■6月21日/J1第18節 鹿島アントラーズ 0 - 1 ベガルタ仙台(カシマ) 仙台が痛恨のドローを喫してしまった。…

■6月21日/J1第18節 鹿島アントラーズ 0 - 1 ベガルタ仙台(カシマ)

 仙台が痛恨のドローを喫してしまった。中断明けの初戦でカシマスタジアムに乗り込んだベガルタイレブンは、常勝軍団を相手に黄金ペースに持ちこんだ。そして63分にFW西村拓真が先制。このままリードを守って後半アディッショナルタイムまで持ち込んだが、追加時間5分を経過した97分に痛恨の同点ゴールを被弾してしまう。勝ち点1を積み上げて降格圏から脱出したものの、悔しさが残る一戦となった。

 63分の先制ゴール以降、仙台はゴール前に鉄壁を形成した。61分から用いた3バック+ウイングバックの“5バック”に、ボランチの献身性、そしてリーグ戦初先発となったGKストイシッチの攻守で、鹿島の攻撃を次々とはね返していった。

 この試合の公式記録のシュート数で鹿島は21本を数えたが、仙台はそのすべてを守り切ってみせる頼もしさがあった。しかし、試合の結果を変えたのは、シュートではなくクロスだった。途中出場したファン・アラーノが、コーナーキック崩れから鹿島の右サイドでボールを持つと、大きく切り返して左足でクロス。ディフェンスラインとGKの間を狙ったというクロスは、強い回転が描く独特の軌道を描くと、ここまでビッグセーブを連発したセルビア人GKの手先をかすめることなく、ゴールネットを揺らしたのだ。

■SNSに並んだ疑問と怒りの声

「GKにとって、前に出るか飛び込むか選手が触るか、判断が難しいボールを蹴った結果、それがゴールにつながった」

 殊勲ゴールを決めた7番がこう振り返ったように、鹿島の選手が前のめりになる中で冷静さを生かしたシーンだったが、仙台にとってはそう簡単に受け入れられる事態ではなかったはずだ。後半のアディショナルタイムで示された時間は「5分」。にもかかわらず、公式記録での得点時間は「90’+7」。いろいろな意味で痛恨の出来事だった。

 そもそも、この試合展開でロスタイム「5分」ということ自体に違和感が大きかった。そのうえ、2分追加されたのである。仙台の選手やサポーターとしては、ゴールラインをずらされた感じがしてもおかしくない。

 実際、この時間にSNSには疑問と怒りの声が並んだ。

「なんで終わらんの」
「流石にこれは怒る。無理。無理だから。」
「ふざロス過ぎてブチギレてる」
「アディショナルタイムの計算方法について教えてください」
「Jリーグはそんなに仙台を落としたいんか?」

 仮に、5分を経過しても“チャンスが続いていたから”笛を吹くタイミングを狙っていたとすれば、その後も試合時間が続いていたことの説明がつかない。試合が終わったのは、DAZNの時間上で97分51秒。文字通り時間が“アディション”されたのである。同点弾の主役は、ファン・アラーノではなく主審の時計だった。

■「RESPECT 大切に思うこと」の理念

 この疑問は、現役のJ1選手も持ったものだ。FC東京に所属するMF三田啓貴が、リアルタイムでTWITTERを更新。「ロスタイムとは。」と、暗に批判した。このツイートは3ケタのリツイートを数え、たちまち拡散。三田はこのツイートを削除し、「試合を見ていて少し熱くなってしまいました」と説明した。ここで大事なのは、現役Jリーガーですら疑問に思える笛だったのである。

 仙台は「勝ち点2を失った」「勝ち点1を積み上げた」の両方が受け取れる結果をカシマで手にした。暫定的に降格圏から脱出したとはいえ、G大阪の消化試合数を考えればあくまでも暫定だ。

「勝ち点2」が、リーグ終盤で持つ重みは、今からでも予想できる。Jリーグクラブは、選手だけでなく、スタッフ、スポンサーがいて成り立つ。一度J2に降格すれば、スポンサーやサポーターが離れ、多くの人の生活に影響を与える。であれば、その笛が見ている人に分かりやすさを与えることは絶対条件となる。

 Jリーグは「リスペクト」という言葉を大事にし、試合会場でリスペクトを訴える動画を流す。そして審判陣はシャツの右腕上部に「RESPECT 大切に思うこと」という文字を刻んでいる。この理念を徹底する必要があるのではないだろうか。

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