乃木坂46・佐藤楓が語る駅伝インタビュー前編乃木坂46の3期生メンバーで、「でんちゃん」の愛称で親しまれている佐藤楓さん。青山学院大の前主将・神林勇太さんのいとこで、大の駅伝好きとして知られている。インタビュー前編では、神林さんの現役時代や…
乃木坂46・佐藤楓が語る駅伝
インタビュー前編
乃木坂46の3期生メンバーで、「でんちゃん」の愛称で親しまれている佐藤楓さん。青山学院大の前主将・神林勇太さんのいとこで、大の駅伝好きとして知られている。インタビュー前編では、神林さんの現役時代や学生三大駅伝で印象に残った場面、今季の注目選手などについて聞いた。
インタビューで駅伝愛を語った佐藤楓さん
ーー駅伝好きになったのは、やはり昨季青学大の主将として活躍した、いとこの神林勇太さんの影響が大きかったのですか?
佐藤楓(以下、佐藤) そうですね。初めて陸上の大会を見に行ったのは1歳年下の神林選手が中学3年生(2013年)の時です。私の地元の名古屋で全中(全日本中学校選手権大会)が開かれ、家族で応援に行きました。当時は正直、あまりピンと来なかったんですけど......。
ーーその全中、神林さんは3000mで2位。優勝したのは現在、住友電工に所属する遠藤日向選手でした。
佐藤 当時から本人には、遠藤選手に絶対勝てないと聞いていました。今思うと、すごいメンバーがそろっていましたね。
ーー神林さんは中学卒業後、駅伝の名門・九州学院高に進学して、インターハイ(5000m5位)や全国高校駅伝でも活躍しました。
佐藤 (神林さんの地元の)神奈川から熊本にひとりで行って大丈夫かな、と心配していたんです。高校入学後に会った時は丸刈り頭だったので笑っちゃいました。その頃は、都大路(全国高校駅伝)を見るほど駅伝にハマってもいなかったですし。
いとこの神林勇太さんとはよく連絡を取り合う仲という
ーー駅伝観戦にのめり込んだきっかけは何だったんですか?
佐藤 箱根駅伝ですね。もともと家族や親戚は毎年、テレビ観戦していたんです。私だけがお昼過ぎに起きてきて、「まだ見てるの?」「チャンネル替えて!」という気持ちだったんです(笑)。でも、「山の神」と呼ばれることになる青学大・神野大地選手(現・セルソース)の走りをたまたま目撃して、「なんだこの人は??」と本当に驚きました。その後、神林選手が青学大に決まったこともあって、一気に学生駅伝への興味が湧きました。
ーー第91回大会(2015年)の神野選手の走りは本当にすごかったですね。46秒差あった駒沢大をかわしてトップに立つと、2位の明治大に4分59秒の大差をつけましたから。それでは、学生三大駅伝で思い出の名勝負を振り返っていただきましょう。
佐藤 出雲駅伝はおととし(2019年)のアンカー対決がしびれました。国学院大・土方英和選手(現・ホンダ)が駒大・中村大聖選手(現・ヤクルト)を逆転して、初優勝に輝いた大会です。5区での逆転はそれ以前にも見たことがありましたが、最終6区で残り700mの逆転劇だったのですごく印象に残っています。
ーーふたりは埼玉栄高時代のチームメイトで、土方選手は全国高校駅伝の補欠でしたからドラマがありますね。全日本大学駅伝はいかがですか?
佐藤 神野選手が「山の神」になった後の2015年大会ですね。神野選手は最終8区で出場しましたが、27秒前にスタートした東洋大に追いつくことができず、両手を合わせて「ゴメンね」というポーズでゴールしたんです。私も悔しくって。全日本は東洋大・相澤晃選手(現・旭化成)が2019年大会の3区で見せたゴボウ抜きもすごかったです。11位から一気にトップを奪いました。途中、酒井俊幸監督の「休むな、休むな」という掛け声をよく覚えていて、休んではいないでしょう、と思っちゃいました(笑)。箱根駅伝はやっぱりいとこの神林選手が9区を走った時です。
ーー第96回大会(2020年)ですね。神林選手は9区を任され、区間歴代3位の快走で区間賞を獲得。青学大の総合優勝に大きく貢献しました。
佐藤 その時に箱根駅伝を初めて現地で観戦したんです。往路も行ったんですが、選手の息遣いまで聞こえてきて、いっそう応援の気持ちが高まりました。特定のチームではなく、選手全員が無事に走り切ってほしいなという気持ちでした。
神林選手の両親や恩師の方など20人くらいで一緒に応援していて、青学大の応援グッズを渡されました。昔はよく一緒に遊んで、くだらないことでケンカもしましたが、夢だった箱根路をトップで堂々と走って、しかも区間賞。両親が一番うれしかったはずですが、私も同じような感覚で感動させられました。私はひとりっ子なので、もはやきょうだいのような間柄ですね。
ーーかわいい弟のような存在なんですね。しかし、神林さんは昨季、主将としてチームを引っ張ってきましたが、12月28日に右仙骨の疲労骨折が判明。最後の箱根駅伝は出場がかないませんでした。
佐藤 当然本人が一番悔しいと思いますが、私もめちゃくちゃショックでした。主将として、先が見えないコロナ禍で1年間頑張ってきて、さらに箱根駅伝で競技を終えるというタイミングでしたから。
ーーちなみに、神林さんから青学大の裏話などは聞いていませんか?
佐藤 昨年走った時よりも今年のほうがモテた、と言っていました(笑)。箱根駅伝後は連絡を取り合いましたし、実家にも遊びに行きましたよ。
ーー神林さんは乃木坂46のライブやイベントに来られたことはあるんですか?
佐藤 学生時代は練習も厳しかったですし、寮生活でしたから一度も来てもらえませんでした。競技を引退して就職したので、これからは来てほしいなと思って、先日3期生ライブに招待したんですけど、(コロナ禍で)無観客開催になってしまったんです......。
ーーそれは残念でしたね。神林さんは引退しましたが、新シーズンが始まっています。今季の注目選手を教えてください。
佐藤 やっぱり順天堂大・三浦龍司選手ですね。まだ2年生ですが、どのレースでも外さない。3000m障害もどんどん記録を更新していて、本当に成長著しい。トラックだけでなく駅伝でも力を発揮しますし、精神的にも強いんだろうなと思います。
ーー三浦選手は男子3000m障害で30年ぶりの高校記録を樹立すると、昨季は37年ぶりのU20日本記録&41年ぶりの学生記録を打ち立てました。今季は18年ぶりの日本記録となる8分17秒46をマークして、東京五輪参加標準記録も突破しています。トラックはもちろん駅伝でも楽しみですね。チームとしてはどこに注目していますか?
佐藤 戦力が充実しているのは昨季、駅伝2冠を達成した駒大だと思います。最近、ばんばん記録が出ていますし、特に田澤廉選手と鈴木芽吹選手は強い。日本選手権1万mで2位と3位に入るぐらいですから。
個人的には、青学大の3年生に注目しています。関東インカレの男子2部ハーフマラソンでは西久保遼選手が優勝しましたし、同1万m6位の近藤幸太郎選手、箱根駅伝で2区を務めた中村唯翔選手など「3年生の代はすごく強い」と勇太から聞いていたので、これからどんどん出てくるのではないでしょうか。
ーー他にも推しのチームはありますか?
佐藤 東洋大です。総合力は他の上位校よりやや劣るのかなと思うんですけど、今年の箱根駅伝も前評判が高くなかったなかで3位を確保しました。宮下隼人選手は最後になるので、「山の神」を目指して頑張ってほしいですね。強いだけではなく、真面目さがにじみ出ていて、レース前と走った後にコースに向かって、すごくきれいなお辞儀をするのが素敵なんです。個人的に結構、推しています。他にも楽しみなチームがたくさんあるので、ぜひチェックしてほしいと思います。
(後編へつづく)
【profile】
佐藤 楓 さとう・かえで
1998年3月23日、愛知県生まれ。2016年9月に、3期生として乃木坂46に加入。2018年、22ndシングル「帰り道は遠回りしたくなる」で、選抜メンバーに初選出。青山学院大陸上競技部の前主将・神林勇太さんのいとこであるともに、「山の神」神野大地選手の箱根駅伝での活躍を見て駅伝にのめり込んだ。中学・高校はバドミントン部に所属していた。