島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催されているATP公認大会「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会(京都チャレンジャー)」(本戦2月20~26日/賞金総額男子5万ドル/室内カーペット)の本戦5日目は、男子シングルス準々決勝と男子…

 島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催されているATP公認大会「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会(京都チャレンジャー)」(本戦2月20~26日/賞金総額男子5万ドル/室内カーペット)の本戦5日目は、男子シングルス準々決勝と男子ダブルス準決勝が行われた。

 シングルスには日本勢が3人残っていたが、準決勝に駒を進めたのは内山靖崇(北日本物産)のみ。予選勝者のエフゲニー・カルロフスキー(ロシア)に6-4 6-4で快勝した。第1シードの杉田祐一(三菱電機)はこの日が20歳の誕生日だったロイド・ハリス(南アフリカ)に6-7(2) 5-7で敗れ、快進撃を見せていた18歳の綿貫陽介(グローバルプロテニスアカデミー)は第6シードのブラズ・カブチッチ(スロベニア)に4-6 6-2 4-6で惜敗した。

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 速い、伸びる、滑る----この大会のサーフェスはビッグサーバー、ビッグヒッターに有利と言われ、日本選手の中では183cmと長身でもある内山は間違いなくそのタイプだ。

 「好きというわけじゃないです。ボールが伸びてくるので、しっかり自分のタイミングで気持ちよく打つのが難しい」

 サーフェスについてはそんな印象を語ったが、この日のプレーを見る限り、気持ちよさそうだった。武器であるサービス力がここぞというところで発揮され、相手に攻められる前に先に攻めるのだという決意のようなものを感じるプレー内容。それはこの試合だけでなく、この大会、そして今シーズンにかける意気込みの表れでもあったのかもしれない。

 「今年はもう25歳になるのに、まだ200位を切れていないし、アップダウンも多い。こんなにくすぶっていたらダメだろうという思いがずっとあったので、今年は前半から結果を出していこうという気持ちを強く持てている」

 そんな中、1回戦でかつてトップ40だったマリンコ・マトセビッチ(オーストラリア)に「いいかたちで」勝って勢いに乗れたという内山の準々決勝の相手は、予選勝者の22歳カルロフスキー。

 内山は第1セットの第2ゲームで3つのブレークポイントをしのぐと、第7ゲームで2度のデュースのあとブレークを果たした。第2セットは最初のゲームをラブゲームでブレークすると、自身のサービスゲームはすべて危なげなくキープ。結局、最初のサービスゲーム以外に握られたブレークポイントはなかった。

 昨年9月の上海チャレンジャー(賞金総額5万ドル大会)以来のベスト4入り。次は一昨年8月のアメリカのチャレンジャー(同)以来となる決勝進出をかけ、第2シードのグレガ・ゼムラ(スロベニア)に挑む。

 同じく予選勝者と対戦したのが、連覇を狙った杉田。193cmと長身の新鋭ハリスが放つ高速サービスはこのサーフェスでは有効で、杉田は最後まで崩すことができなかった。第2セットではブレークチャンスを握るものの、あと1ポイントが奪えず。

 「ファースト(セット)は(サービスの)コースも読めないし、チャンスはなかった。セカンド(セット)はブレークポイントを取りきれなかったところで、勝敗が分かれた感じがする」

 なお、勝ったハリスはジュニア時代に綿貫と組んで全米オープン・ジュニアのベスト4に進出した選手だ。ハリスが勝った以上、綿貫との準決勝での若手対決が期待されたが、綿貫は第6シードのカブチッチに道を阻まれた。

 現在、世界ランク166位のカブチッチはかつて60位台にいた29歳。587位の18歳にとっては〈大物〉だったが、「6-4 6-2とかのストレートで勝ってもおかしくない試合だった」という試合後の第一声が手応えの大きさを物語っていた。そう言いながらガックリとうなだれ、頭を掻きむしり、机に突っ伏し----およそ考えられる限りの失意のジェスチャーをひと通り見せたが、その悔しさの表現は逃した獲物の大きさだったのだろう。

 イメージの中では6-4で取れるはずだった第1セットを逆に4-6で落とした。第2セットは6-2で奪い返し、最終セットの第4ゲームでは2度ブレークポイントを握ってプレッシャーをかけたが、これらを生かせず、第9ゲームで致命的なブレークを許した。

 改良に取り組んできたというサービスとフォアハンドは力強く、何本も相手コートに突き刺さったが、そうしたプレーにもチャレンジャーで初のベスト8入りにも満足した素振りはなし。

 「このサーフェスなのである程度は決まる。大事なポイントで取れるかどうかがすべて。切り替えはわりと早いほうだけど、今日は…ちょっと厳しいです」

 そんな18歳の挑戦は来週の慶應チャレンジャー(予選2月25、26日、本戦2月27日~3月5日/慶應義塾大学日吉キャンパス/賞金総額男子5万ドル/ハードコート)へと続く。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)