【明治安田J1リーグ 第17節 浦和レッズvs名古屋グランパス 2021年5月30日 18:04キックオフ】 互いにやり…
【明治安田J1リーグ 第17節 浦和レッズvs名古屋グランパス 2021年5月30日 18:04キックオフ】
互いにやりたいことをやりきれない展開が続き、そのまま妥当とも感じられるスコアレスドローに終わった試合で目を引いたのは柴戸海のプレーだった。
この試合、阿部勇樹が不在だった浦和は4-1-4-1のアンカーに柴戸を配した。
試合が始まると、浦和はパスを回して隙を窺うものの、名古屋の守備組織に綻びを見つけられないまま怖さのない形で様子見をしているうちにボールを失ってしまうという展開に陥ってしまった。柴戸はそのネガティブトランジションの場面で名古屋の米本拓司や稲垣祥ら中盤の実力者と堂々と渡り合って展開を遅らせるだけでなく、中盤のフィルターとして名古屋の攻撃方向を限定させて試合を膠着状態に持ち込んだ。
ただし、このような守備の部分での成長は以前から見せていたものだ。
■徳島の戦術も反映されていた
この試合で彼が目立ったのは、ビルドアップの際にチャレンジする姿勢によるものだ。
柴戸はボールを受けると前線からプレスをかけてくる山崎凌吾や柿谷曜一朗、そして目の前に立ちはだかる稲垣に対して逃げずにチャレンジすることを試みた。強引に進もうとすることもあれば、フェイントやターンを交えてかわそうとすることもあり、まず自分で1人剥がしてから展開、というプレーを意図的に行おうとしていた。
そのプレーは、リカルド・ロドリゲス監督が率いていた徳島の特徴の1つだった。サイドでの1対1の場面だけでなく、岩尾憲や小西雄大が相手フォワードの間で受けて、すぐにはたくのではなくターンをして展開する。それがキープレーとなって徳島は強さを発揮していた。
もちろん「監督は成長し続けなければならない」と口にするロドリゲス監督が徳島時代と全く同じことをするわけではないが、このプレーができる選手がいるかどうかは戦い方のペースを作っていく根幹部分であり、その存在の有無が調子を左右することになるのは変わっていなさそうだ。
ボールの出しどころが見つからずに削られてしまうことが多い点は、チーム全体の改善が必要な部分であるし、それとは別に持ちすぎてロストしてしまったり、せっかくチャレンジしたにもかかわらずメリットがないパスに落ち着いてしまったりする部分は柴戸自身の課題でもあるが、そういうプレーにリスクを冒して意図的かつ積極的に取り組もうとしている姿勢はその成熟・成長に欠かさない大切なものであり、それを加速させるものであることは間違いない。
■浦和の変革が楽しみ
阿部に代わってキャプテンマークを巻いた槙野智章は「若い選手たちが、難しくなった時間帯で自ら主張できるようになったのは進歩かな」「ここ最近は、若い選手が自ら主張してチームを良くしようという姿勢が見られるのは変わったところ」と、それこそが大事なことだとばかりに試合を振り返る中で言葉を重ねた。
阿部の近くで学んできた守備とチームを統率しようという姿勢を出すだけでなく、ロドリゲス監督のサッカーの心臓になり得るビルドアップの部分にも果敢にチャレンジする姿勢を見せている柴戸はその筆頭だ。
ロドリゲス監督は今後について「2巡目に入って相手も対策をしてくるが、それを打ち破って進めていければと思う」と語った。
少なくとも、進化しようという意欲を強く見せるだけでなく、実際に試合の中で行動が伴っている柴戸自身はそれを打ち破るだろう。そして、新たな浦和の絶対的な存在へと変貌を遂げるに違いない。
■試合結果
浦和レッズ 0-0 名古屋グランパス