サッカーファンは人生の多くの時間をスタジアムで過ごす。応援するクラブのホームスタジアムは、ファン、サポーターにとってき…
サッカーファンは人生の多くの時間をスタジアムで過ごす。応援するクラブのホームスタジアムは、ファン、サポーターにとってきわめて重要な場所なのだ。川崎フロンターレのホームの等々力競技場がサッカー専用に改修される。現在はサッカーのピッチを陸上用のトラックが囲んでいるが、改装で観戦スタンドとピッチの距離が近くなり、観客数も増える見込みだ。スタジアムは地域の社交の場でもある。良いスタジアムは人々の暮らしを豊かにする。専用スタジアムは、クラブだけでなく、市民にとっていかに大切であることか——。
■ 1990年代に世界で次々に専用スタジアムが完成
20世紀には陸上競技と球技(フットボール)の併用は当たり前のことだったが、アメリカでは第2次世界大戦前からアメリカン・フットボール専用のスタジアムが建設されるようになった。そして、1990年代になるとヨーロッパ大陸諸国でも陸上競技とサッカーの兼用スタジアムがサッカー専用に改築されたり、専用スタジアムが新設されるようになっていく。
たとえば、1928年のオリンピックのために建設されたアムステルダムのオリンピック・スタジアム(織田幹雄が三段跳びで日本初のオリンピック金メダルを獲得した)は長くアヤックスのホームとして使用されていたが、1996年にサッカー専用のアムステルダム・アレーナが完成するとアヤックスはアレーナを使用するようになり、オリンピック・スタジアムは陸上競技専用に改修された。
ドイツでもかつては陸上競技とサッカー兼用スタジアムが主流だった。1974年に西ドイツでワールドカップが開かれた時にはサッカー専用スタジアムはドルトムントのヴェストファーレンシュタディオン(シグナルイドゥーナ・パルク)だけだった。そのドルトムントのスタジアムももともとは陸上競技場の建設が計画されていたのだが、ドルトムントでの開催が決まったのが遅くなり、工期短縮のためにサッカー専用となったという経緯がある。
■現在ではほとんど専用スタジアム化している
しかし、1990年代から2000年代にかけてブンデスリーガ所属のクラブが使用していたスタジアムが次々とサッカー専用に全面改装され、現在ではほとんどが専用スタジアム化されている。
専用スタジアムが作られて観戦環境が改善されたことによって、ブンデスリーガの観客動員数は急上昇。1990年代の前半までは平均2万人程度(現在のJ1リーグ並み)だったブンデスリーガは、現在では世界で最も観客動員数が多いリーグとして知られている。
その後、フランスでもドイツに続いて専用スタジアム化が進められ、さらに資金不足でサッカー専用化が遅れていたイタリアでも2011年にユベントスが専用スタジアム(アリアンツ・スタジアム)を建設。また、セリエAのいくつものスタジアムでは陸上競技のトラックの上に仮設スタンドを組み上げるという、資金がかからない安上がりの方法で専用スタジアムへの改装が行われている。ウディネのフリウリ・スタジアムは、今回の川崎市の計画と同じように1990年のワールドカップを前に建設されたメインスタンドはそのままで、バックスタントとサイドスタンドを改築してサッカー専用スタジアムとした。