未経験の映像配信、プロ野球の画角をテレビで見て勉強 グラウンドで熱戦が繰り広げられる中、スタンドでも奮闘が続いた春だった…

未経験の映像配信、プロ野球の画角をテレビで見て勉強

 グラウンドで熱戦が繰り広げられる中、スタンドでも奮闘が続いた春だった。桜美林大の優勝で幕を下ろした首都大学野球1部の春季リーグ戦。初の試みとして、全て学生たちの手で外部へのライブ配信「首都劇場LIVE」を展開した。

 素早い映像の切り替えは、さながらプロ野球中継を見ているかのよう。今年から、スポーツの記事や動画を配信する「スポーツブル」と連携。1部の春季リーグ戦を全てライブ配信した。選手の特徴を掴んだ解説に加え、4台の定点カメラが連動。インカムで瞬時に判断し、指図を送っていたのは、今リーグ戦の映像配信班代表を務めた日体大・大塚輝さん(4年)だ。

「コロナ禍で観に来られない人に、首都大学野球の魅力を伝えたい」。分析班として、日体大野球部に入部し、映像撮影を担当。昨夏に日体大の古城隆利監督から「ライブ配信に取り組まないか」という提案を受けた。

 初めて映像配信を実施した昨秋の「フューチャーズリーグ」では、カメラ1台で運用。分析班が片手間でやるような体制だった。「本格的にやることになったのは、スポーツブルと連携することが決まった春季リーグ戦から。最初は苦戦だらけでした」と振り返る。

 ライブ配信はもちろん未経験。機材を揃えるところから始まり、オープン戦で何度もテストを行った。機材の使い方やカメラ切り替えを繰り返し練習。さらにプロ野球中継を見ながら、良い画角を学んだ。「プロ野球を画角に注目しながら見る人いないですよね」と笑いながら話す。

課題は後継者「今後続かないのは僕としても辛い」

 さまざまな会場で行われるのも、首都大学野球の魅力のひとつ。ただ、映像配信班にとっては更なる負担を強いられた。

「場所によって特徴が違うので、下見と準備が大変でした。どこから電源を引くとか、見え方とか。各球場ごとに確認しなければならないので」

 試合中に問題が発生したケースも。三塁カメラ席がベンチと近い等々力球場。本塁を映していると、ベンチから出た選手と被ってしまう事もあったため、バックネット裏のカメラに瞬時に切り替えるなど臨機応変に対応した。

 現在、映像配信班は日体大と筑波大で担当。学生コーチに手伝ってもらいながら運営をしているが、正式メンバーは2人のみ。まずは継続させる事を最優先に考える。

「後継者を作ることが1番の課題。今後続かないのは僕としても辛いです」。そのため、後輩の指導や機材の使い方、球場ごとのノウハウなども資料化。自分がいなくてもできるような環境づくりも欠かさない。分析班のチーフを兼任しているため、平日は毎日のように学校が閉まる時間まで作業を続けた。

「学校関係者や保護者から『本格的で驚いた』とか『見れて良かった』とか言ってもらえたのが嬉しいですね。この配信を見てファンになる人が出て来れば、頑張っている選手らも報われると思います」

 さまざまなドラマが生まれた今春の「首都劇場」。演者はもちろん選手だが、その裏には“劇場支配人”の活躍があった。新たな伝統を作り、次の世代へと継承していく。(川村虎大 / Kodai Kawamura)