©Getty Images 6月に入りシーズンも中盤戦を迎える中、異例となった昨年の12月開催から半年あまりで、再び女子ゴルフの頂点を決める最高峰のメジャー「全米女子オープン」が間もなく開幕を迎える。日本勢からはエース・畑岡奈紗、メジャー覇…

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6月に入りシーズンも中盤戦を迎える中、異例となった昨年の12月開催から半年あまりで、再び女子ゴルフの頂点を決める最高峰のメジャー「全米女子オープン」が間もなく開幕を迎える。日本勢からはエース・畑岡奈紗、メジャー覇者・渋野日向子らをはじめ総勢11選手が出場を予定。東京五輪の出場権争いも佳境となるなか、注目必至となる今大会の模様を、WOWOWでは連日生中継&ライブ配信でお届けする。この世紀の一戦を前に、WOWOW LPGA女子ゴルフツアー アンバサダーのカリー・ウェブにリモートインタビューを実施。「全米女子オープン」での連覇をはじめ、LPGA女子ゴルフツアー41勝、メジャー7勝という偉大な記録を持つレジェンドならではの視点から、今大会の見どころや注目選手について、たっぷりと語ってもらった。

Q.今シーズンのアメリカLPGAツアーについての印象を聞かせてください。
今年は元世界ランキング1位のリディア・コやアリヤ・ジュタヌガーンが久々に優勝を果たすなど、とてもエキサイティングなシーズンになっていると思います。2人ともしばらく勝てていませんでしたが、才能のある選手がまた上位争いに加わり、優勝する姿を見られたことはうれしかったですね。それと、好調が続いているコルダ姉妹は、このままいけば姉妹でオリンピックに出場することになりますが、その姿を想像するだけでもワクワクします。また、その一方では2度目の金メダルを狙うパク・インビもやはり存在感があり、ますます目が離せません。まだまだシーズンは続きますが、今後の展開も楽しみにしています。

Q.全米女子オープンとは選手にとってどのような大会ですか?
最古の女子メジャートーナメント、というだけでも特別な大会と言えます。優勝トロフィーにはLPGAの創設者の名前も刻まれており、全米女子オープンのチャンピオンになることは女子ゴルフの頂点に立つことと同意だと思います。

Q.カリーさんが優勝したときのことについてお聞かせください。
2000年と2001年での全米女子オープン連覇はとても思い出深い出来事でした。私のゴルフ人生の中でベストな時期でしたし、全米女子オープンのタイトルがどうしても欲しかったので、自分にプレッシャーをかけて臨みました。2000年は5打差、2001年では8打差で優勝しましたが、全米女子オープンはコースも非常に難しく、大差をつけていても最後まで何が起きるか分からないので、最後まで優勝できるとは思いませんでした。

「全米女子オープン」2001年大会優勝時/©Getty Images

Q.コースセッティングは他の大会と比較してどうですか?
全米女子オープンはセットアップも通常より挑戦的で、失敗しても他のホールでバーディをとれば良い、などと簡単に思えるものではありません。前のホールでの失敗を後悔したり、スコアだけを意識したりするのではなく、いま目の前にあるショットに集中することが重要で、忍耐強く自分の感情をコントロールしなくてはなりません。これは口では簡単に言えることですが、実践するのは非常に難しいことです。

Q.開催コースのオリンピック・クラブについて教えてください。
過去に男子の全米オープンが開催されたこともある素晴らしいコースです。今年の全米女子オープンに出場する数人の選手とも話したのですが、この10年で一番タフな大会になるのではないかと思います。とても難しいコースで、アップダウンがあり、フェアウェイが横に傾斜しているホールが多くあります。さらにグリーンにも傾斜があり、ラフも深いでしょう。フェアウェイキープするためにはその傾斜を計算してティ―ショットを打たなくてはなりません。アイアンショットについても、例えばつま先上がりのライだと左に引っ掛ける可能性があるので、ティーからグリーンまで全てのショットにおいて集中力を維持しなくてはなりません。また、天候にもよりますが、湿気で空気が重たい場合は飛距離が出ないことがあるので、練習ラウンドでしっかり調整し、対応することが必要になってきます。

Q.具体的にはどのようなプレーが求められますか?
大事なのはドライバーショットを思った通りに左右に打ち分けられ、フェアウェイキープをすること。グリーンを外すこともあるでしょうからショートゲームの精度も求められます。また一方では、そういった飛距離や技術以上に、アップダウンへの対応、湿気による飛距離の変化を考慮するなど、クリエイティブにプレーする必要があります。普段あまり練習しないショットも打たなくてはなりません。自分の可能性を信じ、ゲームプランを立てられる選手が優勝争いに加わることになるでしょう。

Q.現時点で敢えて挙げるなら、どの選手が優位に立ちそうですか?
リディア・コは今季調子が良いです。優勝したロッテ選手権では、クリエイティブなショットを打っていましたし、ここ最近はさらにショット力が向上しています。ショートゲームやパターも上手な選手なので、優勝のチャンスはあると思います。コルダ姉妹も今年はとても安定したプレーをしていて、ジェシカかネリーのどちらか、もしくは両者が常に上位に入っているので、彼女たちにもチャンスがあると思います。ただ、母国のナショナルオープンなので、特にアメリカ人にとっては多くのプレッシャーがかかります。そのプレッシャーにどう打ち勝つかがひとつのキーポイントになるでしょう。また、コ・ジンヨンやパク・インビといった選手も全米女子オープンという名前に臆さない強いメンタルを持っています。どんな時も冷静で、一打一打を大切にします。とくにパク・インビはどんなコースでも優勝する可能性を持っている選手です。

リディア・コ/©Getty Images

Q.日本勢は11名が参加します。
日本勢が多く出場することは楽しみですね。日本のゴルフのレベルも上がっている証拠です。若手の選手にとっては素晴らしい経験になるでしょう。彼女たちにとっては、今まででプレーした一番タフなコースになるかも知れません。自分自身のことやゴルフについて、さらに学ぶこともあるでしょう。コースが自分の感覚に合うと感じる選手や、若さ故に勢いのままにプレーし、結果的にうまくいくこともあるかも知れません。

Q.畑岡選手、渋野選手についてはいかがでしょうか?
渋野選手はピュアシルク選手権で良いゴルフをしました。特に第3日のプレー(7アンダーの64)はとても良かったですね。畑岡選手は今シーズン自分の思い通りのプレーはまだできていないかも知れませんが、フィル・ミケルソンの例もあります。彼は調子が良かったわけではなかったのに、1週間で全てを変え、メジャーで優勝しました。畑岡選手も渋野選手も高い才能がありますし、全米女子オープンでの爆発に期待したいです。

渋野日向子/©Getty Images
畑岡奈紗/©Getty Images

Q.最後に、全米女子オープンを楽しむコツを教えてください。
普段ほど多くのバーディを見られないかも知れないので、心の準備をしておいた方が良いです。このコースで開催された直近3回の男子の全米オープンのスコアを見直したのですが、一番良かった優勝スコアは3アンダーでした。また、一番最近では2012年にウェブ・シンプソンの1オーバーでの優勝でした。今回もセットアップにもよりますが、2桁アンダーでの優勝はないかと思います。難しいコースコンディションで選手たちがどのように戦うのか、きっと目が離せない大会となるでしょう!

◆◆◆◆◆【WOWOW LPGA 放送スケジュール】◆◆◆◆◆
「畑岡・渋野 出場!メジャー 全米女子オープン」
◆放送日時
第1日 6/4(金)午前6:00[WOWOWプライム]※無料放送・配信(第1日のみ)
第2日 6/5(土)午前6:00[WOWOWプライム]
第3日 6/5(土)深夜3:00[WOWOWプライム]
最終日 6/6(日)深夜2:00[WOWOWプライム]
※連日生中継&WOWOWオンデマンドで同時配信!

◆開催コース
アメリカ・カリフォルニア州サンフランスコ オリンピック・クラブ

◆出場注目選手
畑岡奈紗、渋野日向子、上原彩子、笹生優花、梶谷翼、勝みなみ、川満陽香理、仲西菜摘、三宅百佳、小暮千広、長野未祈、コ・ジンヨン、パク・インビ、キム・セヨン、ネリー・コルダ、ジェシカ・コルダ、ブルック・ヘンダーソン、レクシー・トンプソン、リディア・コ