アヴァンギャルドでユニークな存在感が際立つブランド、シトロエン。その中でも印象深い小型~中型クラスのモデルを今回は独断で選ばせていただいた。◆2CV6(1949年)安全要件を叶える必要がある現代のクルマでは、家の網戸のように簡単に外せるドア…

アヴァンギャルドでユニークな存在感が際立つブランド、シトロエン。その中でも印象深い小型~中型クラスのモデルを今回は独断で選ばせていただいた。

◆2CV6(1949年)

安全要件を叶える必要がある現代のクルマでは、家の網戸のように簡単に外せるドアなど考えもよらない(前席ドアが“後ろヒンジ車”の場合)。全幅が1480mmで室内幅は1130mm。フェンダーの張り出しを考えれば、昔のクルマはいかに超効率的なパッケージングだったことか。

車名は“2馬力”だが近年(87年頃)のモデルの2気筒・602ccは29hp/4.0kg−mの性能。チェンジレバーはインパネから生えており、これを押したり引いたり傾けたりして操作する。

◆GSA(1970年=GS)

『ディアーヌ』『アミ』などを経て、後に登場する上級の『CX』の小型版といった趣だった『GS』。カタログの写真は後期型の上級グレード「GSAパラス」で、樹脂バンパーを装着、トランクがハッチゲート式に変更されたほか、デジタルメーターなど内装も近代的なイメージに。1221ccの空冷水平対向4気筒エンジンを搭載している。

ちなみに『GS』時代にはごく少量だったがロータリーエンジン搭載車も存在した。

◆BX(1982年)

ベルトーネ(ガンディーニ)がスタイリングを手がけた最初のシトロエンがこの『BX』。ワゴンボディのブレークも設定された。球体内の鉱物性オイルと窒素の圧力を利用したハイドロニューマチックサスペンション、ハイトコントロールなどシトロエン独自のメカニズムを採用。手元のダイヤルで角度調節が可能な運転席の包まれるような座り心地も極上のものだった。リヤタイヤを隠す明らかなハーフスカートはこのクルマまで。

◆エグザンティア(1993年)

人気を集めた『BX』の後継車種として登場。セダンのほか、ワゴンボディのブレークも追加設定された。セダンはトランクに見えるノッチのついたハッチバックを採用。ブレークは低い床を活かして最大1690リットルのラゲッジスペースを誇った。

サスペンションには、よりアクティブに機能が進化したハイドラクティブIIも設定。セルフステアリングリヤアクスルも採用。『BX』に続いて日本ではユーノス・チャネルでも扱われた。

◆C4カクタス(2016年) 

まったくの独断で選んだ今回の車種中、もっとも新しいのがこの『C4カクタス』。200台の限定車で終わってしまったのが実に惜しかった、スタイルも乗り味も実にシトロエンなモデルだった。現行シトロエンのデザインはここから始まったもので、“エアバンプ”と呼ぶボディサイドのプロテクターも初採用。リヤがトーションビームのコイルバネ式サスペンションの乗り味、ほっこりとしたシートなど、癒し系そのものといったクルマだった。