■5月30日/J1第17節 川崎フロンターレ2ー1鹿島アントラーズ(等々力) 川崎フロンターレが劇的な勝利で、鬼木達監督…
■5月30日/J1第17節 川崎フロンターレ2ー1鹿島アントラーズ(等々力)
川崎フロンターレが劇的な勝利で、鬼木達監督の史上最速となるJ1・100勝を達成した。
19分に先制する幸先の良いスタートを切ったものの、61分に失点。一時、鹿島に流れを譲ってしまったものの、後半のアディショナルタイムに小林悠が劇的な勝ち越し弾を決める。VARの介入があったものの、ゴールは認定され、J1新記録となる開幕20戦無敗をホームで達成してみせた。
開幕20戦無敗のJ1記録と史上最速となる鬼木監督のJ1・100勝という、2つの記録がかかった試合で先発したのは“川崎フロント3”だ。レアンドロ・ダミアン、家長昭博、三笘薫の3人が2戦ぶりにそろい踏み。その他のメンバーも、前々節の横浜FC戦と同じ構成となった。対戦相手の鹿島アントラーズは相馬直樹監督に交代して以降、8戦して6勝1分1敗と好調そのもの。川崎はホームで現在のベストメンバーで挑んだのである。
試合前から等々力上空に滞留する黒い雲が雨を降らせ始めた頃、川崎はスコアを動かした。ゴールを決めたのはレアンドロ・ダミアンだ。その前にも三笘薫が決定機を外すなど難しい展開にしかねない中で、ブルーの大エースがチームに勢いを与えた。
アシストは山根視来。右サイドでボールを受けた日本代表の右サイドバックは、一つ前にいた家長昭博のさらに奥に低いスルーパスを通す。それに合わせて裏に抜け出したダミアンは、ワンタッチでゴールネットを揺らしたのだ。
■山根の今季7アシストのうち4つがダミアン!
前節・湘南戦は、川崎にとって苦しんだ試合だった。ボールをつなげず、チャンスもなかなか作れないまま1点のビハインドを背負う。アウェイの地で、敗戦の雰囲気が色濃くにじむ展開だった。
しかし、それを打破したのがダミアンだった。ゴールを背にしてペナルティエリア内で山根のボールを受けると、自ら浮かせてオーバーヘッドキック。元ブラジル代表の個人技を見せつけたスーパーゴールで、試合をイーブンにしてみせた。その“山根・ダミアン”のコンビが、鹿島戦でも炸裂したのだ。
ダミアンはこれが今季12点目となり、得点王争いでトップタイ。ここまで7アシストを記録している山根だが、最も多くアシストしているのがダミアンだ。家長との右サイドでのコンビが印象深いが、その家長には1アシストであるのに対し、ダミアンには4アシスト。
ちなみに、山根が奪った2ゴールのうち福岡戦のものをアシストしたのがダミアン。2人の関係は、王者・川崎の攻撃を活性化させる新・ホットラインなのだ。湘南戦では苦しい展開を打破し、そして鹿島戦では、難敵を相手に早々にリードを奪うという、価値のある攻撃を見せつけたことになる。
前半はその1点を守って折り返した。他にもチャンスはあったが、追加点を奪うことはできなかった。今季の川崎は追加点を決めきれないうちに試合を難しくしてしまうことが続いているが、この試合も同様だった。後半アタマから選手交代をしてきた鹿島が、内容で盛り返していくのだ。
■VARが介入したにもかかわらず……
そして61分、鹿島に同点弾を許してしまう。FW上田綺世に裏に抜けられ、U―24代表合流に勢いを与える得点を与えてしまう。それまでスーパーセーブも見せていたチョン・ソンリョンも止められないゴールはオフサイドに見えたが、VARの介入があったにもかかわらず、認められる不運な失点だった。
ここまで川崎は4分けしているが、連続して勝利を逃したことはない。鬼木監督の節目を前に、足踏みするかと思われたが、史上最速100勝に到達しようとする指揮官は、別の手を用意していたのである。