朝倉未来選手の衝撃的な失神TKOで幕を閉じた「Yogibo presents RIZIN.28」。この朝倉未来vsクレベル・コイケ戦について、グレイシー一族やミルコ・クロコップと戦い、ピーター・アーツに勝った元総合格闘家の大山峻護さんに話…

 朝倉未来選手の衝撃的な失神TKOで幕を閉じた「Yogibo presents RIZIN.28」。この朝倉未来vsクレベル・コイケ戦について、グレイシー一族やミルコ・クロコップと戦い、ピーター・アーツに勝った元総合格闘家の大山峻護さんに話を聞いた。

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――18年ぶりに東京ドームで行われた格闘技の祭典は劇的な展開となりました
「胸が熱くなる試合でしたね。朝倉未来選手も、クレベル・コイケ選手も、これまでたくさんのキツイ経験と実績を重ね、這い上がってこの舞台にたどり着いた選手。東京ドームのメインイベント、地上波のゴールデンタイムで戦えるって最高の経験です。渦中にいる時は、自分の状況とか立場とかが見えなくなってしまいがちでで、それがどれだけすごいことかわからないんですけど、本当に一握りの人しか見られない景色。その舞台で、本当にいい試合を見せてくれました」

――結果は2R三角締めでクレベル・コイケ選手の勝利
「朝倉選手のプレッシャーは相当のものがあったと思いますが、入場時の目の力がいつもより弱かったように感じました。一方、クレベル・コイケ選手はものすごくいい顔、充実した目をしていましたね。この大舞台で戦えることを幸せに感じているようでした。1R目はどちらが勝ってもおかしくない雰囲気がありましたが、朝倉選手は慎重になりすぎてしまって攻め切れなかったですね。クレベル・コイケ選手の入りはシンプルだけど無駄がなく、研ぎ澄まされた素晴らしい動きでした」

 

――ライト級タイトルマッチではホベルト・サトシ・ソウザ選手がベルトを手にしましたが、柔術の時代が再来しますでしょうか?
「グレイシーの時代から柔術のすごさを見せつけられてきましたけど、改めてすごさを感じましたね」(大山さんはハイアン・グレイシー戦で腕ひしぎ十字固めで一本負け、右腕肘関節脱臼骨折に追い込まれた経験を持つ)

 

 

――朝倉選手が宣言通りタップをしなかったことには賛否両論あります
「三角締めって、みんなが研究しているオーソドックスな技だからこそ、本当の巧者でないとあそこまで決められないです。相手はディフェンスの対策もバッチリしてきているので、研ぎ澄ましてきた技術と仕掛けるタイミングの絶妙さが求められます。クレベル・コイケ選手のそれは、磨きに磨き上げた名刀のような切れ味。だからこそ、タップをしないことに関しては、考え方にもよりますけど…やっぱり危険ですね」

――敗れた朝倉選手は引退も示唆しています
「続けなきゃ、人生に悔いが残ると思います。僕も現役時代そうでしたが、負けた直後は感情的で、自己否定的になってしまいがちです。でもまだ28歳ですから。僕がプロの格闘家としてデビューしたのは26歳ですからね。28歳でこれだけの経験を積んで、これだけの人に応援されているって、本当にすごいことですし、財産です。今はどん底のように感じるかもしれませんが、人生を振り返ったときにここまでの落差って普通の人は経験できないですから。その落差ですら力にしてほしいですね」

――朝倉選手はまだまだ強くなりますか?
「この経験をバネにまだまだ強くなりますよ。負けてから立ち上がることは、勝ち続けるよりも大切なことですから。負けることが財産だったりしますからね。みんな失敗したり、うまくいかないことがあるなかで、『自分も頑張ろう』って思える姿をアスリートには見せてほしい。大きな挫折を乗り越える、立ち上がる姿を見せるというのもアスリートの生き様、役割だと思います。発信力のある選手だからこそ、彼の人生を通してそういったメッセージを発信してほしいですね。さらに強くなってこの舞台に戻ってくる日を楽しみにしています」

 

大山峻護さん

 

 

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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大山峻護(おおやま・しゅんご)

5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版。