GI日本ダービー(東京・芝2400m)が5月30日に行なわれる。 断然の主役と目されているのは、一冠目となるGI皐月賞…

 GI日本ダービー(東京・芝2400m)が5月30日に行なわれる。

 断然の主役と目されているのは、一冠目となるGI皐月賞(4月18日/中山・芝2000m)を完勝したエフフォーリア(牡3歳/父エピファネイア)。昨年のコントレイルに続く、無敗での二冠達成なるか、大きな注目を集めている。



皐月賞を圧勝し無敗でのダービー制覇を狙うエフフォーリア

 しかしながら、その快挙達成は決して容易なものではないだろう。なにしろ今回のダービーでは、皐月賞には出走しなかった"新たな刺客"たちが虎視眈々と一発を狙っているからだ。

 その筆頭は、GI桜花賞(4月11日/阪神・芝1600m)2着のサトノレイナス(牝3歳/父ディープインパクト)だ。確固たる勝算を持って、牝馬クラシックのGIオークスではなく、強豪牡馬相手のダービーへと駒を進めてきた。

 これに続くのは、GIII毎日杯(3月27日/阪神・芝1800m)で驚異のレコード勝ちを決めたシャフリヤール(牡3歳/父ディープインパクト)と、同2着のグレートマジシャン(牡3歳/父ディープインパクト)。いずれも、皐月賞をパスしてダービーに照準を絞ってきた。

 また、ダービーの前哨戦では、GII青葉賞(5月1日/東京・芝2400m)をワンダフルタウン(牡3歳/父ルーラーシップ)が、GII京都新聞杯(5月8日/中京・芝2200m)をレッドジェネシス(牡3歳/父ディープインパクト)が、そしてリステッド競走のプリンシパルS(5月8日/東京・芝2000m)をバジオウ(牡3歳/父ルーラーシップ)が、それぞれ勝利。いずれもエフフォーリアとは未対戦ゆえ、王者にひと泡吹かせようと目論んでいる。

 こうなると、競馬界最高峰のレースは今年も熾烈な争いになることは必至。ここでは、その決戦を前にしての3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。なお、牝馬のサトノレイナスもダービーに出走するため、今回のランキング対象に加えている。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回はダービーに出走予定の3歳牡馬の実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。



 1位はエフフォーリア。皐月賞で圧倒的な強さを見せて、今回は満票を獲得した。無敗の二冠へ、視界は良好だ。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「皐月賞出走組とは、すでに勝負がついた、と言えるでしょう。皐月賞が極端に上がりのかかる変則ペースだったため、もし中山だけに良績のある馬だったり、瞬発力を発揮できない馬だったりしたら、ダービーに向けて不安もあったのですが、同馬は東京でも2勝。いずれもスローの瞬発力勝負を制しました。ダービーでも最有力候補と考えていいでしょう」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「体幹がしっかりしており、フォームがブレないため、皐月賞では凸凹が激しかった中山の内目の馬場もまったく気にしませんでした。そういう意味では、梅雨の影響などでダービーでも荒れ馬場や渋化馬場になると、他馬との力差がより開く可能性があります。

 血統や走法から、上がりが極端に速くなる競馬が唯一の不安点。もちろん、前付けのポジションや早めの仕掛けによって、適度に上がりがかかるような展開になれば、勝つ確率はグンとアップします。しぶとさのある同タイプや、勝負づけの済んだ面々には逆転を許すことはないでしょう」

土屋真光氏(フリーライター)
「取りこぼしがあるなら皐月賞と考えていましたが、結果は2着タイトルホルダー(牡3歳/父ドゥラメンテ)をコンマ5秒も突き放す完勝でした。皐月賞では展開や位置取りなど、何から何までこの馬に運が向いていました。その運をモノにするのも能力があってのこそですが、マークがきつくなるダービーでもこの馬の競馬ができるかどうか、見どころです」



 2位は紅一点のサトノレイナス。牡馬相手にも高い評価を得た。2007年のウオッカ以来となる牝馬によるダービー制覇なるか、注目される。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「ダービーへのクラシック登録は予め済ませており、取材の感触では、陣営は昨年暮れの時点でダービー挑戦への意欲があった様子。おそらく、挑戦への大前提は"(クリストフ・)ルメール騎手の騎乗"にあったと思います。それがクリアされ、勝機は確実にあります」

吉田氏
「東京・芝2400mで施行されるオークスは、息の長い末脚が発揮できる同馬にとってはプラスに働くと見て、2度敗れたソダシを逆転する絶好の舞台と思っていました。ところが、果敢にダービー挑戦。この条件に対して、陣営がそれだけの自信を持っていると判断していいでしょう。

 馬込みに不安はなく、反応面も確実に強化されてきました。自慢の末脚が発揮できる、上がりが強調される流れになれば、エフフォーリア相手でも勝つチャンスはあります」

 3位は皐月賞2着のタイトルホルダー。GII弥生賞(3月7日/中山・芝2000m)の勝ち馬はダービーとの相性がいいため、父ドゥラメンテの初年度産駒による父子制覇が期待される。

本誌競馬班
「GIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)4着という結果から少し軽視していましたが、弥生賞を快勝し、皐月賞でも2着と奮闘。エフフォーリアを除けば、世代上位の実力馬。先手を取って、最後までバテないのは魅力です」

市丸氏
「皐月賞の2~5着の4頭は、クビ、クビ、クビの差。同馬と、3着ステラヴェローチェ(牡3歳/父バゴ)は4角で内目を通って、4着アドマイヤハダル(牡3歳/父ロードカナロア)、5着ヨーホーレイク(牡3歳/父ディープインパクト)はこの2頭よりやや外目を通ってきました。この点を考慮して、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では4頭横並びの数値が弾き出されました。ただ、いずれも皐月賞の勝ち馬とは勝負づけが済んでいる感は否めません」

 4位は皐月賞で3着に食い込んだステラヴェローチェ。その結果を受けて、前回5位から1ランク浮上した。

土屋氏
「GIII共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)での5着惨敗には納得いかないものがありましたが、皐月賞ではきっちり巻き返してくれました。ギアの上がりが早いタイプではないため、皐月賞のように各馬の動き出しが早いほうがこの馬には向くような気がします。

 ダービーでも、スローペースからの瞬発力勝負ではなく、消耗戦になれば、もうひとつ順位を上げることは可能でしょう。使い込まれた馬場もプラスに働くと思います」

 5位は、ワンダフルタウン、グレートマジシャン、シャフリヤールの3頭がランクイン。いずれも皐月賞には出走していないため、エフフォーリアとの勝負づけが済んでいない点が評価されたようだ。

土屋氏
「青葉賞の勝ち馬はダービーで勝てない、というジンクスがありますが、そもそも青葉賞は"遅れてきた大物"が活躍するレースで、ダービーの出走権がかかっている分、本番に向けて余力が残りにくい性質があります。

 しかし、ワンダフルタウンは重賞勝ちがあって、すでにダービー出走が確定している状況での参戦。先を見越しての、叩き台としての一戦でした。それでいて、きっちり勝っていますから、今までの青葉賞勝ち馬の枠にはハマらないタイプだと思います」

木南氏
「グレートマジシャンが1勝クラスのセントポーリア賞(1月31日/東京・芝1800m)を勝った翌週、『あの馬、すごいな。GI勝つだろ』と言ったのは、同馬を管理する宮田敬介調教師が調教助手時代の恩師である、国枝栄調教師。全姉が国枝厩舎に所属していたこともあって、注目していたそうです。

 回避馬が出て、運よくダービーのゲートインが叶いました。ただ、"テン乗りは勝てない"のがダービー。勝ち負けを演じるには、そこが気になるところです」

吉田氏
「シャフリヤールは、毎日杯からダービーというローテーション。あまり結果の出ていないパターンですが、この中間はしっかり英気を養って、丹念な調整によって状態を上げてきています。毎日杯と同じくらいの仕上がりで出走できそうです。

 ストライドは小さめ。回転を速めてスピードを生み出すタイプです。小脚が使える点が強みで、ギアチェンジもスムーズです。当日はテンションが上がることなく、好ポジションでタメて速い脚が使える流れになれば、共同通信杯でエフフォーリアに付けられた差(約2馬身半)は、間違いなく縮められるでしょう」

 オークスでは無敗の二冠を狙ったソダシが馬群に沈んだ。はたして、エフフォーリアはどうなのか。評判どおりの強さを見せるのか、はたまた思わぬ伏兵に足元をすくわれるようなことがあるのか。泣いても笑っても、世代最強を決める注目のゲートがまもなく開かれる。