首位川崎フロンターレは鹿島アントラーズに競り勝ち、開幕から20試合無敗のJ1新記録を打ち立てた。しかし、一時期のような…
首位川崎フロンターレは鹿島アントラーズに競り勝ち、開幕から20試合無敗のJ1新記録を打ち立てた。しかし、一時期のような大量得点を奪っての圧勝は見られなくなって久しい。気になるのは、代表選手たちの過密日程と疲労だ。三笘薫のドリブルの切れは鈍っていないか、田中碧のボール奪取の回数は減っていないか……。東京オリンピックが終わった後、フロンターレの野望「J1とACLの同時制覇」への視界は良好なままなのだろうか。
■代表招集8人衆が先発した好カード
東京オリンピックを目指すU-24日本代表は6月に入ると初めてオーバーエイジを加えての強化試合を行う。オーバーエイジを含めて招集されたのは27名。U-24世代にとっては24名のうちオリンピック本大会登録メンバーとして生き残れるのはわずか15人という、過酷な最終選考試合となる。
そして、そのUー24代表に3人の選手を送り込むチームが2つある。1つがJ1リーグで首位を走る川崎フロンターレで、三笘薫、旗手怜央、田中碧の3人のMFが招集されている(旗手はDF登録)。そして、もう一つが鹿島アントラーズ。GKの沖悠哉とDFの町田浩樹、そしてFWの上田綺世の3人が参加する。
その川崎と鹿島が5月30日の第17節で顔を合わせて熱い戦いを繰り広げた。そして、U-24代表候補の6人もそろって先発し、しっかりと活躍してみせた。
ちなみに、川崎からはA代表の方にも谷口彰悟と山根視来の2人が招集されている。1つのクラブから5人が代表に抜かれるというのは、海外組が代表の多数を占めている昨今ではかなり珍しいことだ。
■強い川崎がリバイバル
さて、川崎は4月末から5月初めの名古屋グランパスとの「首位決戦」に連勝した後、明らかに調子を落としており、直近の26日に行われた第16節でも湘南ベルマーレに先制を許し、レアンドロ・ダミアンのゴールで追いついたものの1対1の引き分けに終わっていた。「開幕以来19試合無敗」の記録を更新し続けてはいるのだが、一時期のような大量得点を奪って圧勝するような試合からは遠ざかっている。
だが、この日は違った。
対戦相手は監督交代以来復調して順位を6位まで上げてきている鹿島アントラーズだった。やはり「強い相手」となると気持ちの入り方が違うのだろうか……。
川崎は非常にアグレッシブなゲームの入り方をして、いきなり家長昭博が大きなパスを交換しながら左サイドに移動してチャンスを作り、直後にも三笘がドリブルシュートを放った。1分が経過する前に2度のチャンスが生まれたのだ。
その後も、川崎がゲームを支配し続けた。
ワンタッチのパスが軽快なテンポでつながり、しかもパスのスピードが速く、パスのコースが深いので攻撃はきわめて効果的で、鹿島の守備陣はすっかり押し込まれてしまった。さらに、鹿島がボールを奪っても、すぐに高い位置でプレスがかかって、川崎がボールを奪い返すので、鹿島としては攻撃の時間をほとんど作れなかった。
そして、時間の経過とともに攻撃の圧力はさらに高まり、16分には左サイドバック登里享平の大きなクロスをレアンドロ・ダミアンがスルー。上がってきた右サイドバック山根のボレーでの折り返しにレアンドロ・ダミアンが飛び込むというスケールの大きな攻撃があり(シュートは枠をはずれる)、18分にはレアンドロ・ダミアンからのスルーパスに合わせて走り込んだ三笘がシュートするが、これは鹿島GKの沖がタイミングよく飛び出してブロックした。
そして、19分に先制ゴールが生まれる。右サイドで丁寧にパス交換を繰り返して相手のマークをはがした後、最後はジェジエウのパスで抜け出した山根のパスに合わせたレアンドロ・ダミアンがワンタッチでGK沖の股下を抜くシュートを決めたものだ。
その後も前半は川崎が鹿島を圧倒。鹿島のチャンスといえば、39分に町田からの縦パスを荒木遼太郎が折り返して土居聖真がシュートした場面くらいしかなかった。
「久しぶりに強いフロンターレを見ることができた」。それが、前半の印象だった。
■一度は追いついた鹿島だったが
だが、これだけ圧倒的に攻めながら、得点が1点に留まったところは後半に向けての懸念材料だった。しかも、1ゴールに終わったのはたまたまシュートが外れたからではなく、鹿島が押しこまれながらもしっかり守り切ったという印象が強かった。
鹿島も試合前から気持ちが入っていた。
試合前にフィールドプレーヤーたちがピッチに入ってウォーミングアップを始めると、コーチ陣が周囲で大声をかけて気持ちを高め、その後のボール回しやシュート練習などでも最後までインテンシティの高い動きを続けた。相馬直樹監督の方針なのだろうが、首位川崎との試合ということで余計に気合が入っているように見えた。
実際、前半の戦いでは川崎の激しい攻撃の前に押しこまれ続けたものの、鹿島もその強い気持を45分間保ち続け、DF陣が耐えて川崎の得点を1点で抑えることに成功したのだ。
そして、後半に入ると試合の流れは大きく変わった。
53分にレアンドロ・ダミアンのパスで三笘がフリーとなってドリブルでペナルティーエリアまで進入されたが、鹿島DFの町田がカバーして防ぐ。すると、59分には鹿島に決定機が生まれた。右サイドに顔を出した上田のパスから土居がつなぎ、上田が抜け出してGKと1対1の場面を迎えたのだが、これは川崎のGKチョン・ソンリョンがブロック。
こうして、試合は両チームが激しく攻め合う展開となった。
そして、61分には後半からピッチに入った白崎凌兵が縦に入れたパスを荒木がつなぎ、走り込んだ上田がワンタッチのシュートを決めて鹿島が同点に追い付いた。
その後は鹿島がペースを握る時間帯、川崎が押しこむ時間帯が交互に繰り返され、そのまま同点で終了かと思われたが、アディショナルタイムの90+4分に長谷川竜也のクロスを1分前に交代でピッチに入ったばかりの小林悠が決めるという劇的なゴールで川崎が土壇場で勝ち越しを決めたのだった(ただし、VARチェックで判定が確定するのに時間がかかったが……)。
苦しい展開の試合でもゴールをこじ開けて勝点3を獲得するあたりが、「さすが川崎」というところである。