練習を終えてグラウンドを去る頃には、いつだって人々の歓待を受ける。差し出された色紙やジャージィにサインを書き、スマートフォンを引き取りファンと自撮りをする。 サンウルブズのエドワード・カーク主将は、来日2年目にして国内有数の人気選手となっ…

 練習を終えてグラウンドを去る頃には、いつだって人々の歓待を受ける。差し出された色紙やジャージィにサインを書き、スマートフォンを引き取りファンと自撮りをする。

 サンウルブズのエドワード・カーク主将は、来日2年目にして国内有数の人気選手となった。日本生まれのこのクラブがスーパーラグビーに初参戦した昨季は、チーム最多となる146本のタックルを記録している。笑顔を絶やさぬ姿勢と献身的なプレーが、国境を越えて愛された。

 今季はインサイドCTBの立川理道と共同主将を務めることとなり、「チームのためなら何でもしたい」と意気込んでいる。

 2月25日、東京・秩父宮ラグビー場。前年度王者のハリケーンズとのオープニングゲームに挑む。背番号7をつけ先発予定の通称「カーキー」は、宣言した。

「とにかくラグビーができることを誇りに思い、楽しむ。ストレスは全く感じる必要がない。相手はチャンピオンで、こちらが失うものはない。思い切り、やり切るのみ」

 2月1日の合流後は、しばしコンディション調整に苦しんだという。オフは母国オーストラリアのブリスベンで草の根のラグビーを楽しんでいたが、「スーパーラグビーのチームでのトレーニングは、自分がするものとはかけ離れている」と再認識。もっとも開幕前日の24日には、こう言えるようになった。

「いまはやっとゲームモード。試合に挑む準備ができたと思っています。これから長いシーズンが始まり、移動も増えてくる。1つひとつの状況を楽しんでいきたいと思っています。(試合翌日の)毎週日曜は、いつも身体が痛いです。でも、それもラグビーです」

 怪我人が続出している。ハイランダーズから加わったSHの田中史朗、共同主将でもある立川ら日本代表経験者の多くは、出場を見送らざるを得なかった。対するハリケーンズがニュージーランド代表勢5名を先発させるのに対し、サンウルブズは7名がスーパーラグビーデビューとなる。もっともカークは、持ち前の陽気を崩さない。

「2人(田中と立川)がいないことは大きなロスです。経験のある選手ですから。でも、こちらにとっては、若い選手がスーパーラグビーの経験を積めるチャンスでもあります。新しい選手が日本ラグビー界に足跡を残すかと思うと、待ちきれないです。ハリケーンズを相手に自分たちの力を試す、最高の機会です」

 当日は「ボールを大きく動かしたい」。オープンサイドFLに入るカークは、グラウンドの両サイド15メートルラインの内側を働き場とする。肉弾戦でのファイトや大外のスペースへのパスなどで、システムを機能させたい。(文/向 風見也)