【UEFA EURO2020 グループB第3節 フィンランドvsベルギー 2021年6月21日(日本時間28:00キッ…

UEFA EURO2020 グループB第3節 フィンランドvsベルギー 2021年6月21日(日本時間28:00キックオフ)】

 そしてこの試合、ベルギーの選手たちはそんなアザールにゴールを決めてもらいたいという姿勢を見せていた。わかりやすい結果で新しいスタイルを試すアザールを良い波に乗せたい、そういう意識が明らかに共有されていた。

 デ・ブライネが頭を上げた時にまず見るのがアザールだったり、ロメル・ルカクがあからさますぎるラストパスを出してカットされてしまったり、右サイドから中央ではなくファーにいるアザールに向けてグラウンダーのクロスが送られるもののクリアされたり・・・と相手にバレバレでも構わずアザールのゴールを待ち望んでいた。

 新しいスタイルのアザールを強く印象付け、同時に最もゴールに近づいたのは63分のことだった。

 左サイドでトーマス・フェルマーレンからボールを受けた背番号10はドリブルを開始。しかしDFの寄せを受けるとそこから加速することなく、無理せずにボールを最終ラインに戻した。ドリブルは、かつてのように相手を切り裂いて進むものではなく、自然な流れで居場所を変える作業でしかなかった。

■まだ万全のプレーはできていない

 ボールを下げたアザールはそのままゆっくりと中央にポジションをとる。すると、ベルギーは組み立て直しからエリア内のアクセル・ヴィツェルがパスを受けてアザールにラストパス。ワントラップからシュートが放たれたが、この決定機はGKが好セーブを見せた。

 デンマーク戦のアシストと同じく、アザールではなく周りが加速して動くこの場面が象徴するように、自身も周囲も以前と全く同じ姿を目指してはしていない。

 しかし、新しいスタイルであろうとも、2020-21シーズンのリーガで533分の出場にとどまったアザールのパフォーマンスがいまだに上がりきっていないのも事実だ。

 85分、エリア内の中央やや左、細かいタッチでDFをよけてゴールの逆サイドへ放った得意の形での絶好のシュートは、枠を大きく外れてしまった。足首だけでなく筋肉系の怪我が慢性化してしまっているアザールは、スタイルを変えても、チームの中でそのやり方がフィットしても、まだ1つ1つのプレーが万全には程遠い状態だ。

 3連勝をして挑む決勝トーナメントでアザールの出番は訪れるだろうか。調整に使える最後の試合は90分フル出場で終わりを告げた。

■試合結果

フィンランド 0―2 ベルギー

■得点

74分 オウンゴール

81分 ロメル・ルカク(ベルギー)

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