「パラリンピック日本女子初のパワーリフターになりたい」
これまでに、日本女子がパワーリフティングでパラリンピックに出場したことはない。そもそも、車椅子の女性が重りのついたバーベルを持ち上げる姿を想像したことのある人は少ないとし、「だからこそ、私がパラリンピックに出場して皆さんの固定概念を変えたい」と強調する。

パラリンピックが社会を変える“きっかけ”として、「障害者のイメージを変えられたらと思う」と山本。普段知らない姿を見せることで、多くの人に知ってもらい、「健常者、障害者、それぞれのバックグラウンドがあっても、互いに受け入れて生きていけるような世の中をつくっていきたい」と青写真を描く。

山本は、先天性の二分脊椎(せきつい)症の影響で幼いころから足が不自由だった。9歳から水泳を始め、パラリンピック出場を目指していたものの、高校2年生時に負ったケガでその夢を断念。そこからは、北京・ロンドン、リオと3大会のパラリンピックや選手を、様々な形で支え続けてきたが、5年前にパラスポーツの体験イベント中にパワーリフティングと出合った。実際に持ち上げてみたところ、可能性を感じ、東京パラリンピック出場を目指すようになったという。

現在も、東京大会出場を目指しながら日本財団パラリンピックサポートセンター職員として、パラスポーツの魅力発信を行っている。小中高校生などに自身の経験から、共生社会について考える出前授業や、障害者と健常者のコミュニケーションを教えるセミナーを実施し、好評を博す。
昨年はコロナ禍の影響により、対面型の事業実施が危ぶまれたが、オンライン版のプログラムを開発。「全国の皆さんと会えることになってとても楽しかった」と話し、「たくさんの人に私がパワーリフターというのを認知してもらったので、パラリンピックにも興味を持ってもらえた」。
セミナーごとにSNSのフォロワーも増えたといい、「皆さんからのパワーは本当に力になるので、私自身も日々頑張らなければと刺激を受けた」と語った。

パラリンピック開幕まで約2カ月。「今はドバイでの大会、トレーニングといった本番までの全ての過程を楽しみたい」と笑顔で話す。
大舞台では「美しさを感じてもらいたい」と山本。パワーリフティングというと、力自慢と思われがちだが、「所作や、流れなど全てが美しく整ってなければ、いくら重いものをあげても記録として認められないので、一連の動作の中に繊細な技術があるということを見てほしい」と述べる。
「ファッションの視点から女性にも魅力を伝えたい」と、コーンロウのヘアースタイルに、カラフルなネイル、華やかなリフティングスーツなど、魅せることにもこだっている。

まずは、東京パラリンピックの選考を兼ねた「2021ドバイワールドカップ」(6月19〜24日)で夢舞台への切符に挑む。これまでの全てを懸けて臨むというが、「自分自身が楽しむことも大切にしたい」。

そして、女子55kgの決勝が行われる8月27日、東京国際フォーラムで会場の視線を一堂に集めるような最高のパフォーマンスに期待したい。

〜山本選手のこだわりはどら焼き〜

試合前には必ず、どら焼きを食べます。きっかけは、2018年のアジア大会です。検量後に、炭水化物かつパワーが出るものをということで、コーチが持ってきてくれたのがどら焼きでした。
その時の体の調子が良かったので、それからは結果が良い時も悪い時も大一番では、“勝負飯”ということで、ずっとどら焼きを食べています。

〜拝啓ファンの皆さまへ〜

いつも応援していただいてありがとうございます。皆さんには「マック」と呼んでもらい、「マック」に会うと元気が出ると言っていただいていますが、私の方がいつもたくさんのパワーをもらっています。
皆さんと私の間にある元気を一緒に育てていって、パワーリフティングという競技をお互いが楽しいと言ってもらえるようになればいいなと思います。
また、私が辛くなった時、皆さんが辛くなった時も、一緒に元気になれるようになったらいいなと思います。
引き続き応援よろしくお願いします。