アメリカ・テネシー州メンフィスで開催されている「メンフィス・オープン」(ATP250/2月13~19日/賞金総額64万2750ドル/室内ハードコート)のシングルス準決勝で、ライアン・ハリソン(アメリカ)が90分の戦いの末にドナルド・ヤン…

 アメリカ・テネシー州メンフィスで開催されている「メンフィス・オープン」(ATP250/2月13~19日/賞金総額64万2750ドル/室内ハードコート)のシングルス準決勝で、ライアン・ハリソン(アメリカ)が90分の戦いの末にドナルド・ヤング(アメリカ)を6-4 6-4で倒し、8度目の挑戦で、ついにキャリア初のツアー決勝に進出した。  「ここに至るまでに(2010年の初出場から)こんなにかかるとは予想していなかった」とハリソンは言った。「そうは言っても、僕のキャリアのスタートが早かったのはいいことなのだろう。今、すべてがいい方向に動き始めたと感じているし、僕は32歳や33歳ってわけじゃない、まだ24歳なんだ。だから上達の余地は大いにあると思う。僕はまだ、自分が持てる能力を最大限に出してプレーしているとは思わない」。  ハリソンは、ヤングにブレークを許した第2セットの第8ゲームで4つのマッチポイントをものにし損ねたが、最終的に次のサービスをキープして勝利を決めた。ハリソンは5度目のマッチポイントで、5度目のサービスエースを決めて試合を締めくくった。最後の抵抗に関し、ハリソンはヤングを称えた。ここにきてそのプレーレベルを上げたヤングは、まだ手にしていない初のツアー・タイトルを探求しながら、メンフィスをあとにすることになる。  「4つのマッチポイントを決め損ねたが、まずいプレーでポイントを落としたわけではなかったと思う」とハリソンは言った。  ハリソンは決勝で24歳のニコラス・バシラシビリ(グルジア)と対戦する。バシラシビリは、ミカエル・ククシュキン(カザフスタン)を7-6(5) 6-1で倒し、決勝に進んだ。彼もまた、まだツアー優勝の経験がないため、いずれにせよ誰かが初のツアー・タイトルを手にメンフィスをあとにすることになる。

 優勝者にとってメンフィスが初タイトルとなるのは、2004年のヨアキム・ヨハンソン(スウェーデン)以来のことである。また、先月のシドニーで、ジル・ミュラー(ルクセンブルク)が初タイトルを獲得している。  今大会は41年の歴史の中でシード選手がひとりもベスト4に進出しなかった初めてのケースであり、ツアー全体を見れば2013年のニース以来のことだ。

 2010年にサンクトペテルブルクのタイトルを獲得しているククシュキンは、準決勝に進んだ4人の中で唯一、ツアー優勝の経験をもつ選手だったが、彼はバシラシビリを乗り越えることができなかった。  ヤングは第2シードのジョン・イズナー(アメリカ)を倒し、メンフィスではここ3年で2度目の準決勝進出を決めていたが、決勝には届かず、2015年のデルレイビーチが最後のものとなった。ハリソンは2015年のアカプルコ以来、準決勝さえプレーしていなかった。  ハリソンは第1セットの第5ゲームでヤングのサービスをブレークし、それから自分のサービスをキープしてセットを取った。

 第2セットでも第1ゲームでブレークを果たし、一時は5-1とリードしたハリソン。そして5-2からの第8ゲームでマッチポイントを手にしたが、そこでヤングがブレークバックした。次のヤングのサービスゲームではハリソンが0-40とし、3つのマッチポイントを握ったが、ヤングはそこでも奮起して、結局サービスをキープした。  だが、2011年のアンディ・ロディック以来のアメリカ人優勝者となり得るチャンスをつかんだのがハリソンだった。そこから試合を決めるまでヤングに1ポイントも許さなかった。  ハリソンはこの勝利により、2012年7月に記録した世界ランク43位以来の、トップ50入りを果たすことになる。

 「“超現実的”な感覚がする」とハリソンは言った。  一方、ツアー・タイトルを獲得した初のグルジア人となることを目指している世界67位のバシラシビリは、2016年キッツビューエル以来の決勝に進出するのに、1時間46分を必要とした。彼はククシュキンのサービスを攻撃し、14のブレークポイントを握ったその試合で、最終的に相手を消耗させて決勝行きの切符をつかんだのだ。バシラシビリは、ブレークポイントを逃す中でも集中力を失わなかったことに、自分でも驚いている、と言った。  「多くのブレークポイント手にしたが、ものにすることができなかった」とバシラシビリは言った。「ただ僕は、自分の瞬間がくるのを待っていた。セットポイントでは非常にいいプレーができたと思うよ」。  ククシュキンはバシラシビリのサービスをブレークし、2-0とリードしたが、すぐにまたブレークバックを許してしまった。バシラシビリは、ククシュキンが9つのブレークポイントをしのいでサービスをキープしたあと、タイブレークを経て第1セットを取った。  第2セットでは、バシラシビリが先にククシュキンのサービスをブレークして2-0とリードし、それから2度目のブレークを果たして5-1と差を広げると、最後は自分のサービスをきっちりキープして試合に終止符を打った。

 今大会は、2013年から2016年まで日本の錦織圭(日清食品)が4連覇を果たしている。彼は今年、クレーコートの「アルゼンチン・オープン」に出場し、決勝に勝ち進んでいる。 (C)AP(テニスマガジン)