ダービージョッキー大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」 東京競馬場でのGI5週連続開催が終了し、今週からは夏の北海道開催がス…

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 東京競馬場でのGI5週連続開催が終了し、今週からは夏の北海道開催がスタートします。今年は札幌、函館、札幌という変則日程ですが、北海道シリーズと言えば、古くは札幌スタートが通例だった時期もあったんですよ。

 さて、北海道シリーズというのは競馬サークル内にとって、とても重要なもの。その理由はいくつかありますが、芝コースが野芝よりタフな洋芝であることや、滞在競馬、つまり競走馬の厩舎が競馬場に隣接していることなどが挙げられます。

 例えば、滞在競馬であれば、輸送によるダメージやレースを使うことへの負担が少ないことから、この時期に集中してレースを走らせることができます。その結果、北海道シリーズで力をつけて、秋の中央開催で躍進を遂げる馬たちが毎年のように見受けられます。

 私は現役時代、北海道シリーズにはあまり縁がありませんでした。それでも1995年に一度だけ、拠点を置いたことがあります。

 当時は今と違って、札幌で走る馬は札幌でしか調教しなかったり、在厩できる頭数も限られているため、ライバルとなる馬の追い切りや運動する姿を間近で見ることができたりしました。おかげで、自らが臨むレースのシミュレーションがしやすかった印象があります。

 もちろん、本州のトレセンや競馬場にいる時と変わらないことも多いのですが、札幌や函館の北海道シリーズはどこか独自性があって、ガラパゴス的な雰囲気があるのは確かです。

 とはいえ、そんな北海道シリーズも、昨今は以前とは少々趣の異なるものになってきたように思います。洋芝であっても、昔と比べると高速決着が目立つようになりました。

 今回取り上げるGIII函館スプリントS(6月13日/札幌・芝1200m)も、やや重だった2年前を除くと、近年は1分6~7秒台という高速決着が続いています。

 だからといって、ここで速いタイムに対応できた馬がそれ以降の大舞台、GIなどで結果を残しているかといえば、一概にそうとは言えません。やはりそこは、洋芝をこなせるパワーも必要な北海道特有のレース、ということなのでしょう。

 今年は札幌開催となりますが、例年どおりの高速決着が予想されます。開幕週の馬場であることを考えれば、先行力があることが重要視されそうです。

 注目は、カレンモエ(牝5歳)です。昨秋にオープン入りし、重賞で2戦連続2着。ともに勝ち馬と差のないレースを見せて、いつ重賞タイトルを手にしてもおかしくない存在です。

 5歳ながら、いまだキャリアは10戦。体質の弱さもあってか、大事に使われてきたようです。その分、まだまだ伸び盛りと言えます。

 過去のレースを見る限り、どんなシチュエーションでも先行できて、乗り手からすると、非常に計算の立てやすいタイプです。高速馬場が想定されることを思えば、その先行力はより武器になるでしょう。

 父ロードカナロア、母カレンチャンと、スプリント界を代表する名馬を両親に持つ良血。いずれも厩舎ゆかりの血統で、どちらもこのレースでの好走実績があります。カレンモエも勝ち負けを演じる可能性は高いと思います。

 鞍上の鮫島克駿騎手も、今年は平場だけでなく、重賞での好走が目立っています。ここを勝って、自らもさらに弾みをつけたいと思っているのではないでしょうか。

 前走のGIIIオーシャンS(3月6日/中山・芝1200m)で、このカレンモエを下して重賞3勝目を挙げたコントラチェック(牝5歳)も無視できません。

 1200m戦に転じて3戦目で、ようやくしっかりした走りができましたが、それ以前の2戦も、さばき損ねがあったり、内が伸びない馬場で内枠だったりと、不運が重なってのもの。前向きな性格からして、もともとスプリント戦が合っていたのでしょう。

 レース間隔が多少開いていますが、この春のGIでも活躍が目立ったノーザンファームの生産馬。しかも、名門・藤沢和雄厩舎の管理馬ですから、心配することはないと思います。



函館スプリントSでの一発が期待されるミッキーブリランテ

 そして、今回の「ヒモ穴馬」にはミッキーブリランテを取り上げたいと思います。

 このところ短い距離のレースに矛先を向けて、強い相手にも奮闘。レース内容からも、適性の高さが感じられます。馬の成長もあるのでしょうが、距離短縮で新味を見せています。

 今回のメンバーを見ると、スプリント重賞の常連といった実績馬は不在。そのメンバーレベルと、ミッキーブリランテの上昇度を鑑みれば、上位争いも十分に可能と踏んでいます。

 少々ズルい気性のようですが、手綱をとる和田竜二騎手にはこの手のタイプが合っています。わざわざ北海道までこの馬に乗りに行くことからも、同馬の素質を買っていることがうかがえます。一発あっても不思議ではありません。