6月18日の対チャイニーズタイペイ戦で登録された男子日本代表12人(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)高さを生…

6月18日の対チャイニーズタイペイ戦で登録された男子日本代表12人(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)

 

高さを生かして完璧なスタート

 

 フィリピンで開催されているFIBAアジアカップ2021予選(グループB)に臨んでいるバスケットボール男子日本代表が6月18日にチャイニーズ・タイペイと対戦し、98-61と大差をつけて勝利を収めた。日本はこれで通算成績が2勝2敗とし、アジアカップ本戦出場に一歩大きく近づいた。
 日本の他に中国とチャイニーズ・タイペイ、マレーシアが同組のグループBでは、マレーシアの棄権が明らかになっている。ただ、2020年2月21日にマレーシアとチャイニーズ・タイペイの間で行われた試合の結果(チャイニーズ・タイペイが152-48で勝利)の扱いについてFIBAから公式発表がないため、現時点で順位が確定できない。仮にマレーシアを除く3チーム間のみの勝敗で順位を決めるとなれば、この日の勝利で日本の3チーム中2位以上が確定していたところだ。
 ただし、19日(土)に日本が中国に勝利して通算成績を3勝1敗とすれば、マレーシアの試合を含めるかどうかによらず、20日(日)に行われる中国とチャイニーズ・タイペイの試合結果を待たずに日本の2位以上が確定する。
 その意味で明日の対中国戦は大きな意味を持つ。また、国内組のみで臨む東京オリンピック前のFIBA公式戦最後の機会としても重要な試合だ。
 その試合を前にしたチャイニーズ・タイペイとの一戦で、日本は好調な滑り出しを見せた。スターターは田中大貴(SG、192cm/アルバルク東京)、比江島 慎(SG、191cm/宇都宮ブレックス)、金丸晃輔(SG、192cm/シーホース三河)、エドワーズ ギャビン(PF、206cm/千葉ジェッツ)、シェーファー アヴィ幸樹(C、206cm/シーホース三河)の5人。平均身長197.4cmは、相手スターターの最長身プレーヤーだったスー・シーシュエン(#17 SU Shih Hsuan、197cm/C)よりも高かった。
 日本はティップオフ直後から、サイズのアドバンテージを生かせるエドワーズにボールを集め、開始約3分で12-0と快調に飛ばした。2日前の中国との初戦では課題と思われた試合の入り方については、完璧に克服した形だ。エドワーズは得点のみならずアシストありブロックショットあり、リバウンドありと代表デビュー2戦目にしてスターターの柱となる活躍。
 ペイントでエドワーズとシェーファーが支配的な存在感を見せる一方でこの日司令塔としてプレーした田中のプレーメイクも安定し、さらには比江島と金丸のショットが期待に応える精度で決まった。第1Q残り4分57秒にエドワーズがレイアップを決め18-2となったところまでは、完璧なゲーム運びと思われた。

 

※中国とチャイニーズ・タイペイのプレーヤー表記は[姓・名]の順で、アルファベット表記は大文字部分が姓です

 

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代表戦2試合目となったエドワーズはティップオフ直後から存在感を発揮した(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)

 

国際試合では許されないディフェンスの甘さ

 

 ところが第1Qの残り5分間は、好調だった日本代表のリズムが失われてしまう。きっかけは残り6分を切ってからのエドワーズがチーム18点目を決めるまでの2度のメンバーチェンジ。まずは田中と比江島に代わりベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)と辻 直人(川崎ブレイブサンダース)を、その後金丸に代えてチェンバース アキ(横浜ビー・コルセアーズ)を投入した。

 ここから流れが変わった。点差のある中で全員をプレーさせる意図もあるフリオ・ラマスHCとして、何も悪い判断ではなかろう。また、登場したプレーヤーを個々に責めるような問題でもないだろう。ただ、「魔の時間帯」に飲み込まれるようにコート上の5人はリズムを見失い、リードが徐々に詰められていった。
 第1Q終了間際の残り8秒にはベンドラメのパスがターンオーバーとなり、スティールからそのままレイアップを決められ25-16。中国との試合でもクォーターの終了間際に良いプレーができなかったが、同じことがこの場面でも起きてしまった。
 エドワーズをベンチに残し、ベンドラメとチェンバースに代え篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を投入し、辻と竹内公輔、竹内譲次(アルバルク東京)の5人で始まった第2Qはこの悪い流れを引きずり、立ち上がりの1分間で5点挽回され、あっという間に25-21の4点差まで詰められてしまう。

 しかも内容が非常に悪かった。チャイニーズ・タイペイの第2Q最初の得点は、オフェンス・リバウンドからのプットバック。続く日本の2度のオフェンスが続けて失敗に終わったあと、今度はディフェンスの緩みを突かれて3Pショットを決められた。見かねたラマスHCはタイムアウトを要求…。

 その後日本は、堅実なショットとしぶといディフェンスでチームに活気をもたらす篠山の好プレーも見られたが、このクォーター残り6分32秒にはスーに再びオフェンス・リバウンドからプットバックを決められ27-23となり、なかなか流れを引き戻すことができない。第2Q残り4分42秒には、頑張っていた篠山が速攻でフロントコートにドリブルで上がっていくチャイニーズ・タイペイのキャプテン、ウー・チャチュン(#3 WU Chia-Chun、174cm/G)に対するアンスポーツマンライク・ファウルを取られ、フリースローで2点を献上。さらに、続くサイドラインからのインバウンドで始まったポゼッションで、ウーにイージーバスケットを許し33-30と3点差に詰め寄られる。
 ラマスHCはたまらず2度目のタイムアウト。ハドルでプレーヤーたちと向き合うラマスHCの言葉にも普段以上に力を込もる。「ペリメーターの選手…誰もプレッシャーをかけない」「ドライブを止めたい。そこに対してプライドを持ってほしい。それがなければもう何もできない」という通訳の言葉が聞こえてきた。

 このタイムアウト以降、日本のディフェンスは改善していった。オフェンスでは比江島が3Pショット2本を含め一人で8連続得点。さらにその比江島とエドワーズのコンビによるみごとなアリウープ・ダンクも飛び出し、43-33とリードは再び2ケタに。
 リズムを取り戻した日本は、前半終了間際に竹内(公)がチェン・ユジュイ(#13 CHEN Yu Jui、185cm/G)のレイアップを豪快にブロック。ボールを奪った竹内(公)からパスを受けた比江島はトップの深い位置からブザービーターとなる3Pショットを沈め52-38で前半を終える。以降、第3Q、第4Qと日本が崩れることはなく、37点差の圧勝という結果となった。

 

比江島は前半終了間際のブザービーターを含めすべてのショットを成功させ15得点(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)

 

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 試合後の会見で、ラマスHCは「今日の我々は大きなアップダウンがありました」と振り返った。この言葉どおり、第1Q序盤は最高の出来、以降第2Q半ばまでは谷底に落ちたような出来と言える。ネガティブな点を言い表すには、これで十分だろう。19日の中国との2試合目では同じことは絶対に許されない、という意識につながったからこそ、後半は安心してみていられる展開になったのだ。
 チャイニーズ・タイペイのアシスタントコーチを務めるチェン・チールン(CHENG Chih Lung)氏は「大会2試合目で前半に食らいつけたのは、若いチームにとっては収穫。母国のファンにも喜んでもらえたのではないかと思います。将来に向けて明るい材料です」と話している。

 

ラマスHCは19日の中国戦でロシターを起用することも明かしていた(写真/©JBA)

 

中国戦に向けた好材料

 

 底なし沼から這い上がって、その足で見晴らしの良い丘の上まで駆け登ったような波の大きな試合だったが、日本にとっての好材料がいくつも提示された。インサイドでどれだけ支配できるかという意味では、エドワーズとシェーファーがサイズのアドバンテージをフルに発揮できていた。エドワーズはゲームハイの21得点に4リバウンド、ゲームハイ・タイとなる6アシスト、そしてブロックも2つ記録。19日の中国戦ではエドワーズに変わってロシター ライアンが登録されるが、東京オリンピックに向けたロスター選考において、帰化枠の選考に対する自信はより高まっただろう。
 シェーファーは11得点に10リバウンドのダブルダブルで、±が田中の38に次ぐ36。試合後のズーム会見では「スピードなどいろいろな要素があるものの、単純にフィジカルだけなら中国ともやりあえる」とフィリピンでの2試合で自信をつけている様子だった。
 シューティングに関しては、比江島が前半終了間際のブザービーターを含めフィールドゴール5本(うち3Pショットは3本)とフリースロー2本すべてを成功させ15得点。金丸は前半、目のあたりに相手の肘が入りベンチに下がった時間帯があったが、後半は元気に登場して最終的にフィールドゴール6本中5本(3Pショットは5本中4本)を成功させ14得点という数字だ。2人合わせて1本しかミスがなく29得点というデータは、中国にとって刺激的だろう。

 

シューティングが好調な金丸。中国はいっそうプレッシャーをかけてくるだろう(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)


 プレーメイクの点では、長身の田中がポイントガードの役割を請け負い、安定した活躍を見せた。自身は3得点のみだが、前述のとおり±がゲームハイの38だった。篠山も、谷底の時間帯で犯したアンスポーツマンライク・ファウルはまったくいただけないが、フィールドゴール2本(うち3Pショット1本)とフリースロー2本すべてを決めて7得点を挙げる一方で、ゲームハイ・タイの3スティールと攻守両面で存在感を示した。ベンドラメも篠山同様に、第1Qの締めの時間帯のターンオーバーは大きな反省材料だが、5得点に加え5リバウンド、そしてエドワーズに並ぶゲームハイ・タイの6アシストでチームを助けた。

 

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 試合感覚も一段と高まり、やるべきことへの意識も高まったところで迎える中国との決戦。相手も初戦とは異なる状況で向かってくる。
 17日に行われたチャイニーズ・タイペイとの試合で中国は、日本との初戦ではほとんどプレーしていなかった身長225cmのセンター、リュウ・チュアンシン(#13 LIU Chuanxing)を10分以上プレーさせた。スタッツとしてはフィールドゴール8本中6本を成功させ、フリースローも4本とも沈めての16得点と9リバウンド。非常に堅実だった。ポストでポジションを取ったリュウにボールが入ったら、もう止めることはできない。

 

17日の試合でフリースローを放つリュウ。指の高さはほとんどリングの高さだ…(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)


 中国代表のドゥー・フェン(DU Feng)HCは、チャイニーズ・タイペイを115-66で破った後の会見で、「リュウはまだ若く、日本との試合ではあまり出すことができませんでした。非常に大きいプレーヤーで、中国代表での試合は今回が初めてです。ですから経験を積ませたいというのがコーチとしての思いですね。今日は非常によくやっていました。16得点しただけでなくペイントでのポストに対するディフェンスも頑張っていました。今後が楽しみで、最大限伸びていってほしいプレーヤーです」と期待を寄せていた。
 中国のフロントラインでは、日本との初戦でスターターとして登場したシェン・ジジェ(#14 SHEN Zijie/C、211cm)が、チャイニーズ・タイペイとの試合の前半に足を負傷している。ドゥーHCは「次戦以降も大丈夫。プレーできると思います」と会見で述べてはいたが、実際にどうかは情報がない。19日にはリュウが初戦より多くの時間コートに立つ可能性もある。
 とはいえ、誰が出てきても大きな中国に、調子を上げている日本がどう対抗するか。日本にとっては今大会最終戦の中国との一戦は、19日の15時30分にティップオフを迎える。

 

FIBAアジアカップ2021 予選・フィリピン大会男子日本代表
6月19日(土) 中国戦メンバー
※プロフィール内容は氏名、ポジション、身長(cm)/体重(kg)、所属の順

ロシター ライアン PF 206/107 宇都宮ブレックス
富樫勇樹 PG 167/65 千葉ジェッツ
辻 直人 SG 185/82 川崎ブレイブサンダース
比江島 慎 SG 191/88 宇都宮ブレックス
篠山竜青 PG 178/78 川崎ブレイブサンダース
竹内公輔 PF 207/100 宇都宮ブレックス
安藤周人 SG 190/89 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
金丸晃輔 SG 192 /88 シーホース三河
田中大貴 SG 192/93 アルバルク東京
シェーファー アヴィ幸樹 C 206/107 シーホース三河
渡邉飛勇 PF 207/106 カリフォルニア大学デービス校大学院1年
張本天傑 SF 198/102 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

☆平均身長193.3cm/平均体重92.1kg 平均年齢29.1歳

 

☆FIBAアジアカップ2021予選における男子日本代表試合日程および放送・配信予定

※最新情報と詳細は各放送局公式サイト、大会公式サイト等で確認のこと

 

6月19日(土)15:30 中国 vs 日本
LIVE:CSフジテレビNEXT、DAZN

LIVE & キャッチアップ:DAZN

録画:フジテレビ(地上波)6月21日(月)25:25~

 

・フジテレビ バスケットボール
 https://www.fujitv.co.jp/sports/basketball/
・DAZN アジアカップ予選
 https://www.dazn.com/ja-JP/sport/Sport:ayp4nebmprfbvzdsisazcw74y

 

JBA大会特設サイト:

 https://asiacup2021-qualifiers.japanbasketball.jp/

FIBA大会公式サイト:

 http://www.fiba.basketball/asiacup/2021/qualifiers

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

6/19 中国戦 日本代表メンバー表

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