【UEFA EURO2020 グループB第1節 ベルギーvsロシア 2021年6月12日(日本時間28:00キックオフ)…
【UEFA EURO2020 グループB第1節 ベルギーvsロシア 2021年6月12日(日本時間28:00キックオフ)】
近年、タレント軍団として躍進が注目されるベルギーだが、現在はケビン・デ・ブライネが怪我で不在、エデン・アザールが長い不調でベンチスタート、と攻撃の中心選手2人がピッチにいない状態でロシア戦のキックオフを迎えた。
それでもベルギーの前線には核となる存在があった。FWのロメル・ルカクだ。
圧倒的なフィジカルだけでなく、爆発的なスピードと柔らかいテクニックも完備するストライカーは、困ったらそこに向けてボールを蹴ればなんとかしてくれる存在が最前線の中央にいることは、それだけでチームに芯ができる。
DFを背負って足元で受けて収めたりワンタッチではたいたり、自らパスをカットしてセンターラインからペナルティエリアまでドリブルで独走したりと、ゴールだけでなく前半からその存在感は絶大だった。
■ベルギーの真の魅力
ただし、彼の真の魅力は他にある。
それは自チームをコントロールできるスマートな選手であるということだ。デ・ブライネが不在となったこの試合ではその部分が際立っていた。
プレスやパスの方向を指示したり、冷静にフリーの味方にパスを出したりするだけではない。安易に自分を使わせないように自らDFに重なり、パスを出しにくくさせてピッチを広く使うよう促したり、次にどうするべきか味方が逡巡していればそこから動いて一旦パスを引き出したり、と最前線にいるルカクはボールを持たずともチーム全体の攻撃ペースというものを作り上げている。
しかも、そうやってペースを握ってからも、フィニッシャーとして味方に使われるのではない。彼が先に動くことで味方のパスを引き出す。パスが先にあるのではなく、どういう質のパスをどういうタイミングでどこに出すか、というメッセージが込められた走りでボールホルダーの方を使う。この試合でダメ押しとなった3点目の場面もそうだ。
剛、柔、そして賢。そんなルカクがタレント軍団を最前線から統率するベルギーが好発進した。
■ロメル・ルカクという男
最後に、この試合の1点目は相手DFがボールに触ったことでオフサイドではなくなった幸運によるものだったが、ルカクはすぐにテレビカメラに駆け寄った。
この日、先に行われていたデンマークvsフィンランドの試合中、クリスティアン・エリクセンが突然ピッチに倒れ込んだ。試合は中断され、選手たちが壁となり、その場で心臓マッサージが施された。UEFAの発表によると、エリクセンは意識を取り戻し安定していて、病院で検査を受けている。
ルカクとエリクセンはインテルで共にプレーしている。国を代表して戦う中で重要な先制ゴールをものにした彼は、駆け寄ってくる仲間を手で制し、喜びを分かち合う前にメッセージを伝えた。
「Chris!Chris!Stay strong.I love you!」
ロメル・ルカクはそういう漢だ。
■試合結果
ベルギー 3―0 ロシア
■得点
10分 ロメル・ルカク(ベルギー)
34分 トーマス・ムニエ(ベルギー)
88分 ロメル・ルカク(ベルギー)