現地時間5月29日、日本時間5月30日の午前4時、ヨーロッパサッカーのシーズンを締めくくるチャンピオンズリーグ決勝が行…

 現地時間5月29日、日本時間5月30日の午前4時、ヨーロッパサッカーのシーズンを締めくくるチャンピオンズリーグ決勝が行われる。今回はマンチェスター・シティチェルシーという、イングランド勢同士の対戦となった。

 まさに、白黒をつける一戦となる。試合後、一方のチームは歓喜を爆発させ、他方のチームは悔し涙を流すこととなる。

 だが、これまでにはチームとともにファイナル行きをつかみとりながら、その最高の舞台に立つことが許されないという、「泣くに泣けない」立場に陥った選手たちがいる。そう、決勝で出場停止処分を受けた選手たちだ。

 これまでのCLの歴史で、少なくない選手たちが決勝での出場停止処分を食らってきた。その中でも、悲劇の色合いが特に濃い選手が、2002-03シーズンの決勝を戦うチームにいた。ユベントスに加入2年目だったパベル・ネドベドである。

 このシーズンのCL決勝は、今季と同じく同国対決となっていた。セリエAを制したユーベと、同3位のミランが顔を合わせることとなったのだ。

 ユーベ加入2年目のネドベドは、期待にたがわぬ活躍を見せていた。驚異の運動量と高い技術を持ち合わせ、前年度の倍以上となる9ゴールも奪ってセリエA優勝に貢献。締めくくりに狙うタイトルが、ビッグイヤーだった。

■決勝進出の立役者だったネドベドが…

 CL決勝も、ネドベドがもたらした。

 レアル・マドリードとの第1戦を1-2で落としたユーベだが、ホームで迎えた第2戦で逆襲に成功する。前半のうちに2点を奪い、逆転に成功したのだ。さらに73分、大仕事をしたのがネドベドだ。自陣からのロングパスにボックス手前で追いつくと、ダイレクトでシュート。終盤に1点を返されており、結果的にこれが決勝点となった。

 だが、ネドベドは決勝でプレーできなかった。ゴールの9分後、大会累積2枚目となるイエローカードを頂戴し、決勝の出場停止が決まったのだ。決勝はカルチョの国のチーム同士の対戦らしく、0-0のまま推移。最後はPK戦の末にミランが頂点に輝いた。

 この年、ネドベドはバロンドールに選ばれるなど、多くの個人賞も受賞したが、その後にチームタイトルを手にすることはなかった。スクデットを2度手にしたが八百長疑惑ではく奪され、CL決勝の舞台に進むこともなかったのである。それでもネドベドはセリエB降格にも残留を決意し、今も副会長としてユベントスのために働き続けている。

■7人が決勝で出場停止だったケースも

 レバークーゼンでプレーしていたゼ・ロベルトも、一生に一度の大舞台を逃した一人だ。

 2001-02シーズンにクラブ史上初のCL決勝進出を果たしたレバークーゼンの主力でありながら、準決勝での警告によりファイナル出場の道が絶たれた。チームメイトたちも、レアル・マドリードに1-2で屈し、ゼ・ロベルトにビッグイヤーをもたらすことはできなかった。

 こうして悲しみを一人で抱え込む選手がいる一方、悔しさを分かち合う選手たちもいた。2011-12シーズンの決勝を戦ったバイエルン・ミュンヘンとチェルシーの選手たちだ。激闘を物語るように、両チームの準決勝でイエローカードが乱れ飛んだ。

 なんと、バルセロナとの準決勝でレッドカードを提示されたチェルシー主将ジョン・テリーを含めて、両チーム合わせて準決勝に出場した7人が出場停止で決勝を欠場。試合はPK戦の末に、チェルシーが悲願の初優勝を果たしている。

 その優勝は、テリーにとっては感慨深いものだっただろう。2007-08シーズンにもマンチェスター・ユナイテッドとの決勝に臨み、PK戦で敗退していたのだ。その際、5人目のキッカーだったテリーは雨でぬかるんだピッチに足を滑らせて、PKを失敗している。マンUでもクリスティアーノ・ロナウドもキックを止められて涙していたが、勝利の陰にはいくつもの涙が隠されている。

■バイエルンの悲劇となったマンUの3冠達成

 CL決勝では、鮮やかな逆転勝利も多い。わずか5分間で3点を返して追いつき、PK戦でタイトルをもぎ取った2004-05シーズンのリバプールもその一つだ。敗れたミランとしては、忘れ去りたい苦い記憶だろう。

 衝撃度でナンバーワン候補に挙げられるのは、1998-99シーズン決勝だ。何しろ、タイトルの行方が決まったかに見えていたアディショナルタイムの3分間で、運命が逆転してしまったのだ。

 バイエルンはマンチェスター・ユナイテッドから開始早々に奪ったリードを、「90分間」守った。だが、目安が3分と表示されたアディショナルタイムに悲劇は起きた。91分に、GKピーター・シュマイケルも攻め上がったマンUのCKからテディ・シェリンガムが同点ゴールを決める。

 さらに2分後、またも獲得したCKで、デイビッド・ベッカムがゴール前へボールを送ると、最後はオレ・グンナー・スールシャールが逆転ゴールを蹴り込んだ。その瞬間、バイエルンDFサミュエル・クフォーは激しい怒りをあらわにした。

 マンチェスター・ユナイテッドにとっては、見事な3冠達成だが、バイエルンにとってはこの上なく悔しい敗戦だった。昨季の大会も制し、歴代3位タイの6度のCL優勝を誇るバイエルンだが、決勝での敗戦も5回味わっている。多くの汗と涙を乗り越えた者だけが、栄冠をつかめるのだ。

 今季の決勝では、どんなドラマが生まれるだろうか。

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