トヨタ系の車体メーカー、トヨタ車体(愛知県刈谷市)を母体とするラリーチーム「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」が11日、初公開されたばかりの新型「トヨタ・ランドクルーザー」で2023年のダカールラリーに市販車部門から参…

 トヨタ系の車体メーカー、トヨタ車体(愛知県刈谷市)を母体とするラリーチーム「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」が11日、初公開されたばかりの新型「トヨタ・ランドクルーザー」で2023年のダカールラリーに市販車部門から参戦すると発表した。

初公開された新型トヨタ・ランドクルーザー(トヨタ自動車提供)

・今すぐ読みたい→
F1業界に激震 ホンダがF1からの撤退を決めた理由とは? https://cocokara-next.com/athlete_celeb/honda-withdraw-from-f1/



 新型は「300シリーズ」と呼ばれ、今夏以降に発売される。フルモデルチェンジは200シリーズとなった2007年以来、14年ぶりだ。ただし、来年の大会は300シリーズではなく、従来の200シリーズでの参戦となる。これは市販車部門で出場するにはホモロゲーション(型式認証)を取得する必要があり、規定の生産台数をクリアすることが条件となっているためだ。

 今はRV(レクレーショナルビークル)という言葉が使われる頻度は少なくなったが、1990年代前半はアウトドアブームもあいまってRVは大人気に。ランドクルーザーのほか、派生車種のランドクルーザープラド、三菱パジェロ、日産のサファリやテラノ、いすゞビッグホーンといった車両が各メーカーから続々と生産された。

 RVの人気が爆発したことで活況となったのがダカールラリーといえる。4輪部門では三菱自動車がワークスチームで参戦し、社員ドライバーだった篠塚建次郎、増岡浩と2人の日本人が総合優勝を果たした。その後は競技ルートが従来のサハラ砂漠から南米に移ったことで日本チーム、日本人の出場は極端に減った。

 そんななかでもトヨタ自動車は中東のサウジアラビア開催となった2020年大会からワークスチーム「トヨタガズーレーシング」を送り込んでいる。もともとは12年にトヨタ・ハイラックスで参戦した南アフリカのプライベートチームがルーツで、19年にナッサー・アルアティア(カタール)が同チームでトヨタ車に初優勝をもたらし、翌年からワークスチームに格上げとなった。

TLCにとっては来年の大会が200シリーズでの最後の出場となる(トヨタ車体提供)


 それよりも古い歴史を持つのがTLCだ。前身のトヨタ・チームアラコ時代から参戦を続けており、チームとしてのデビュー戦は1995年。300シリーズから数えて3世代前の「ランドクルーザー80」で出場し、その後は100、200とフルモデルチェンジに合わせて車両もスイッチ。来年は市販車部門9連覇がかかっている。

 トヨタ車体はランドクルーザーの生産を請け負っている会社としても知られる。改造範囲の狭い市販車部門への出場にこだわる理由もダカールラリーを「走る実験室」と捉えているからだ。実戦を通じて車両の耐久性や悪路走破性を向上させ、量産車へとフィードバックさせている。だから、初公開された300シリーズはダカールラリーを闘い続けた血と汗の結晶といえる。

 TLCは300シリーズでの出場について「ダカールラリーに挑戦し続ける中で蓄積した経験やノウハウを、ユーザーの皆さまにお届けするベース車両そのものにフィードバックされたクルマです。過酷なラリーの現場で求められる走破性を備えた新型ランドクルーザーでTLCは市販車部門での優勝はもちろん、総合上位への進出も視野に入れ、ラリー仕様車両の開発を進めて参ります」と意欲を燃やす。

 ちなみに総合順位でのチーム過去最上位は2002年の9位。当時は改造範囲の広い順にプロトタイプ、スーパープロダクション(市販車改造部門)、プロダクション(市販車無改造部門)の3カテゴリーがあり、最も改造範囲の狭い市販車無改造部門からの参戦だったが、過酷なルートが設定された影響で、上位車両にマシントラブルやリタイアなどが相次ぎ、トップ10入りを射止めた。車両の堅牢性が証明された大会にもなった。

 ランドクルーザーは1979年の第1回大会からエントリーしている数少ない名車でもあり、今後もいぶし銀の走りで大会を彩り続ける。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

・今すぐ読みたい→
「このマシンはくそ信じられない!」F1・角田裕毅が不適切発言を謝罪
次のステップに脱皮したいホンダ 4度目のF1撤退を決めた「真の理由」とは
「今度こそ国民栄誉賞ものの快挙ではないか」との声も 佐藤琢磨が3年ぶり2度目のインディ500優勝