるものもない。

3. 自分がコントロールできることを知り、しっかりコントロールする

ラファエル・ナダル(スペイン)は、メンタルのタフさで知られている。彼が他の選手と異なるのは、自分がコントロールできることに集中する能力だ。ナダルはよく、大会開始時に「僕は正しいやり方で練習をしてきた」と言う。ナダルは、自信があることはずっとそのままでいられる才能ではないことを分かっているのだ。自信を持つということは、一歩ずつ積み重ねる過程を繰り返すことだ。しっかりと試合に備えることができれば、勝てないかもしれない、という弱気な心を抑えることはより容易になる。

4. 体だけではなく心もしっかり準備を整える

近年の研究で、体の不調を引き起こす原因が、精神的な不調も引き起こすことが明らかになってきている。「しっかりと水分補給ができていない、または睡眠が不足しているせいで緊張することがある」と語るのはヒューマン・パフォーマンス・インスティテュート共同創立者のJim Loehr博士だ。「ただ緊張を感じているように見えるかもしれないが、それだけではないことが多い。試合に対する準備が身体的にできていなければ、精神的にも準備がうまくできず、よりイラつき易くなる」つまり、しっかり水分をとって早めに眠りにつこう。そうすれば、体も心も落ち着くはずだ。

5. 不快感の中に快感を見出す

イライラし、神経過敏になることは、良いパフォーマンスを引き出す助けになる。「どんな人にも、その人に合った最適な不安のレベルというものがある」とGuhde博士は言う。「(選手とトレーニングする時は)不安を、自分が戦っている証拠として受け入れることに集中するの。不安になることは、その選手が戦闘状態にあるということ。心地よくない場所に心地よさを覚えることで、不安がパニックに変化することを防げる」不安になることは弱さではない。自分の目標に向かって突き進んでいるという証拠なのだ。

ステップ6~10は後編に続く!

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年「全仏オープン」で練習するナダル

(Photo by Aurelien Meunier/Getty Images)